Kubernetesの構成と用語のまとめ

 Kubernetesでは、さまざまなリソースを使用してシステムの構成や管理を行います。Podやサービス、デプロイメント、レプリカセットなど、Kubernetesには50種類以上のリソースがありますが、特に入門者にとっては、基本的なリソースを理解するだけでも十分です。ここでは、主なリソースを表形式でまとめ、さらに用語の整理を行います。

Kubernetesの構成と主なリソース

リソース名説明
ポッド (pods)Podはコンテナとボリュームのセットで、Kubernetesの最小単位です。
ポッドテンプレート (podtemplates)デプロイメントや他のリソースを使用してPodを作成する際に利用される雛形です。
レプリケーションコントローラ (replicationcontrollers)Podのレプリカ数を管理し、指定された数を維持するためのコントローラーです。
リソースクォータ (resourcequotas)Kubernetesのリソース使用量の制限を設定します。
シークレット (secrets)鍵やパスワードなどの機密情報を管理します。
サービスアカウント (serviceaccounts)操作するユーザーやプロセスを管理し、特定のリソースへのアクセスを許可します。
サービス (services)クラスタ内外からPodへのアクセスを管理します。ロードバランシングの役割も持ちます。
デーモンセット (daemonsets)各ワーカーノードに対して1つのPodを自動的に作成し、監視やログ収集に使用されます。
デプロイメント (deployments)Podの配置や更新作業を管理し、スケーリングやロールアウト/ロールバックを簡単に行うことができます。
レプリカセット (replicasets)Podの数を管理し、指定された数のPodが常に稼働していることを保証します。
ステートフルセット (statefulsets)状態を保持したPodのデプロイや管理を行います。データベースやキャッシュなどの状態を保つアプリケーションに適しています。
クロンジョブ (cronjobs)定期的にPodを実行するためのスケジューリング機能を提供します。
ジョブ (jobs)一度だけPodを実行し、完了後に停止するプロセスを管理します。
Kubernetesの構成と主なリソース

Kubernetesの用語のまとめ

 Kubernetesには、多くの用語が存在し、初めて学ぶ人にとっては混乱を招きがちです。ここでは、それらの用語を「アクセスに関連するもの」と「数に関連するもの」に分けて整理します。

用語説明関連
サービス (services)Podへのアクセスを管理し、外部や内部のトラフィックを負荷分散します。アクセス
クラスターIP (ClusterIP)サービスに割り当てられる内部IPアドレスで、クラスタ内のPodへの通信を管理します。アクセス
レプリカセット (replicasets)同じ構成のPodの数を管理し、指定された数を維持します。
デプロイメント (deployments)Podの配置やスケーリング、更新の管理を行います。
Kubernetesの用語のまとめ
アクセスに関連する用語
  • サービス: Kubernetes内外からのトラフィックを管理し、複数のPodに対して均等にトラフィックを振り分けます。
  • クラスターIP: クラスタ内部からのアクセス専用に提供されるIPアドレスです。外部には公開されません。
数に関連する用語
  • レプリカセット: 特定のPodのレプリカ(複製)を管理し、設定された数のPodを常に維持します。
  • デプロイメント: レプリカセットを使用してPodのデプロイや更新を管理します。スケーリングや更新の際に便利です。

Kubernetesの具体的な構成図

 下図は、Kubernetesの構成要素(リソース)を簡潔にまとめています。以下に表形式でリソースとその機能を解説します。

Kubernetesの構成とリソースの解説

リソース説明
LB(ロードバランサー)もしくはIngressロードバランサーやIngressは、外部からKubernetesクラスタ内のサービスやPodへのアクセスを振り分ける役割を持ちます。特にHTTPやHTTPSトラフィックを処理し、アクセス先を決定します。
ClusterIPClusterIPは、各サービスに割り当てられる内部IPアドレスで、クラスタ内での通信を管理します。外部からのアクセスには使用されません。
Service(サービス)Serviceは、複数のPodへのトラフィックを均等に振り分けるリーダーの役割を持ち、サービスごとのIPアドレス(ClusterIP)を通じてアクセスを制御します。
Deployment(デプロイメント)Deploymentは、Podの展開やアップデートを管理する役割を持っています。レプリカセットを管理し、Podのデプロイ情報や設定を保持しています。
ReplicaSet(レプリカセット)ReplicaSetは、特定の数のPodを維持する役割を担い、Podの数を増減して状態を管理します。Podが停止した場合、自動で新しいPodを作成してレプリカの数を維持します。
Podコンテナとボリューム(データの永続化領域)をセットにした最小の単位です。Kubernetesのリソースは、Podをベースに展開されます。
VolumeVolumeは、Pod内のコンテナ間でデータを共有するための永続的なストレージ領域を提供します。
ワーカーノードワーカーノードは、実際にコンテナ(Pod)が動作する物理マシンや仮想マシンです。
Kubernetesの構成とリソースの解説
関連性の説明
  • LBもしくはIngress は、外部からのアクセスをワーカーノードにあるサービスに振り分けます。この際、サービスが内部のClusterIPを使用してPodへの通信を管理します。
  • Service は、複数のPodにトラフィックを均等に振り分ける「リーダー」の役割を果たし、Podが複数のワーカーノードに分散して存在している場合でも、外部からは1つのIPアドレス(ClusterIP)で管理されます。
  • ReplicaSet は、Podの数を管理する役割を担い、定義された数のPodを維持します。Podの数が不足した場合、自動的に新しいPodが作成され、常にレプリカ数を維持します。
  • Deployment は、Podの展開やアップデートを一括で管理するため、運用中のPodに対してもスムーズなアップデートが可能です。

まとめ

Kubernetesの基本的な構成要素として、Pod、サービス、デプロイメント、レプリカセットなどがあり、それぞれが異なる役割を持っています。アクセス関連の用語では、サービスとクラスターIPが重要であり、数に関連する用語では、レプリカセットとデプロイメントが主要な役割を果たしています。これらの用語とリソースを理解することで、Kubernetesの効率的な運用管理が可能になります。