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Linuxコマンドの基本:環境変数を設定する:exportコマンド

環境変数を設定する:exportコマンド

 Linuxシステムにおいて、環境変数を設定することでシェルやコマンドの動作をカスタマイズできます。環境変数は、シェル内だけでなく外部コマンドからも参照されるため、システム全体の挙動に影響を与えます。

 ここでは、環境変数を設定するための基本的なコマンドである export コマンド について詳しく解説します。export コマンドを使用してシェル変数を環境変数として宣言することで、外部コマンドでもその変数を利用できるようになります。

 具体的な例として、less コマンドに特定のオプションを常に適用する方法を紹介します。これにより、日々の作業効率を向上させ、システムを自分好みにカスタマイズする方法を学びましょう。

export コマンドの使い方

環境変数を自分で設定するには、export コマンドを使用します。

【書式】
export <シェル変数名>

  • シェル変数名:環境変数として設定したいシェル変数の名前。

例:less コマンドでの利用

 less コマンドには、LESS という環境変数が用意されており、この変数に設定された値は自動的にオプションとして適用されます。例えば、less コマンド終了時に画面を消去しない --no-init オプションを常に適用したい場合があります。

通常の less コマンドの動作

user01@ubuntu:~$ less /etc/crontab
  • crontab ファイルの内容が表示されます。
  • q キーを押して less を終了すると、画面が消去されてプロンプトに戻ります。

シェル変数 LESS を設定して環境変数にする

1.シェル変数に値を設定

user01@ubuntu:~$ LESS='--no-init'

2.exportコマンドで環境変数として宣言

user01@ubuntu:~$ export LESS
  • これで、LESS シェル変数が環境変数として設定されました。
  • 以降、less コマンドを実行するたびに --no-init オプションが自動的に適用されます。

動作確認

user01@ubuntu:~$ less /etc/crontab
# /etc/crontab: system-wide crontab
# Unlike any other crontab you don't have to run the 'crontab'
# command to install the new version when you edit this file
# and files in /etc/cron.d. These files also have username fields,
# that none of the other crontabs do.
...(以下省略)...
  • crontab ファイルの内容が表示されます。
  • q キーを押して less を終了すると、画面が消去されずにプロンプトに戻ります。

一行で値の設定と環境変数の宣言を行う

export コマンドでは、値の設定と環境変数としての宣言を一行で行うことができます。

user01@ubuntu:~$ export LESS='--no-init'
  • この形式は設定ファイル(例:.bashrc)でもよく使用されます。

まとめ

  • 環境変数を設定するには、export コマンドを使用します。
  • 書式:export <シェル変数名>
  • シェル変数に値を設定し、export することで環境変数として宣言できます。
  • 例:export LESS='--no-init'
  • 環境変数は外部コマンドからも参照されるため、コマンドのデフォルト設定を変更する際に便利です。
  • less コマンドの例では、LESS 環境変数を設定することで、毎回オプションを指定せずにデフォルトの動作をカスタマイズできます。

 環境変数を適切に設定することで、システムの操作性が向上し、日々の作業が効率化されます。ぜひ、自分の作業スタイルに合わせて環境変数を活用してみてください。