
【Docker基礎】タグとイメージのアップロード
Dockerを活用する上で、タグ付けとイメージのアップロードは非常に重要な操作です。これらの操作を理解することで、Dockerイメージの管理や共有がスムーズになり、チーム全体の開発効率を大幅に向上させることができます。ここでは、タグの概念から実際のアップロード手順までを詳しく解説します。

1.タグとは何か
1.1 タグの基本概念
タグは、Dockerイメージに対して識別子を付けるための仕組みです。タグを使用することで、同じイメージの異なるバージョンやバリエーションを簡単に管理・識別することができます。タグは、ブログやSNSのハッシュタグとは異なり、Dockerレジストリ内でイメージを整理するためのラベルとして機能します。
1.2 タグの構造
タグ名は以下の形式で表されます。
レジストリの場所/リポジトリ名:バージョン番号- レジストリの場所: Dockerイメージをホストする場所(例:Docker Hubのユーザー名、プライベートレジストリのURL)
- リポジトリ名: イメージをグループ化する名前
- バージョン番号: イメージの特定バージョンを識別する番号(省略可能で、省略時は
latestがデフォルト)
例:タグ名の構造
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| レジストリの場所 | Docker Hubの場合はユーザー名や組織名 |
| リポジトリ名 | 特定のアプリケーションやサービスの名前 |
| バージョン番号 | v1.0, latestなど、イメージのバージョン |
2.タグ名の具体例
2.1 プライベートレジストリのタグ名の例
プライベートレジストリでは、レジストリの場所としてローカルホストや企業のドメインが使用されます。以下に具体例を示します。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| レジストリの場所 | localhost、ABC.com |
| リポジトリ名 | myapp、database |
| バージョン番号 | v1.0、v2.1、latest |
プライベートレジストリのタグ名の例
| タグ名 | 説明 |
|---|---|
localhost/myapp:v1.0 | ローカルホストのプライベートレジストリにあるmyappのバージョン1.0 |
ABC.com/database:latest | ABC社のプライベートレジストリにあるdatabaseの最新バージョン |
2.2 Docker Hubでのタグ名の例
Docker Hubでは、ユーザー名や組織名がレジストリの場所となります。以下に具体例を示します。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| レジストリの場所 | Docker Hubのユーザー名(例:johndoe) |
| リポジトリ名 | webapp、mysql |
| バージョン番号 | v1.0、v2.0、latest |
Docker Hubのタグ名の例
| タグ名 | 説明 |
|---|---|
johndoe/webapp:v1.0 | Docker Hubのjohndoeアカウント内のwebappリポジトリのバージョン1.0 |
johndoe/mysql:latest | Docker Hubのjohndoeアカウント内のmysqlリポジトリの最新バージョン |
organization/apache:2.4 | Docker Hubのorganizationアカウント内のapacheリポジトリのバージョン2.4 |
3.タグ付けとイメージのアップロード
3.1 イメージにタグを付けて複製する
Dockerイメージにタグを付けることで、同じイメージに複数の識別子を持たせることができます。これにより、異なるバージョンや用途に応じてイメージを管理することが容易になります。
タグ付けの基本構文
docker tag 元のイメージ名 レジストリの場所/リポジトリ名:バージョン具体例
例えば、ローカルでmy-app:latestというイメージが存在し、これにjohndoe/my-app:v1.0というタグを付けてDocker Hubにアップロードする場合、以下のコマンドを実行します。
docker tag my-app:latest johndoe/my-app:v1.0docker tag: イメージにタグを付けるコマンド。my-app:latest: 元のイメージ名とタグ。johndoe/my-app:v1.0: 新しく付けるタグ名。
3.2 イメージをアップロードする
タグ付けしたイメージをDocker Hubやプライベートレジストリにアップロードすることで、他の環境やチームメンバーと共有できます。
アップロードの基本構文
docker push レジストリの場所/リポジトリ名:バージョン具体例
先ほどタグ付けしたjohndoe/my-app:v1.0をDocker Hubにアップロードする場合、以下のコマンドを実行します。
docker push johndoe/my-app:v1.0docker push: イメージをレジストリにアップロードするコマンド。johndoe/my-app:v1.0: アップロードするイメージのタグ名。
3.3 プライベートレジストリへのアップロード例
プライベートレジストリにイメージをアップロードする場合も、基本的な手順は同様です。以下に具体例を示します。
プライベートレジストリへのタグ付けとアップロード
1. イメージにタグを付ける
docker tag my-app:latest localhost/myapp:v1.02. イメージをプッシュする
docker push localhost/myapp:v1.0プライベートレジストリのタグ名の例
| タグ名 | 説明 |
|---|---|
localhost/myapp:v1.0 | ローカルホストのプライベートレジストリにあるmyappのバージョン1.0 |

4.タグ付けとイメージアップロードの流れ
タグ付けとイメージのアップロードは、以下の流れで行います。
4.1 イメージの確認
現在のイメージを確認するには、docker imagesコマンドを使用します。
docker images出力例
| REPOSITORY | TAG | IMAGE ID | CREATED | SIZE |
|---|---|---|---|---|
| my-app | latest | abc123def456 | 2 days ago | 500MB |
4.2 イメージにタグを付ける
docker tag my-app:latest johndoe/my-app:v1.04.3 タグ付けしたイメージを確認する
docker images出力例
| REPOSITORY | TAG | IMAGE ID | CREATED | SIZE |
|---|---|---|---|---|
| my-app | latest | abc123def456 | 2 days ago | 500MB |
| johndoe/my-app | v1.0 | abc123def456 | 2 days ago | 500MB |
4.4 Docker Hubにログインする
docker loginプロンプトに従ってDocker Hubのユーザー名とパスワードを入力します。
4.5 イメージをアップロードする
docker push johndoe/my-app:v1.0アップロードが完了すると、Docker Hub上のリポジトリにイメージが反映されます。
5.タグ付けとイメージアップロードの注意点
- タグ名の一意性: 同じリポジトリ内でタグ名が重複しないように注意しましょう。異なるバージョンや機能ごとに明確なタグ名を付けることが推奨されます。
- バージョン管理: バージョン番号を付けることで、イメージの更新履歴を管理しやすくなります。例えば、
v1.0,v1.1,v2.0などとバージョンを付けましょう。 - プライベートリポジトリの利用: セキュリティが必要なイメージは、プライベートリポジトリにアップロードし、アクセス制限を設定することが重要です。
- イメージの最適化: 不要なファイルやパッケージを含まないようにDockerfileを最適化し、イメージのサイズを小さく保つことで、アップロードやダウンロードの時間を短縮できます。
- Docker Hubの制限: 無料プランではプライベートリポジトリの数に制限があるため、必要に応じてプランのアップグレードを検討しましょう。
6.まとめ
ここでは、タグとイメージのアップロードについて詳しく解説しました。以下のポイントを押さえておきましょう。
- タグの理解: タグはイメージを識別・管理するための重要な要素であり、
レジストリ/リポジトリ:バージョンの形式で構成されます。 - タグ付けの方法:
docker tagコマンドを使用して、既存のイメージに新しいタグを付けることができます。 - イメージのアップロード:
docker pushコマンドを使用して、タグ付けしたイメージをDocker Hubやプライベートレジストリにアップロードします。 - レジストリとリポジトリの区別: レジストリはイメージの配布場所全体を指し、リポジトリはその中の特定のイメージ群を指します。
これらの知識を基に、Docker Hubやプライベートレジストリを活用して、効率的かつ安全にDockerイメージを管理・共有しましょう。次のコンテンツでは、レジストリを作り方について詳しく解説します。引き続き、Dockerの学習を進めていきましょう。
