
【Docker基礎】この章で学習するDocker技術のロードマップ
これまでDockerの基本的な使い方を習得し、コンテナの起動・停止・削除といった操作をひととおり学んできました。しかし、この先には、インフラエンジニアやセキュリティエンジニアに必須なもう一段深い知識や、状況によっては不要だけれど便利な応用知識がいくつか存在します。
この章では、コンテナをさらに使いこなすための技術をいくつか紹介します。下記に挙げる項目は、「コンテナとホスト間のファイルコピー」や「ボリュームマウント」「コンテナのイメージ化」など幅広く、必須度合いや用途もさまざまです。「こんな機能があるんだな」くらいのイメージを持っておいて、必要になったときに詳しく読み込むと効率的でしょう。

コンテナとホスト間でファイルをコピーする
- 概要: コンテナからホストへ、またはホストからコンテナへファイルをコピーする方法
- 必須度: ほぼ全員に必要(初心者でも役立つ)
- 利用シーン: 一時的にファイルを抜き出したい・投入したいとき
ボリュームマウント
- バインドマウント
・ホストのディレクトリをコンテナ内に直接マウント
・「WordPress などを実用的に使う」「アプリコードをホットリロードしたい」といった場面で必須 - ボリュームマウント
・Docker が管理するボリュームを使ってデータを共有
・OS に依存しない保管が可能で、サーバエンジニアやプログラマ、情報システム管理者におすすめ
コンテナのイメージ化
- 概要: 動いているコンテナをイメージ(テンプレート)として保存する手法
- 必須度: サーバエンジニア・保守運用担当者に必須。開発環境から本番環境へイメージを移行する際などに活躍
- 利用シーン: チームメンバーに同じ環境をすぐ配布、別のマシンで同じコンテナを再現
コンテナの改造
- 概要: コンテナ内を直接改変して独自の環境を作る(Dockerfile をいじる場合が多い)
- 必須度: サーバ管理者や本番運用を担うエンジニアに必須。難易度は高め
- 利用シーン: システム要件に合わせて追加パッケージを導入、セキュリティ対策を行う
Docker Hub への登録
- 概要: 自作のイメージを外部に公開する方法
- 必須度: 公開する予定がなければ不要
- 利用シーン: オープンソースプロジェクトを公開、チーム間でイメージ共有
Docker Compose(7章で解説)
- 概要: 複数コンテナの起動・停止・削除を、1つの定義ファイル(docker-compose.yml)で一括管理
- 必須度: 便利なツールだが、単一コンテナ運用なら必須ではない。サーバエンジニア・保守担当者・リードプログラマなどにとって時短効果大
- 利用シーン: Webサーバ + DBサーバなど、複数連携コンテナを簡単に立ち上げたい場合
Kubernetes(当サイト「演習で学ぶ:Kubernetes入門」で解説)
- 概要: 大規模運用向けのコンテナオーケストレーションツール
- 必須度: 大規模・高トラフィック環境でサーバエンジニアやプロジェクトマネージャ、情報システム担当者向け
- 利用シーン: クラウドと連携し、自動スケーリングやローリングアップデートが必要な場面
まとめ
これらの技術がすべて必須というわけではなく、**「職種やプロジェクト規模によって必要な範囲が変わる」**のが Docker の面白いところ。
たとえば、Web サービスを本格的に運用するインフラエンジニアやセキュリティ担当者なら、コンテナのイメージ化や改造、Docker Compose や Kubernetes といったクラスタ運用まで押さえておきたいでしょう。一方、プログラマが開発環境として Docker を使うだけなら、ファイルコピーやバインドマウントなど最低限の機能を知っていれば十分かもしれません。
この章では、こうした応用的な内容に触れながら、自分の役割や興味に合わせて学びを進めるガイドを提供していきます。次のコンテンツでは、まずコンテナとホスト間でのファイルコピー方法を解説します。