【Docker基礎】コンテナは持ち運べる

Docker コンテナの大きな魅力の一つは、「持ち運べる」 ことにあります。
 厳密には「コンテナそのものを丸ごとコピーする」わけではなく、コンテナのイメージを使って 別の Docker 環境に再構築 する仕組みです。しかしユーザーから見れば、あるマシンで作ったコンテナを別のマシンへ移植 できるイメージで捉えておけば十分でしょう。

コンテナを持ち運ぶメリット

  1. 同じ開発環境をチーム全員で共有
    ・たとえば、あるプロジェクト用にチューニングしたコンテナを配布すれば、メンバー全員が全く同じ環境で開発可能
    ・設定ミスや環境差異による「動く・動かない」のトラブルが大幅に減る
  2. 開発から本番へスムーズに移行
    ・開発環境で問題なく動作したコンテナを、そのまま本番サーバへ持っていける。
    ・本番と開発の OS やサーバ構成が違っていても、Docker さえ入っていればほぼ同じ環境が再現できる。
  3. OS の違いを吸収
    ・Windows でも Mac でも Linux でも、Docker が動作していればコンテナを再現できる。
    ・物理サーバやクラウド環境が異なっても、コンテナ内部の環境は変わらないので安心。

イメージ図:コンテナの持ち運び

物理サーバ・OSDocker Engineコンテナ
物理サーバ1号 (Windows)インストール済みコンテナA動作 (Web用)
物理サーバ2号 (Mac)インストール済みコンテナAを再構築
物理サーバ3号 (Windows)インストール済みコンテナAを再構築

このように、一度作成したコンテナを別のマシンでも簡単に再現できるのは、大きな強みです。

他の同居技術との比較

コンテナ技術以外にも、複数のサーバ機能を同居させる方法は存在します。

  • 仮想マシン (VM) での同居
    ・Hyper-V や VMware などを使って OS まるごと仮想化する手法
    ・ただし OS ごと動かすため、コンテナよりもリソース消費が大きい。
  • 同一 OS 上で直接複数のサービスをインストール
    ・一般的だが、依存関係やバージョンが衝突しやすい。
    ・セキュリティリスクや更新の難易度が上がる場合が多い。

 Docker コンテナは 「OS を仮想化しない、プロセス単位の軽量な隔離」 という特長があり、VM ほど重くならず、同居の衝突リスクを大きく低減できます。

まとめ

  • Docker コンテナは 持ち運べる ので、開発環境の一斉整備や本番移行に非常に便利
  • OS の違いや物理サーバの差異を気にせずに、同じコンテナ環境を再構築できる
  • 他の同居技術(仮想マシンなど)よりも 軽量で衝突が少なく 管理しやすい

 これらの理由から、Docker は開発効率や運用効率を大幅に高める存在として注目を集めています。4章の「Dockerでコンテナを作成して実行する」で、具体的にどのようにコンテナを「書き出し」して、別環境へ「持ち運ぶ」のか、その流れとコマンドについて紹介していきます。