LinuC入門|AlmaLinuxのホームディレクトリを英語表記に変更する方法

日本語の使いやすさはそのままに、ディレクトリ名だけを英語へ。AlmaLinuxのコマンド操作を、もっとシンプルで快適にしよう。

AlmaLinuxを日本語環境でインストールすると、ホームディレクトリの中にデスクトップ、ドキュメント、ダウンロード、画像などの日本語名ディレクトリが作成されることがあります。

日本語名はファイルマネージャーから操作するときには分かりやすいのですが、端末からコマンドを入力するときには、日本語入力への切り替えが必要です。シェルスクリプトや設定ファイルにパスを記述するときも、日本語を含まない英語名のほうが扱いやすい場面があります。

そこで、AlmaLinux 10.2の表示言語を日本語のまま維持しながら、ホームディレクトリ配下の標準ディレクトリだけを英語表記へ変更してみましょう。

この記事では、一般ユーザーsuzukiのホームディレクトリにあるデスクトップなどを、Desktopなどの英語名へ変更します。なお、変更するのはホームディレクトリそのものではありません。

/home/suzuki

上記のディレクトリ名を変更するのではなく、その中にある標準ディレクトリを変更します。

/home/suzuki/デスクトップ
      ↓
/home/suzuki/Desktop

操作には管理者権限を必要としません。変更したいディレクトリを所有している一般ユーザーsuzukiで実行します。

この記事は、AlmaLinux 10.2のGNOMEデスクトップ環境を前提としています。

ホームディレクトリに作成される標準ディレクトリ

デスクトップ、ドキュメント、ダウンロードなどは、単なる一般的なディレクトリ名ではありません。デスクトップ環境やアプリケーションが保存先として使用するユーザーディレクトリです。

代表的な対応関係は次のとおりです。

種類日本語名英語名主な用途
DESKTOPデスクトップDesktopデスクトップ画面で使用するファイル
DOCUMENTSドキュメントDocuments文書ファイル
DOWNLOADダウンロードDownloadsWebブラウザなどでダウンロードしたファイル
MUSIC音楽Music音声や音楽ファイル
PICTURES画像Pictures画像やスクリーンショット
PUBLICSHARE公開Publicほかのユーザーとの共有に使用するファイル
TEMPLATESテンプレートTemplates新規ファイル作成用のひな型
VIDEOSビデオVideos動画ファイル

XDGユーザーディレクトリの情報は、通常、ホームディレクトリ内の設定ファイルで管理されています。

/home/suzuki/.config/user-dirs.dirs

この設定では、DESKTOP、DOWNLOAD、DOCUMENTS、PICTURESなどの種類と、実際に使用するディレクトリのパスが対応付けられています。

ディレクトリ名を変更するときは、名前だけを手作業で変更するのではなく、この対応関係も正しく更新する必要があります。そこで使用するのがxdg-user-dirs-gtk-updateです。

英語表記へ変更するメリット

ホームディレクトリ内の標準ディレクトリを英語表記にすると、主に次のようなメリットがあります。

メリット説明
コマンドを入力しやすい日本語入力へ切り替えず、英数字だけでパスを入力できる
パスを読み取りやすいDesktopやDocumentsなど、用途を短い英語名で確認できる
スクリプトへ記述しやすい日本語の文字コードや入力環境を意識する場面が少なくなる
英語環境と合わせやすいサーバー、クラウド、開発環境などの英語名ディレクトリと表記を統一しやすい
手順書を共有しやすい多くのLinux資料で使用される英語表記と合わせられる

日本語名のパスでもLinuxは正常に操作できます。そのため、英語表記への変更は必須ではありません。

しかし、これからディレクトリ操作やファイル操作のコマンドを練習する場合は、英語表記にそろえておくと入力が簡単になります。

図1:日本語表記から英語表記へ変更する目的

この図から分かること

今回変更するのは、/home/suzukiというホームディレクトリ自体の名前ではありません。その中に作成されている8種類の標準ディレクトリです。

日本語名を英語名へそろえることで、端末からパスを入力するときに日本語入力へ切り替える回数を減らせます。Linuxの表示言語まで英語へ変更する操作ではないため、デスクトップ環境やメニューは引き続き日本語で利用できます。

変更前に現在のディレクトリを確認する

最初にlsコマンドを実行し、ホームディレクトリの内容を確認します。

suzuki@AlmaLinux:~$ ls
ダウンロード  テンプレート  デスクトップ  ドキュメント
ビデオ        音楽            画像            公開

日本語名の標準ディレクトリが表示されていれば、英語表記へ変更する準備ができています。

表示される順番は、環境や文字の並べ替え規則によって異なる場合があります。また、ユーザーが作成したほかのファイルやディレクトリがあれば、それらも一緒に表示されます。

lsコマンドとは

lsコマンドは、指定したディレクトリに保存されているファイルやディレクトリの名前を一覧表示するコマンドです。

今回は、変更前と変更後のホームディレクトリを確認するために使用します。

lsコマンドの書式

ls [オプション] [ディレクトリ]

ディレクトリを省略すると、現在いるディレクトリの内容が表示されます。プロンプトの~は、現在地がsuzukiのホームディレクトリであることを示しています。

lsは内容を表示するだけなので、ファイルやディレクトリの名前を変更したり削除したりすることはありません。

既存ファイルの有無を確認する

英語表記へ変更する前に、日本語名のディレクトリをファイルマネージャーで開き、必要なファイルが保存されていないか確認しておきましょう。

特に確認しておきたいのは、次のディレクトリです。

  • デスクトップ
  • ドキュメント
  • ダウンロード
  • 画像
  • テンプレート

日本語名のディレクトリが空であれば、比較的スムーズに名前が変更されます。

一方、ファイルやサブディレクトリが入っている場合は、英語名のディレクトリが新しく作成され、日本語名のディレクトリがそのまま残ることがあります。変更前に大切なファイルの保存場所を確認しておくと、変更後の整理がしやすくなります。

xdg-user-dirs-gtk-updateコマンドとは

xdg-user-dirs-gtk-updateは、現在の言語環境に合わせてXDGユーザーディレクトリを更新するためのGUIツールです。

端末から起動しますが、操作の確認にはグラフィカルなダイアログが使用されます。そのため、AlmaLinuxのGNOMEデスクトップへログインしている状態で実行します。

このツールは、言語環境が変わったことを検出し、標準ディレクトリ名を新しい言語に合わせて移行します。XDGのユーザーディレクトリ機能では、保存されているロケール情報をGUIツールが参照し、言語変更時の移行に使用します。

xdg-user-dirs-gtk-updateコマンドの書式

xdg-user-dirs-gtk-update

今回の使用例では、コマンドの直前にLANG=Cを指定します。

LANG=C xdg-user-dirs-gtk-update

LANG=Cの役割

LANGは、プログラムが使用する言語や地域設定を指定する環境変数です。

Cは、特定の地域向けに翻訳されていない基本的なロケールを表します。多くのLinuxコマンドでは、Cロケールを指定すると英語の表示や英語の標準名が使用されます。

LANG=C xdg-user-dirs-gtk-update

この書き方では、LANG=Cがxdg-user-dirs-gtk-updateの実行時だけ適用されます。AlmaLinux全体の表示言語や、次に実行するコマンドの言語設定を恒久的に変更するものではありません。

指定説明
LANG=C続くコマンドをCロケールで実行する
xdg-user-dirs-gtk-update現在のロケールに合わせて標準ディレクトリを更新する

LANG=Cは、xdg-user-dirs-gtk-updateのオプションではありません。コマンドを実行するときだけ使用する環境変数の指定です。

英語表記へ変更する手順

端末からコマンドを実行する

一般ユーザーsuzukiで端末を開き、次のコマンドを実行します。

suzuki@AlmaLinux:~$ LANG=C xdg-user-dirs-gtk-update

この操作にroot権限は必要ありません。rootユーザーで実行するとrootのホームディレクトリに対する設定変更になるため、必ず変更対象の一般ユーザーsuzukiで実行します。

確認ダイアログを操作する

コマンドを実行すると、標準ディレクトリの名前を現在の言語に合わせて更新するか確認する英語のダイアログが表示されます。

ダイアログには、主に次の項目が表示されます。

表示意味
Update standard folders to current language?標準ディレクトリを現在の言語に合わせて更新するか
Update Namesディレクトリ名を更新する
Keep Old Names現在の名前を維持する
Don’t ask me this again次回から同じ確認を表示しない

英語名へ変更するため、次のように操作します。

  1. Don’t ask me this againにチェックを入れる
  2. Update Namesをクリックする

Don’t ask me this againにチェックを入れておくと、次回のログイン時に日本語ロケールへ合わせて戻す確認が繰り返し表示されるのを防ぎやすくなります。

図2:英語名へ更新するダイアログの操作

この図から分かること

端末ではLANG=Cを付けてxdg-user-dirs-gtk-updateを実行します。これにより、このコマンドだけが英語の言語環境で動作します。

ダイアログでは、英語名へ移行するためにUpdate Namesを選択します。Keep Old Namesを選択すると日本語名が維持されるため、最初のダイアログでは選択を間違えないようにしましょう。

端末に表示される変更内容

Update Namesをクリックすると、ディレクトリの状態に応じて次のようなメッセージが端末へ表示されます。

Moving DESKTOP directory from デスクトップ to Desktop
Moving DOWNLOAD directory from ダウンロード to Downloads
Moving TEMPLATES directory from テンプレート to Templates
Moving PUBLICSHARE directory from 公開 to Public
Moving DOCUMENTS directory from ドキュメント to Documents
Moving MUSIC directory from 音楽 to Music
Moving PICTURES directory from 画像 to Pictures
Moving VIDEOS directory from ビデオ to Videos

それぞれの行は、どの種類の標準ディレクトリを、どの名前からどの名前へ移行しようとしているかを表しています。

たとえば、次の行はデスクトップ用ディレクトリをデスクトップからDesktopへ変更する処理を示します。

Moving DESKTOP directory from デスクトップ to Desktop

表示されるメッセージは環境や既存ディレクトリの状態によって異なる場合があります。また、このメッセージだけで日本語名のディレクトリがすべてなくなったと判断せず、lsで実際の結果を確認することが大切です。

lsコマンドで変更結果を確認する

ダイアログを閉じてプロンプトへ戻ったら、lsコマンドを実行します。

suzuki@AlmaLinux:~$ ls
Desktop  Documents  Downloads  Music  Pictures  Public  Templates  Videos

8種類の標準ディレクトリが英語名で表示されていれば、基本的な変更は完了です。

ファイルマネージャーも開き、左側のサイドバーやホーム画面に英語名が反映されているか確認しましょう。

変更直後にファイルマネージャーの表示が更新されない場合は、いったんログアウトしてから再びログインすると、新しい設定が反映されやすくなります。

日本語名と英語名の両方が表示される場合

変更後にlsを実行すると、次のように日本語名と英語名の両方が表示されることがあります。

suzuki@AlmaLinux:~$ ls
Desktop    Downloads  Pictures  Templates  デスクトップ  画像
Documents  Music      Public    Videos     ドキュメント

これは、英語名の標準ディレクトリが新しく設定された一方で、ファイルなどが入っている日本語名のディレクトリが残っている状態です。

この場合、すぐに日本語名のディレクトリを削除してはいけません。最初にファイルマネージャーで両方のディレクトリを開き、必要なファイルがどちらに保存されているか確認しましょう。

整理するときは、次の順番で進めます。

  1. 日本語名のディレクトリに必要なファイルがあるか確認する
  2. 必要なファイルを対応する英語名のディレクトリへ移動する
  3. 移動後に日本語名のディレクトリが空になったことを確認する
  4. 空になった日本語名のディレクトリを削除する
  5. lsを実行して英語名だけになったことを確認する

mvコマンドでファイルを移動する

mvコマンドは、ファイルやディレクトリを別の場所へ移動するコマンドです。同じ場所で移動先の名前を変更すると、名前変更のコマンドとしても使用できます。

ここでは、画像ディレクトリに残っているファイルをPicturesへ移動する例を見てみましょう。

mvコマンドの書式

mv [オプション] 移動元 移動先

複数のファイルを指定するときは、最後の引数に移動先ディレクトリを指定します。

mvコマンドの主なオプション

オプション説明
-i移動先に同じ名前のファイルがある場合、上書きする前に確認する

-iのiはinteractiveを表します。既存ファイルを誤って上書きする危険を減らせるため、手作業で整理するときに適しています。

mvコマンドの使用例

画像ディレクトリに残っている通常のファイルやサブディレクトリをPicturesへ移動します。

suzuki@AlmaLinux:~$ mv -i ~/画像/* ~/Pictures/

各部分の意味は次のとおりです。

指定説明
mvファイルやディレクトリを移動する
-i同名ファイルを上書きする前に確認する
~/画像/*画像ディレクトリ内にある通常のファイルやサブディレクトリ
~/Pictures/移動先となる英語名のディレクトリ

~は、現在のユーザーのホームディレクトリを表します。suzukiが実行した場合、~/画像は/home/suzuki/画像を意味します。

移動先に同じ名前のファイルがあると、上書きしてよいか確認されます。内容を確認し、必要なファイルを消さないように判断してください。

なお、*では名前が.から始まる隠しファイルは対象になりません。日本語名のディレクトリを削除する前に、ファイルマネージャーでも内容を確認すると安心です。

rmdirコマンドで空のディレクトリを削除する

必要なファイルをすべてPicturesへ移動し、画像ディレクトリが空になったら、rmdirコマンドで削除できます。

rmdirは、空のディレクトリだけを削除するコマンドです。ファイルが残っているディレクトリは削除できないため、誤って中身ごと削除する危険を抑えられます。

rmdirコマンドの書式

rmdir [オプション] ディレクトリ

rmdirコマンドの使用例

suzuki@AlmaLinux:~$ rmdir ~/画像

画像ディレクトリが空であれば削除されます。

ファイルやサブディレクトリが残っている場合は、次のようなエラーが表示されます。

rmdir: '画像' を削除できません: ディレクトリは空ではありません

この場合は無理に削除せず、ファイルマネージャーで画像ディレクトリの内容をもう一度確認してください。

ファイルを整理した後の確認

日本語名のディレクトリを整理したら、lsコマンドで確認します。

suzuki@AlmaLinux:~$ ls
Desktop  Documents  Downloads  Music  Pictures  Public  Templates  Videos

日本語名のディレクトリが表示されず、必要な英語名ディレクトリがそろっていれば整理は完了です。

複数の日本語名ディレクトリが残っている場合は、それぞれについて同じように内容を確認します。

残っている日本語名ファイルの移動先
デスクトップDesktop
ドキュメントDocuments
ダウンロードDownloads
音楽Music
画像Pictures
公開Public
テンプレートTemplates
ビデオVideos

変更後に確認ダイアログが表示された場合

LANG=Cを付けたコマンドが終了すると、通常の日本語ロケールはそのまま維持されています。

そのため、ログアウト後に再びログインしたとき、英語名の標準ディレクトリを日本語名へ戻すか確認するダイアログが表示される場合があります。

最初の英語ダイアログでDon’t ask me this againにチェックを入れていれば、通常は同じ確認が繰り返されにくくなります。ただし、デスクトップ環境の状態や以前の設定によっては、次回ログイン時に日本語の確認ダイアログが表示されることがあります。

英語名を維持したい場合は、次のように操作します。

  1. 次回から表示しないにチェックを入れる
  2. 古い名前のままにするをクリックする

ここでいう古い名前とは、現在使用しているDesktopやDocumentsなどの英語名です。

日本語のダイアログが表示された時点では、現在のロケールが日本語、新しい候補が日本語名、現在使用中の古い名前が英語名という関係になります。そのため、英語名を維持するには古い名前のままにするを選択します。

名前を更新するを選ぶと、日本語名へ戻る可能性があるので注意しましょう。

図3:英語名を維持するための確認ポイント

この図から分かること

変更直後は、lsで8種類の英語名ディレクトリが作成されていることを確認します。日本語名が残っている場合は、中身を確認してから対応する英語名ディレクトリへファイルを移動します。

再ログイン後に言語変更のダイアログが表示された場合は、古い名前のままにするを選択します。これにより、現在使用している英語名を維持できます。

GUIから確認するときのポイント

コマンドによる操作が完了したら、GNOMEのファイルマネージャーでも確認しておきましょう。

確認する場所は次のとおりです。

  • ホームディレクトリにDesktopなどが表示されているか
  • ファイルマネージャーのサイドバーが英語名を参照しているか
  • DocumentsやPicturesを正常に開けるか
  • 日本語名のディレクトリに必要なファイルが残っていないか
  • デスクトップに置いていたファイルがDesktopに保存されているか

ファイルマネージャーのサイドバーに古い表示が残っている場合は、いったんログアウトして再ログインすると反映されることがあります。

この操作で注意したいこと

ホームディレクトリ内の標準ディレクトリを変更するときは、次の点に注意してください。

  • /home/suzuki自体の名前を変更する操作ではない
  • rootではなく、変更対象の一般ユーザーsuzukiで実行する
  • GNOMEへログインしているグラフィカルな環境で実行する
  • LANG=Cは一時的な言語指定であり、システム全体の表示言語は変更しない
  • ダイアログではUpdate Namesを選択する
  • 変更後はlsで実際のディレクトリ名を確認する
  • 日本語名と英語名が両方残った場合は、ファイルを確認してから整理する
  • mvでは移動先の同名ファイルを上書きしないように-iを使用する
  • rmdirは日本語名のディレクトリが空になってから実行する
  • 再ログイン後の確認では、英語名を維持するために古い名前のままにするを選択する

英語表記への変更は、AlmaLinuxをインストールして間もない時期に行うとスムーズです。標準ディレクトリにファイルが増える前であれば、日本語名のディレクトリが残りにくく、移動や整理の作業も少なく済みます。