
Linuxコマンドの基本:suとsudoのどちらを使えばよいか
Linuxシステムにおいて、管理者権限を取得する方法としてsuとsudoがあります。両者はスーパーユーザー(rootユーザー)の権限でコマンドを実行できる点で共通していますが、その使い方や特性には違いがあります。ここでは、suとsudoの違いを理解し、どちらを使うべきかについて解説します。

suとsudoの比較
まず、suとsudoの主な違いを以下の表にまとめます。
コマンド | 概要 | 認証方法 | 権限の継続性 | 権限の制御 |
---|---|---|---|---|
su | シェル全体を別のユーザーに切り替える | 切り替え先ユーザーのパスワード(通常はrootのパスワード)を入力 | exit コマンドで明示的に終了するまでスーパーユーザー権限が継続 | 細かな制御は不可 |
sudo | 特定のコマンドを別のユーザーとして実行 | 現在のユーザーのパスワードを入力 | コマンド実行後、自動的に一般ユーザーに戻る | 設定により実行可能なコマンドを制限可能 |
suコマンドの特徴
- 権限の継続:
su
コマンドでスーパーユーザーに切り替えると、exit
コマンドを実行するまでスーパーユーザー権限が継続します。 - 作業時間の長期化:スーパーユーザーでの作業時間が長くなる傾向があります。
- リスク:スーパーユーザーでの操作中に誤操作を行うと、システムに重大な影響を与える可能性があります。
sudoコマンドの特徴
- 一時的な権限取得:
sudo
は特定のコマンドのみをスーパーユーザー権限で実行します。 - 最小限の権限使用:必要なときに必要なコマンドだけを管理者権限で実行できます。
- 細かな権限制御:設定ファイル(
/etc/sudoers
)を編集することで、ユーザーごとに実行可能なコマンドを制限できます。
どちらを使うべきか
スーパーユーザーでの操作は、システムの重要なファイルを誤って削除するなど、致命的な問題を引き起こすリスクがあります。そのため、スーパーユーザーでの作業は最小限に抑えることが推奨されています。
sudoの利点
- 安全性の向上:一度に一つのコマンドだけを管理者権限で実行するため、誤操作のリスクが低減します。
- 権限の制限:ユーザーごとに許可するコマンドを限定できるため、セキュリティを強化できます。
- ログの記録:
sudo
で実行したコマンドはログに記録され、監査やトラブルシューティングに役立ちます。
suの利点
- 簡便性:スーパーユーザーでの複数の操作を連続して行う場合に便利です。
- 設定不要:
sudo
のような事前設定が不要で、すぐに使用できます。
結論
- 初心者やセキュリティを重視する場合:
sudo
の使用を推奨します。 - 一時的にスーパーユーザーでのまとまった量の作業が必要な場合:
su
を使用して連続的な管理者作業を行うことも可能です。
現在の傾向
最近のLinuxディストリビューションでは、インストール時に作成した一般ユーザーにデフォルトでsudo
の権限が付与されていることが多く、sudo
の使用が一般的になりつつあります。
注意点
sudo
の設定:sudo
を使用するための設定変更(/etc/sudoers
の編集)は、Linuxに不慣れなユーザーにとっては難しい場合があります。- ディストリビューションの初期設定を活用:まずは使用しているディストリビューションの初期設定に従い、
sudo
を試してみることをおすすめします。 su
の活用:sudo
が利用できない場合や設定が難しい場合は、su
を使ってスーパーユーザーに切り替える方法を検討してください。
まとめ
sudo
の方が安全性と制御性が高く、現在では主流となっています。su
は設定不要で手軽にスーパーユーザーに切り替えられますが、長時間の管理者権限の使用はリスクがあります。- 自分の環境やスキルレベルに合わせて、適切な方法を選択してください。
これらを踏まえて、Linuxシステムの管理を行う際には、最小限の権限で必要な作業を行うことが重要です。sudo
とsu
の特徴を理解し、適切に使い分けることで、安全かつ効率的なシステム運用が可能になります。