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Linuxコマンドの基本:テキストファイルとバイナリファイル

 これまでのコマンド演習を進める中で、さまざまなファイルを扱ってきました。これらのファイルは、その内容によって大きくテキストファイルバイナリファイルの2種類に分類できます。ここでは、この2種類のファイルについて解説します。

テキストファイル

 テキストファイルとは、その名のとおりテキスト(文字列)が書かれたファイルのことです。たとえば、自分で書いたメモ、プログラムのソースコード、ウェブページを作成するHTMLファイルなどがテキストファイルに該当します。これらのファイルは、人間が直接読んで理解できる形式で保存されています。

特徴

  • 人間が読める形式:文字情報がそのまま記述されているため、内容を直接確認できます。
  • 編集が容易catコマンドやlessコマンドで表示でき、テキストエディタで簡単に編集できます。
  • 互換性が高い:異なるアプリケーション間でもデータを共有しやすい。

例:/etc/crontabファイル

以下は、テキストファイルの例としてシステムの/etc/crontabファイルの一部です。

user01@ubuntu:~$ cat /etc/crontab 
実行結果
SHELL=/bin/sh
# You can also override PATH, but by default, newer versions inherit it from the environment
#PATH=/usr/local/sbin:/usr/local/bin:/usr/sbin:/usr/bin:/sbin:/bin

# Example of job definition:
# .---------------- minute (0 - 59)
# |  .------------- hour (0 - 23)
# |  |  .---------- day of month (1 - 31)
# |  |  |  .------- month (1 - 12) OR jan,feb,mar,apr ...
...(以下省略)...

バイナリファイル

 一方、バイナリファイルとは、画像ファイルや音声ファイル、Linuxコマンドの実行ファイル(たとえば、catコマンドの実体ファイルである/usr/bin/cat)など、人間が直接読めない形式で保存されたファイルのことです。これらのファイルは、文字列ではなくバイナリデータで構成されており、専用のアプリケーションで処理することを前提としています。

特徴

  • 人間が直接読めない:内容がバイナリデータのため、テキストエディタで開いても意味のある情報は得られません。
  • 専用のアプリケーションが必要:画像ビューアやメディアプレーヤーなど、適切なアプリケーションで開く必要があります。
  • データの効率的な保存:テキストファイルに比べて、データを効率的に保存・圧縮できます。

例:/usr/bin/catファイル

 /usr/bin/catは、catコマンドの実行ファイルであり、バイナリファイルです。catコマンドに-vオプションを付けて無理やり表示することはできますが、中身を直接理解することは困難です。

user01@ubuntu:~$ cat -v /usr/bin/cat
実行結果

テキストファイルの利点

 Linuxでは、設定ファイルやアプリケーションのデータファイルなど、多くの場面でテキストファイルが使用されています。たとえば、これまで使ってきたbashや、Webサーバとして一般的なApacheの設定ファイルはテキストファイルです。

テキストファイルが広く利用されている理由は、以下のような利点があるためです。

  • 内容の理解が容易:専用のアプリケーションを使わなくても、テキストエディタで内容を確認・編集できます。
  • 高い互換性:1つのファイル形式を別のアプリケーションからも利用しやすく、データの共有が容易です。
  • 豊富なコマンド群:Linuxにはテキストファイルを扱うためのコマンドが多く用意されており、それらを活用できます。

テキストエディタの重要性

 Linuxを使う上で、テキストファイルの編集は避けて通れません。そのため、テキストファイルを編集するためのアプリケーションであるテキストエディタを使いこなすことが非常に重要です。テキストエディタは単にエディタとも呼ばれ、Windowsでは「メモ帳」、Mac OSでは「テキストエディット」などが標準でインストールされています。Linuxでは、「Vim」が広く利用されています。「Vim」とは、vi互換のエディタとして最も一般的に使用されているLinuxのテキストエディタです。

テキストエディタを使いこなすメリット

  • 編集効率の向上:テキスト編集の効率が飛躍的に上がります。
  • 作業の効率化:設定ファイルの編集やスクリプトの作成など、Linuxでの作業全般がスムーズになります。
  • 柔軟な操作性:高度な編集機能やカスタマイズ性により、自分の作業スタイルに合わせて使えます。

まとめ

  • テキストファイル:人間が読める形式で文字列が記述されたファイル。設定ファイルやソースコードなど。
  • バイナリファイル:人間が直接読めない形式でデータが保存されたファイル。画像ファイルや実行ファイルなど。
  • テキストファイルの利点:内容の理解・編集が容易であり、互換性が高く、多くのコマンドで操作可能。
  • テキストエディタの重要性:Linuxでの作業効率を高めるために、テキストエディタを使いこなすことが不可欠。

 テキストエディタの操作方法を習得することで、Linuxシステムをより効果的に活用できるようになります。次のコンテンツで、具体的なテキストエディタの操作方法について解説していきます。