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Linuxコマンドの基本:ドキュメントの日本語と英語の切り替え
ドキュメントの日本語と英語の切り替え
Linuxシステムでは、多くのコマンドのヘルプやman
ページが日本語で提供されています。これは、日本語を母国語とするユーザーにとって非常に便利であり、理解を深める助けとなります。日本語のman
ページは、JMプロジェクトによって翻訳されており、そのウェブサイトからも手軽に閲覧することができます。
JMプロジェクト
しかし、システムの言語設定によっては、ヘルプメッセージやman
ページが英語で表示されることがあります。また、英語のドキュメントの方が最新情報を含んでいる場合もあります。ここでは、コマンドのヘルプやman
ページを日本語と英語で切り替える方法について解説します。
言語設定の切り替え方法
コマンドの実行時に、環境変数 LANG
を一時的に設定することで、表示される言語を切り替えることができます。
日本語でヘルプを表示する
システムの言語設定が日本語でない場合でも、コマンドの前に LANG=ja_JP.UTF-8
を付けることで、日本語のヘルプメッセージを表示できます。
例:cat
コマンドのヘルプを日本語で表示
user01@ubuntu:~$ LANG=ja_JP.UTF-8 cat --help
実行結果
使用法: cat [オプション]... [ファイル]...
ファイル (複数可) の内容を結合して標準出力に出力します。
ファイルの指定がない場合や FILE が - の場合、標準入力から読み込みを行います。
-A, --show-all -vET と同じ
-b, --number-nonblank 空行以外に行番号を付ける。-n より優先される
-e -vE と同じ
-E, --show-ends 行の最後に $ を付ける
...(以下省略)...
英語でヘルプを表示する
デフォルトの言語設定(英語)に戻すには、LANG=C
を指定します。C
はPOSIX標準のロケールであり、英語環境を意味します。
例:cat
コマンドのヘルプを英語で表示
user01@ubuntu:~$ LANG=C cat --help
実行結果
Usage: cat [OPTION]... [FILE]...
Concatenate FILE(s) to standard output.
With no FILE, or when FILE is -, read standard input.
-A, --show-all equivalent to -vET
-b, --number-nonblank number nonempty output lines, overrides -n
-e equivalent to -vE
...(以下省略)...
他のコマンドでも適用可能
この言語設定の切り替え方法は、cat
コマンド以外のほとんどのコマンドで利用可能です。コマンドの前に LANG=言語コード
を付けることで、一時的に言語を変更して実行できます。
主な言語コードの一覧
言語 | 言語コード |
---|---|
日本語 | ja_JP.UTF-8 |
英語 | en_US.UTF-8 |
デフォルト | C |
言語設定を環境変数として設定
言語の切り替えを頻繁に行う場合、環境変数 LANG
の値を設定ファイル(例:~/.bashrc
)に記述しておくと便利です。これにより、シェル起動時に自動的に希望する言語設定が適用されます。
例:~/.bashrc
に日本語設定を追加
export LANG=ja_JP.UTF-8
日本語と英語のドキュメントの違いに注意
日本語のヘルプやman
ページは、英語のドキュメントを翻訳したものですが、以下の点に注意が必要です。
- 翻訳の遅れ:新しいオプションや機能が追加された場合、英語のドキュメントには記載があっても、日本語のドキュメントにはまだ反映されていないことがあります。
- 翻訳の不正確さ:一部の翻訳が不正確であったり、原文のニュアンスが伝わりにくい場合があります。
- 未翻訳のドキュメント:そもそも日本語に翻訳されていないコマンドやオプションも存在します。
対策
- 英語のドキュメントも参照する:正確な情報を得るために、英語のヘルプや
man
ページを確認しましょう。 - 必要に応じて言語を切り替える:上記の方法で言語を切り替えて、最新の情報を得ることが重要です。
まとめ
- LANG環境変数を利用して言語を切り替える:コマンド実行時に
LANG=言語コード
を指定することで、表示言語を一時的に変更できます。 - 日本語と英語のドキュメントを使い分ける:日本語のドキュメントは理解しやすい反面、最新情報が反映されていない場合があります。正確な情報を得るために、英語のドキュメントも参照しましょう。
- 環境変数の設定を活用する:頻繁に言語を切り替える場合、環境変数
LANG
を設定ファイルに記述しておくと便利です。