Docker超入門:Docker Desktopの仕組みと利用上の注意点

 Docker Desktopは「開発者にとって頼れる相棒」みたいな存在です。パソコンにインストールするだけで、コンテナの作成や実行、管理が手軽にできるようになります。ここでは、その仕組みや利用上の注意点を、できるだけ分かりやすく整理していきますね。

Docker Desktopとは?

 Docker Desktopは、WindowsやMacOS上で動作するデスクトップアプリケーションです。中にはDocker Engine(コンテナを動かすエンジン)が含まれているので、インストール後すぐにコンテナを扱えます。

 もしDocker Desktopがなかったら、Docker Engineや関連ツールを自分でOSにセットアップしなければならないのですが、それはちょっと大変…。Docker Desktopはその部分をまるごと肩代わりしてくれるので、開発者はアプリ開発やテストに集中できます。

無償版と有償版

「Docker Desktopって無料?」という質問はよくあります。実は、ケースによって変わるんです。

利用ケース無償有償サブスクリプション必要
個人利用-
学習目的-
中小企業-
大企業(従業員250人以上、または年間収益1,000万ドル以上)-必要

 つまり、学生や個人開発者、小規模な企業なら安心して無料で使えます。けれども、大企業ではライセンス契約を結ぶ必要があるので、商用利用する場合は注意が必要です。

Windowsでの利用要件

WindowsにDocker Desktopを入れるときは、OSのバージョンや仮想化の設定がポイントになります。

Windows バージョン必要条件
Windows 11Home/Pro 21H2以降、またはEnterprise/Education 21H2以降
Windows 10Home/Pro 2004 (ビルド19041以降)、またはEnterprise/Education 1909 (ビルド18363以降)
仮想化設定BIOSやUEFIで「Virtualization」を有効化
実行基盤WSL 2を有効化、またはHyper-VとContainers機能をオンにする

 ここで一番つまずきやすいのが「仮想化が有効になっていない」ケースです。これを忘れるとDocker Desktopがうまく動きません。BIOSやUEFIに入って設定をチェックするのが必須です。また、Windowsの機能としてWSL 2かHyper-Vを有効にすることも必要なので、インストール時はしっかり確認しましょう。

Macでの利用時の注意点

Macの場合は、搭載しているチップの種類が大きなポイントです。

  • Apple Silicon(M1やM2などのARMアーキテクチャー)では、Intel用のイメージがそのまま動かないことがあります。
  • 公式ドキュメントでは、Intelアーキテクチャー用イメージの利用は「ベストエフォート」、つまり動けばラッキーくらいの扱いです。
  • 基本的にはARM対応のイメージを選ぶのがおすすめですが、アプリやライブラリによってはIntel版しか提供されていないこともあります。

 そのため、Macユーザーはイメージ選びに少し注意が必要です。「このアプリはIntel用しかないから動かないな」といったケースが起こりうるので、開発前に対応状況を確認しておくと安心です。

図でイメージをつかむ

文章だけではイメージしにくいので、Docker Desktopの全体像を図で表すと次のようになります。

まとめ

 Docker Desktopは、コンテナをローカル環境で簡単に扱えるようにしてくれる便利ツールです。
ただし「無料か有料かの区分」「Windowsでの仮想化設定」「Macのチップによるイメージの違い」など、いくつか気を付けるポイントがあります。

 特に、初めて導入するときは「仮想化オンになってるかな?」「自分のMacはIntel?それともM1?」と確認するだけで、つまずきをぐっと減らせます。
環境が整えば、あとは思い切りコンテナの世界を楽しむだけ!