【Docker基礎】代表的なDockerコマンド

 Docker には多様なコマンドが存在しますが、そのほとんどは「docker」というメインコマンドから始まり、上位コマンド(container, image, volume, network など)や副コマンド(start, stop, create, run など)を通じて操作する形になっています。ここでは、「dockerコマンド → 上位コマンド → 副コマンド → オプション」の基本構造を俯瞰できるように整理しました。

代表的なDockerコマンド一覧

 以下の表は、[Dockerコマンド] → [上位コマンド] → [副コマンド] → [オプション] という階層構造を示しています。実際には、これらのオプションは一例であり、ほかにも多くのオプションが存在します。また、同じ副コマンドで複数のオプションが組み合わされる場合もあります。

Dockerコマンド上位コマンド副コマンドオプション
dockercontainerstart-a
dockercontainerstart-i
dockercontainerstop-t
dockercontainercreate-a
dockercontainercreate-e
dockercontainercreate-i
dockercontainercreate-p
dockercontainercreate-v
dockercontainercreate...
dockercontainerrun-d
dockercontainerrun-e
dockercontainerrun-i
dockercontainerrun-t
dockercontainerrun-p
dockercontainerrun-v
dockercontainerrun...
dockercontainerexec
dockercontainer...
dockerimagepull
dockerimagesearch
dockerimage...
dockervolumecreate
dockervolumerm
dockervolume...
dockernetworkcreate
dockernetworkrm
dockernetwork...

注: オプション欄の「...」は、さらに多くのオプションが存在することを示しています。各コマンドの詳細なオプションについては、後述のコマンド解説をご参照ください。

代表的なDockerコマンドの意味

 以下の表では、上記で紹介した代表的なDockerコマンドの意味と基本的な使い方をまとめています。これらのコマンドを理解し、適切に使用することで、Dockerの操作がよりスムーズになります。「コマンド+オプションが具体的に何をするのか」を簡単にまとめています。

コマンド意味 / 解説
docker container start -aコンテナを開始し、**標準出力をアタッチ(attach)**する。
コンテナの出力をリアルタイムで画面に表示する。
docker container start -iコンテナを開始し、インタラクティブ(interactive)モードでコンテナ内に操作できるようにする。
docker container stop -tコンテナを停止する際に、**タイムアウト(-t)**を設定できる。
指定した秒数後に強制停止する(デフォルト 10 秒など)。
docker container create -aコンテナを作成(イメージから新しいコンテナを生成)するときに、標準出力をアタッチする。
通常は create だけでは起動しない。
docker container create -e**環境変数(env)**を指定して コンテナを作成する。例: -e KEY=VALUE
docker container create -i**インタラクティブ(-i)**オプションを付けて コンテナを作成
シェルを使った対話型操作などに備える場合に設定される。
docker container create -p**ポートマッピング(-p)**を設定して コンテナを作成
例: -p 8080:80 (ホストの 8080 番ポートをコンテナの 80 番ポートへ)
docker container create -v**ボリュームマウント(-v)**を指定して コンテナを作成
データをホストや他のコンテナと共有するために使われる。
docker container run -dコンテナを作成&起動し、**デタッチド(-d)**モード(バックグラウンド)で動かす。
docker container run -e**環境変数(-e)**を指定しながら コンテナを作成&起動
docker container create に加えて起動まで行う形。
docker container run -i**インタラクティブ(-i)**オプションを付けて コンテナを作成&起動
docker container run -t**擬似 TTY(-t)**を割り当てて コンテナを作成&起動
-it と組み合わせることが多い(-it はよく見る定番オプション)。
docker container run -p**ポートマッピング(-p)**を設定しながら コンテナを作成&起動
docker container run -v**ボリュームマウント(-v)**を設定しながら コンテナを作成&起動
docker container exec既に起動中のコンテナに対してコマンドを実行したり、コンテナ内のシェルに入ったりする。
例: docker container exec -it コンテナ名 /bin/bash
docker image pullイメージをダウンロード(取得)する。
例: docker image pull nginx (Nginx イメージを取得)
docker image searchDocker Hub などで イメージを検索する。
例: docker image search ubuntu
docker volume createボリュームを新しく作成する。
コンテナ間でデータを共有する仕組み。
docker volume rmボリュームを削除する。
不要になったボリュームを消してディスクを整理。
docker network createネットワークを新しく作成する。
複数コンテナ間で独立したネットワークを構築したいときなどに使用。
docker network rmネットワークを削除する。
不要なネットワークを消して整理。

Dockerコマンドの基本構造

Dockerコマンドは、基本的に以下のような構造を持っています。

docker [上位コマンド] [副コマンド] [オプション] [引数]

  • 上位コマンド: 操作対象のカテゴリ(例: container, image, volume, network)。
  • 副コマンド: 上位コマンドに対する具体的な操作(例: start, stop, create)。
  • オプション: コマンドの動作をカスタマイズするためのフラグ(例: -d, -i, -p)。
  • 引数: コマンドに渡す具体的なデータ(例: コンテナ名、イメージ名)。

この構造を理解することで、新しいコマンドに出会っても自分で解析しやすくなります。

コマンドの選び方と使い方のポイント

Dockerコマンドを効果的に使用するためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

上位コマンドの理解

 上位コマンドは、Dockerの操作対象を大きく分類します。例えば、container はコンテナ関連の操作、image はイメージ関連の操作を行うための上位コマンドです。まずは、自分が何を操作したいのかを明確にし、それに対応する上位コマンドを選びましょう。

副コマンドとオプションの組み合わせ

 副コマンドとオプションを適切に組み合わせることで、必要な操作を効率的に行えます。例えば、コンテナをバックグラウンドで実行したい場合は、docker run -d を使用します。オプションの組み合わせによって、コマンドの動作が大きく変わるため、用途に応じたオプション選びが重要です。

4.3 コマンドのヘルプ機能の活用

 各コマンドにはヘルプ機能が備わっており、詳細な使用方法やオプションの説明を確認することができます。コマンドに不明点がある場合は、docker [コマンド] --help を実行して確認しましょう。

docker run --help

まとめ

 ここまで紹介したコマンドは、Docker 操作のうち よく使われる代表的なもの です。最初からすべて覚える必要はありませんが、構造をざっと眺めておくことで、Docker におけるコマンド体系をイメージしやすくなります。
以降の学習では、「docker → 上位コマンド(container / image / volume / network) → 副コマンド → オプション」 という流れを意識しながら、実践的に操作を習得していきましょう。

学習の進め方

  1. 基本コマンドの習得: docker rundocker stopdocker start など、日常的に使用するコマンドを練習します。
  2. オプションの活用: 各コマンドのオプションを理解し、用途に応じて適切に使用できるようにします。
  3. 実践的な演習: 実際のプロジェクトや演習課題を通じて、コマンドの使い方を実践的に学びます。
  4. 公式ドキュメントの参照: Docker公式ドキュメントを活用して、最新の情報や詳細な解説を確認します。

 Dockerのコマンドを使いこなすことで、コンテナの管理やアプリケーションのデプロイがより効率的かつ効果的に行えるようになります。継続的な学習と実践を通じて、Dockerのスキルをさらに深めていきましょう。