
【Docker基礎】Dockerの使い道
Docker は「軽量な仮想環境(コンテナ)」を手軽に作り、ソフトウェアの開発・実行環境を隔離できる技術です。「Dockerのメリットとデメリット」で述べたメリットを踏まえ、「具体的にどんなシーンで役立つのか」をイメージしてみましょう。ここでは、代表的な使い道をいくつか取り上げます。

開発現場で同じ開発環境を提供する
- 全員が同じ環境を使える
開発チームのメンバーに、同じ Docker イメージを配布すれば、環境構築の手間を省きながら統一された状態を保てます。
・複数プロジェクト
・それぞれ異なる言語やフレームワークを使っていても、コンテナを分ければ衝突しない。
・切り替えがコマンド一つで済むので、効率的に開発を進められる。 - オンボーディングがスムーズ
・新しくプロジェクトに加わったメンバーも、Docker イメージを pull してdocker run
するだけで同じ開発環境を再現可能
・「◯◯がインストールできない」といったトラブルが減る。
新バージョンの実験に使う(隔離された環境を活用)

- 安全なサンドボックス
・OS やライブラリなどの新しいバージョンが出たとき、まずは Docker コンテナ内で試験運用
・物理マシンや他のサービスに影響を与えないので、トラブルが起きてもすぐにコンテナを破棄できる。 - 環境を変えたテスト
・新バージョンだけでなく、設定ファイルや依存パッケージなどを差し替える実験にも向いている。
・ホスト OS やハードウェアとの相性を深く気にしなくてもよい。
複数バージョン同居の検証
- Python 2 系と 3 系、あるいは PHP 5 系と 7 系など、通常は同居しにくいバージョンのソフトウェアを並行して動作確認
- バージョンアップ移行期の動作検証が容易
複数の同じサーバが必要な場面で便利
- 1台のマシンに同じサーバを増やせる
・Webサーバを複数動かしたい、APIサーバを水平にスケールさせたい…といった場合、1つの物理マシンに同一構成のコンテナをいくつも起動可能
・コマンド1つで必要な数だけ作れるので、OSのインストールや設定を何度も行う手間が省ける。 - 管理・コストダウンにも有効
・物理サーバの台数を増やさずに、コンテナでサーバを量産できるため、初期投資や運用コストを抑えられる。
・使っていないコンテナは停止・破棄すればリソースを有効活用できる。
まとめ
Docker は、開発環境の共有や新バージョンの検証、そして複数サーバのスケールアウトなど、さまざまな場面で大きな効果を発揮します。
- 開発環境の統一: 全員が同じ環境を使えるので、チーム開発や複数プロジェクトに最適
- 隔離されたテスト環境: 新しい OS やライブラリを安全に試せる。
- 複数サーバの管理: 同じサーバをコマンド一つで量産し、コストも削減できる。
まとめ
使い道 | 具体例 | メリット |
---|---|---|
開発環境の共有 | チーム全員に統一環境を提供、複数プロジェクト切り替え | 手軽に環境整備、ライブラリバージョン不一致を解消、オンボーディングが速い |
新バージョンの実験・テスト | OS やライブラリのアップデート検証、本番を巻き込まない | 隔離環境で安全に試せる、トラブルが起きても破棄可能 |
同じサーバの大量展開 | Webサーバや APIサーバを複数立ち上げて負荷分散 | スケールアウトが容易、コスト削減 |
ここで紹介した事例は、Docker の使い道のごく一部に過ぎません。実際には CI/CD(自動テスト・デプロイ)、マイクロサービスアーキテクチャ、学習用の一時的な環境など、さらに多岐にわたる応用が可能です。
「同じ環境を複数用意したい」「本番環境に導入する前に隔離して試したい」「多数のサーバをまとめて管理したい」など、さまざまな要望に応えてくれるのが Docker の最大の魅力です。