
【Docker基礎】コンテナの組み合わせを考える
Docker コンテナをどう選ぶかだけでなく、どう組み合わせるかも重要なポイントです。
Docker では、1 つのコンテナに 1 つのアプリケーションを入れる手法(“1コンテナ=1アプリ”)がよく採用されますが、すべてを 1 つのコンテナにまとめる方法も存在します。ここでは、それぞれのアプローチのメリット・デメリットを踏まえながら、コンテナ同士をどのように組み合わせるかを考えていきましょう。

「1コンテナ=1アプリ」という考え方
Docker の特長の一つに、“1コンテナ=1アプリ” の運用スタイルがあります。
- セキュリティ面:コンテナごとにアプリケーションが独立しているため、あるコンテナが侵害されても他への影響が少ない。
- メンテナンス性:アップデートやバージョン変更をコンテナ単位で行えるので、管理がしやすい。
- スケーラビリティ:必要に応じてアプリケーションごとにコンテナを増減できる。
例:WordPress の場合
- Webサーバ(Apache など)
- データベース管理ソフト(MySQL など)
- WordPress 本体
これらを 別々のコンテナ として運用することで、アップデートや障害発生時の影響範囲を最小限に抑えられます。
すべてをひとまとめにする方法
一方で、1つのコンテナ に複数のソフトウェアをまとめる構成も可能です。

- すべて入りコンテナ(Apache + MySQL + WordPress 本体 など)
- コンテナ 1 つですべて完結するため、一見シンプルに思える。
しかし、以下のような懸念点があります。
- アップデート時にコンテナ全体を入れ替える必要がある。
- 1つのコンテナが重い構成になるほど、他の部分の影響を受けやすい
- セキュリティリスクや障害発生時の切り分けが難しくなる。
組み合わせを考えるポイント
- セキュリティと独立性
・1コンテナ=1アプリだと、障害や攻撃が発生しても被害が局所的
・アップデートや脆弱性対策もアプリケーション単位で可能 - メンテナンス性とスケール
・アプリごとにコンテナが分かれていると、部分的なバージョンアップや再起動も容易
・必要に応じて「Webサーバを 3 台に増やす」など、スケールアウトがしやすい。 - 開発や学習目的
・小規模プロジェクトや勉強用途であれば、一つのコンテナにまとめた手軽さがメリットになる場合も
・本番運用やチーム開発では、1コンテナ=1アプリ方式の方がトラブルシューティングもスムーズ
まとめ
- 「1コンテナ=1アプリ」 は、セキュリティ面やメンテナンス性、スケーラビリティの観点でおすすめされることが多い。
- ただし、学習目的や簡易構築の段階で、すべてを 1 コンテナにまとめるケースもある。
- 組み合わせの選択肢はプロジェクトごとの規模、要求、メンテナンス体制などによって異なる。
結局は「何を優先したいのか(セキュリティ、スケール、導入コストなど)」という観点で最適解が変わってきます。次の章では、実際に複数コンテナを連携させる際の具体的な方法や、ツール(Docker Compose など)を使った効率的な管理手法について詳しく見ていきましょう。