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Linuxコマンドの基本:bashの設定ファイルのカスタマイズ

bashの設定ファイルのカスタマイズ

 bashの設定ファイルをカスタマイズすることで、シェル環境を自分好みに設定し、作業効率を向上させることができます。ここでは、~/.bashrc ファイルを編集してカスタマイズする方法について解説します。設定ファイルのバックアップ方法、カスタマイズの具体例、定義の解説、適用手順、復元方法を順に説明します。

bashの設定ファイルを .bashrc.old としてバックアップする

 設定ファイルを編集する前に、現在の設定をバックアップしておくことをお勧めします。バックアップを取ることで、万が一問題が発生した場合でも、元の状態に戻すことができます。以下のコマンドでバックアップを作成します。

このコマンドは、~/.bashrc ファイルを ~/.bashrc.old という名前でコピーします。

user01@ubuntu:~$ cp ~/.bashrc ~/.bashrc.old

bashの設定ファイルのカスタマイズの例

以下は、~/.bashrc ファイルに追加するカスタマイズの例です。

# カスタムプロンプトの設定
PS1='[\u@\h \W]\$ '

# エイリアスの設定
alias ll='ls -alF'
alias la='ls -A'
alias l='ls -CF'

# デフォルトエディタの設定
export EDITOR=nano

# パスの追加
export PATH="$HOME/bin:$PATH"

カスタマイズした 定義の解説

1.カスタムプロンプトの設定

PS1='[\u@\h \W]\$ '
  • \u:現在のユーザー名を表示します。
  • \h:ホスト名(マシン名)を表示します。
  • \W:カレントディレクトリの末尾(ディレクトリ名)を表示します。
  • \$:スーパーユーザーの場合は #、それ以外は $ を表示します。

この設定により、プロンプトは以下のようになります。

[user@hostname dirname]$

2.エイリアスの設定

alias ll='ls -alF'
alias la='ls -A'
alias l='ls -CF'
  • alias ll='ls -alF'll コマンドで ls -alF を実行します。詳細なファイル情報を表示します。
  • alias la='ls -A'la コマンドで ls -A を実行します。隠しファイルを含むすべてのファイルを表示します。
  • alias l='ls -CF'l コマンドで ls -CF を実行します。ファイルを列形式で表示します。

3.デフォルトエディタの設定

export EDITOR=nano
  • EDITOR 環境変数nano に設定します。これにより、crontab -e などのコマンドで自動的に nano が使用されます。

4.パスの追加

export PATH="$HOME/bin:$PATH"
  • $HOME/bin ディレクトリを PATH 環境変数の先頭に追加します。これにより、ホームディレクトリ内の bin ディレクトリに配置したスクリプトやプログラムをコマンドとして実行できます。

カスタマイズした bash の設定ファイルの適用手順

1.~/.bashrc ファイルを編集する

好みのテキストエディタで ~/.bashrc を開きます。

user01@ubuntu:~$ nano ~/.bashrc

2.カスタマイズ内容を追加する

先ほどのカスタマイズ例をファイルの末尾に追加します。

# カスタムプロンプトの設定
PS1='[\u@\h \W]\$ '

# エイリアスの設定
alias ll='ls -alF'
alias la='ls -A'
alias l='ls -CF'

# デフォルトエディタの設定
export EDITOR=nano

# パスの追加
export PATH="$HOME/bin:$PATH"

3.ファイルを保存して閉じる

  • Ctrl + O を押してファイルを保存します。
  • ファイル名を確認して Enter キーを押します。
  • Ctrl + X を押してエディタを終了します。

4.設定を反映させる

新しいターミナルを開くか、現在のシェルで以下のコマンドを実行して設定を適用します。

user01@ubuntu:~$ source ~/.bashrc

bash の設定ファイルを復元する

万が一、カスタマイズによって問題が発生した場合は、バックアップから元の設定ファイルを復元します。

1.バックアップファイルを確認する

[user01@ubuntu ~]$ ls -l ~/.bashrc.old

2.バックアップから復元する

[user01@ubuntu ~]$ cp ~/.bashrc.old ~/.bashrc

3.設定を反映させる

これで、設定が元に戻ります。

[user01@ubuntu ~]$ source ~/.bashrc
user01@ubuntu:~$ 

まとめ

  • バックアップの重要性:設定ファイルを編集する前に必ずバックアップを取りましょう。
  • カスタマイズの効果:プロンプトやエイリアス、環境変数を設定することで、作業効率を向上させることができます。
  • 適用手順:編集後は source ~/.bashrc で設定を反映させます。
  • 復元方法:問題が発生した場合は、バックアップから元の設定を復元できます。

bash の設定ファイルをカスタマイズして、自分にとって使いやすいシェル環境を構築しましょう。