【Docker基礎】新旧Dockerコマンド
Docker は進化を続ける中で、より使いやすく整理された新しいコマンド体系が導入されました。以前は単純に docker run や docker ps といった “省略形” が多く使われていましたが、バージョン 1.13 を境に、「docker container」や「docker image」などの上位コマンド が正式な位置づけになっています。
ここでは、新旧 Docker コマンド の対応関係を見比べながら、その背景と使い方を解説します。古いコマンドはまだ使えますが、将来的に削除される可能性があるので、今から新しいコマンドを身につけておくと安心です。
なぜ新しいコマンドが導入されたのか？
- 可読性・一貫性向上
・“Docker コンテナに対する操作” →docker container ~
・“Docker イメージに対する操作” →docker image ~
・という具合に、対象が明確 になった。 - 将来の拡張性
・swarm / network / volume などの追加機能にも対応しやすい構造になった。
旧コマンドは歴史的な経緯で使いやすさや体系性に不統一がありました。新コマンドはこの点を整理して、コマンド体系を分かりやすく したものと言えます。
新旧コマンドの対応（コンテナ系）
| 新コマンド | 旧コマンド | 説明 |
|---|---|---|
docker container attach | docker attach | 実行中のコンテナに**アタッチ（接続）**する |
docker container commit | docker commit | コンテナから イメージ を作成する |
docker container cp | docker cp | コンテナとホスト間でファイル をコピーする |
docker container create | (古い書き方なし)（単に docker create と呼ばれる場合あり） | イメージから新コンテナを作成（起動しない） |
docker container exec | docker exec | 実行中のコンテナ内で コマンドを実行する |
docker container inspect | docker inspect | コンテナの詳細情報を表示 |
docker container kill | docker kill | コンテナのプロセスを強制停止（kill シグナル） |
docker container ls | docker ps | 実行中のコンテナ一覧を表示 |
docker container ls -a | docker ps -a | 全コンテナ一覧（停止含む）を表示 |
docker container logs | docker logs | コンテナのログを表示 |
docker container pause | docker pause | コンテナを一時停止 |
docker container prune | (旧コマンドなし) | 停止中コンテナを一括削除 |
docker container rename | docker rename | コンテナの名前を変更 |
docker container restart | docker restart | コンテナを再起動 |
docker container rm | docker rm | コンテナを削除 |
docker container run | docker run | コンテナを作成 & 起動（必要ならイメージもpull） |
docker container start | docker start | 停止中のコンテナを開始 |
docker container stop | docker stop | 実行中のコンテナを停止 |
docker container unpause | docker unpause | 一時停止中のコンテナを再開 |
新旧コマンドの対応（イメージ系）
| 新コマンド | 旧コマンド | 説明 |
|---|---|---|
docker image build | docker build | Dockerfile から イメージをビルド |
docker image history | docker history | イメージの履歴を表示 |
docker image import | docker import | ファイルからイメージを作成 |
docker image inspect | docker inspect | イメージの詳細情報を表示 |
docker image load | docker load | イメージを アーカイブから読み込み |
docker image ls | docker images | ローカル保存されている イメージ一覧 を表示 |
docker image prune | (旧コマンドなし) | 使われていないイメージを削除 |
docker image pull | docker pull | レジストリから イメージを取得 |
docker image push | docker push | イメージをレジストリへ送信 |
docker image rm | docker rmi | イメージを削除 |
docker image save | docker save | イメージを アーカイブとして保存 |
docker image tag | docker tag | イメージに タグを付与 |
新コマンドの特徴とメリット
- 対象が明確
・docker container lsであれば「コンテナの一覧表示」を行う、と一目でわかる。
・docker image lsは「イメージの一覧」 - 将来性
・Docker が新機能を追加する際、上位コマンドで分類できるため体系化しやすい。 - 旧コマンドはまだ動くが非推奨
・互換性維持のため残っているが、近い将来に削除される可能性あり。
・スクリプトやドキュメントは新コマンドで書き直しておくと安全
まとめ
- 新コマンド体系:
docker container ~,docker image ~,docker volume ~,docker network ~など - 旧コマンド:
docker run,docker ps,docker images,docker buildなどはまだ動くが将来消えるかも - メリット: 直感的・体系的、トラブルシューティングしやすい
- これから学ぶなら: 新コマンドを推奨。ドキュメントでも新しい書き方が増えている
今後 Docker を使いこなすうえで、新しいコマンド に馴染んでおくとスムーズです。特に学習の初期段階であれば、初めから「docker container start」「docker image build」のように入力しておくと、将来バージョンの変更に振り回されにくい でしょう。