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Linux基礎:nanoエディタ

nanoエディタ

 Linuxでテキストファイルを編集するとき、従来よく利用されてきたのは viエディタ(Vim) ですが、初心者には操作が難しく感じられることもあります。そのため、より直感的で分かりやすいテキストエディタとして nanoエディタ が広く利用されています。

 nanoはモード切り替えがなく、画面下部にショートカットキーが常に表示されるため、基本操作を覚えやすく、サーバー管理に不慣れなユーザーでも扱いやすいという特徴があります。特に設定ファイルの編集や、軽微な修正作業では素早く利用できるため、viエディタが苦手な方にとって有力な選択肢となります。

 ここでは、Rocky Linux の環境を例に、nanoエディタのインストール、起動方法、基本操作、保存と終了の手順などを詳しく解説します。

1.nanoエディタのインストールと起動

1.1. インストール

 Rocky Linux では標準で nano が入っていないこともあります。その場合、rootユーザーで以下のコマンドを実行してインストールします。

書式

dnf install nano

使用例

[root@rocky9 ~]# dnf install nano

解説: dnf コマンドを使い、パッケージマネージャから nano を導入します。インストール済みであれば再インストールは不要です。

1.2. nanoの起動方法

書式

nano [オプション] [ファイル名]

主なオプション

オプション説明
-w長い行を自動で折り返さない。
-c現在のカーソル位置を常に表示
-mマウス操作を有効化
-l行番号を表示

使用例

[user@rocky9 ~]$ nano memo.txt

この例では memo.txt を新規作成または既存ファイルを編集する形で nano が起動します。

2.nanoエディタの基本操作

2.1. 画面構成

nanoを起動すると、画面下部にショートカットの一覧が表示されます。
例: ^OCtrl + O を意味します。

  • 画面中央: 編集対象ファイルの本文
  • 画面下部: 利用可能なショートカット表示(操作ヘルプ)

2.2. 主な基本操作

操作キー説明
Ctrl+Gヘルプを表示
Ctrl+C現在のカーソル位置を表示
Ctrl+A行頭に移動
Ctrl+E行末に移動
Ctrl+K行をカット(削除してバッファに保存)
Ctrl+Uカットした行を貼り付け
Alt+^行をコピー
Ctrl+W文字列検索
Ctrl+Y / Ctrl+V前ページ / 次ページへ移動
Ctrl+O保存(書き込み)
Ctrl+Xnanoを終了

補足: nanoではモード切替が存在しないため、キー入力はすぐに文字挿入として反映されます。これは vi と大きく異なる点です。

3.保存と終了の操作

3.1. 保存

ファイルを保存するには Ctrl+O を押します。
すると次のように表示されます。

書き込むファイル: memo.txt 

 ここで Enter を押せば上書き保存され、別名保存したい場合はファイル名を入力して確定します。

3.2. 終了

 nanoを終了するには Ctrl+X を押します。変更が保存されていない場合、次のような確認メッセージが出ます。

変更されたバッファを保存しますか?                             
 Y はい
 N いいえ       ^C 取消
  • 保存する場合 → y を入力
  • 保存しない場合 → n を入力
  • 別名保存する場合 → y の後に新しいファイル名を入力

4.実際の利用例

例: file3.txt を編集する流れ

[user@rocky9 ~]$ nano file3.txt
  1. ファイルが開いたら本文を編集
  2. Ctrl+O → 保存
  3. Ctrl+X → 終了

もし保存せずに終了したい場合は Ctrl+Xn を選択します。


まとめ

  • nanoエディタは モード切替が不要で直感的、初心者に扱いやすいテキストエディタ。
  • Rocky Linux では dnf install nano で導入可能。
  • 起動は nano ファイル名、ショートカット操作は画面下部に常に表示。
  • 保存は Ctrl+O、終了は Ctrl+X。変更を保存せず終了する場合は n を入力する。
  • viエディタよりも学習コストが低く、ちょっとした設定変更やメモ編集に便利。

 Linuxサーバーでのテキスト編集において、vi が標準的である一方、nano は「とりあえず使える」安心感があります。特に LPIC学習の補助設定ファイルの簡易修正 では強力なツールとなります。