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Linuxコマンドの基本:標準入力・標準出力・標準エラー出力

標準入力・標準出力・標準エラー出力

 Linuxには数多くのコマンドが用意されていますが、それぞれのコマンドはできるだけ小さく、シンプルな動作をするように設計されています。これは、一つのコマンドに多機能を詰め込むよりも、一つの機能に特化させた方がわかりやすく、使いやすいという考えに基づいています。

 しかし、複雑な処理を行うためには、これらの小さなコマンドを連携させる必要があります。そのために用いられるのが、「リダイレクト」や「パイプライン」といった仕組みです。ここでは、これらのコマンド間で情報をやりとりするための基礎知識として、標準入力標準出力標準エラー出力について解説します。

標準入力・標準出力・標準エラー出力とは

 Linuxでコマンドを実行すると、コマンドは自動的に標準的な入出力チャネルを持ちます。ここでいうチャネルとは、データの流れる経路(データの道)を指します。コマンドはこれらのチャネルを通じて、データの入力や出力を行います。

標準入出力チャネルの概要

以下の表に、標準入力、標準出力、標準エラー出力の概要をまとめます。

名称説明デフォルトの接続先
標準入力 (stdin)プログラムの標準的な入力元。ユーザーからの入力を受け取る。キーボード
標準出力 (stdout)プログラムの標準的な出力先。実行結果や情報を出力する。端末ディスプレイ
標準エラー出力 (stderr)プログラムのエラーメッセージを出力するための出力先。端末ディスプレイ(標準出力と同じ)
標準入出力チャネル

これら3つを総称して、標準入出力と呼びます。

標準入出力チャネルのイメージ図

  • 標準入力:通常、キーボードからの入力がコマンドに渡されます。
  • 標準出力:コマンドの実行結果が、通常は端末ディスプレイに表示されます。
  • 標準エラー出力:エラーメッセージが、通常は標準出力と同じく端末ディスプレイに表示されます。

標準入出力の柔軟性

 標準入力はキーボード以外にも、ファイルや他のコマンドの出力を入力元とすることができます。同様に、標準出力や標準エラー出力も、端末ディスプレイ以外にファイルプリンターなどに変更することが可能です。

 これは、標準入出力が抽象化されており、ユーザーがシェルを通じて入出力先を自由に設定できるためです。これにより、コマンドの内部を変更せずに、データの流れを柔軟に制御できます。

標準入出力チャネルとコマンドの関係

  • シェルは、標準入出力の接続先を制御し、ユーザーが柔軟に設定できるようになっています。

標準入出力を利用したコマンド連携

コマンド同士を連携させる際に、標準入出力の仕組みが活用されます。

  • リダイレクト:標準入出力の接続先をファイルなどに変更します。
    例:ls > filelist.txt(標準出力をfilelist.txtにリダイレクト)
  • パイプライン:一つのコマンドの標準出力を、別のコマンドの標準入力として接続します。
    例:ls | grep 'txt'lsの出力をgrepの入力として渡す)

これらの機能を利用することで、小さなコマンドを組み合わせて複雑な処理を実現できます。

まとめ

  • 標準入力(stdin)標準出力(stdout)標準エラー出力(stderr)は、コマンドがデータをやり取りするための基本的なチャネルです。
  • これらのチャネルは、デフォルトではキーボードや端末ディスプレイに接続されていますが、シェルの機能を使って自由に変更できます。
  • 標準入出力の抽象化により、コマンド内部を変更せずにデータの流れを制御でき、小さなコマンドを組み合わせて強力な機能を実現できます。
  • 今後、この標準入出力を活用したリダイレクトやパイプラインの使い方を学ぶことで、Linuxのコマンド操作をより効率的に行えるようになります。