Kubernetes入門:マスターノードとワーカーノード

 Kubernetesは、複数の物理的または仮想的なマシンを使用してクラスタを形成し、そのクラスタを「マスターノード」と「ワーカーノード」で構成します。これらのノードはそれぞれ異なる役割を担い、Kubernetesクラスタの効率的な運用を支えています。マスターノードはクラスタ全体の制御を行い、ワーカーノードは実際のコンテナを動作させます。

マスターノードとワーカーノードの違い

項目マスターノードワーカーノード
役割クラスタ全体の管理と制御を行う実際にコンテナを実行する
主なコンポーネントAPIサーバー、スケジューラー、コントローラーマネージャー、etcdKubelet、コンテナランタイム(Docker、containerdなど)
コンテナの動作コンテナは実行されない実際にコンテナが実行される
制御の役割ワーカーノードのコンテナを管理、スケジューリング、監視マスターノードの指示に従ってコンテナを動作させる
マスターノードとワーカーノードの違い

マスターノードの詳細

 マスターノードはKubernetesクラスタ全体の「指揮官」として機能します。具体的には、以下のようなコンポーネントで構成され、各ワーカーノードを管理します。

  1. APIサーバー
     マスターノードとクラスタの他の部分(外部システムやユーザー、管理者など)とのやり取りを行います。APIリクエストはここで処理され、クラスタ全体の状態が管理されます。
  2. スケジューラー
     クラスタ内で新しいコンテナ(Pod)をどのワーカーノードに配置するかを決定します。ワーカーノードのリソース(CPU、メモリなど)を考慮し、最適な場所にコンテナをデプロイします。
  3. コントローラーマネージャー
     クラスタの状態を監視し、障害が発生した場合に自動で回復させる機能を持ちます。たとえば、コンテナがクラッシュした場合、新しいコンテナを立ち上げるのもこのコンポーネントの役割です。
  4. etcd
     クラスタのすべての情報を保存する分散型キー・バリューストアです。Kubernetesクラスタの全体的な状態がここに保存され、マスターノードが必要なデータにアクセスします。

ワーカーノードの詳細

 ワーカーノードは、実際にコンテナが動作する場所です。マスターノードからの指示を受け、以下のコンポーネントでコンテナを管理します。

  1. Kubelet
     ワーカーノードで動作するエージェントで、マスターノードからの指示に基づいてコンテナを実行します。また、コンテナの状態を監視し、必要に応じてコンテナの再起動や終了を行います。
  2. コンテナランタイム
     Dockerやcontainerdなどのコンテナランタイムがインストールされ、実際にコンテナを動作させます。コンテナの起動、停止、削除などの操作はすべてこのランタイムが担当します。
  3. Kube-proxy
     ネットワークルールを管理し、クラスタ内の通信が円滑に行われるように設定します。コンテナ間の通信や外部とのアクセス制御を行うため、ネットワークの要です。

クラスターの自律的な動作

 Kubernetesのクラスタは、マスターノードがワーカーノードを自律的に管理する仕組みで動作します。マスターノードが定義ファイル(マニフェストファイル)に基づいてワーカーノード上でコンテナを動作させます。管理者は主にマスターノードの初期設定を行い、その後はシステムが自動的にスケーリングや障害対応を行うため、手動での介入が少なくなります。

マスターノードとワーカーノードの協調動作

項目マスターノードの動作ワーカーノードの動作
コンテナのデプロイスケジューラーがコンテナを配置するワーカーノードを決定Kubeletが指示を受け、指定されたコンテナを実行
障害時の対応コントローラーマネージャーが障害を検出し、コンテナを再作成障害が発生したノードのコンテナが停止し、新たに別のノードでコンテナが再実行
リソース管理クラスタ全体のリソースを最適化し、適切に分配各ノードのリソース(CPU、メモリなど)を利用してコンテナを実行

まとめ

 Kubernetesのクラスタは、マスターノードとワーカーノードによって構成され、それぞれが異なる役割を果たしています。マスターノードは管理者のようにクラスタ全体の管理を行い、ワーカーノードは実際にコンテナを動作させるエンジンとして機能します。このように役割分担された構造により、システムは自律的に動作し、スケーラビリティや高可用性を実現しています。