Linuxコマンドの基本:Gitのマニュアル

 ここでは、Gitを使いこなすうえで重要なmanページ(マニュアルページ)やgit helpコマンドを利用して、詳細情報を得る方法を紹介します。多機能なGitを深く理解し、効果的に活用するためにも、マニュアルへのアクセス手段を知っておきましょう。


なぜGitのマニュアルが重要なのか

 Gitは多機能かつ柔軟なバージョン管理システムであり、commitlogなど多くのサブコマンドと豊富なオプションを備えています。本書ではGitの一部の機能しか紹介できませんが、より詳細な情報を知りたい場合や、特定のオプションの意味を調べたい場合は、Gitのマニュアルページが役立ちます。

 Linuxシステムで一般的なmanコマンドを用いてGitのマニュアルを参照できるほか、git helpコマンドでも同様の情報にアクセスできます。これらを活用すれば、ネットワークがない環境や、外部ドキュメントが手元にない場合でも、Gitに関する詳細な情報を簡単に確認可能です。

Gitマニュアル関連コマンド一覧表

コマンド役割・詳細使用例
man gitGit本体のマニュアルページを表示します。
Git全体の概要や共通オプション、Gitコマンドの一覧などが確認可能です。
$ man git
man git-<サブコマンド名>指定したサブコマンド(例:git-log, git-commitなど)の詳細なマニュアルページを表示します。
コマンドのオプションや使用例が確認可能です。
$ man git-log
git help <サブコマンド>man git-<サブコマンド名>と同様の情報を表示します。
git help単体で実行すると、Git全体のヘルプメッセージ(コマンド一覧)が出力されます。
$ git help log

Git本体のマニュアルを参照する

 Git本体の概略や共通オプション、利用可能なコマンド一覧を確認したい場合は、man gitコマンドを使用します。

Git本体のマニュアルを表示

$ man git

解説

man gitはGit全体の概要や構成を示します。NAMESYNOPSISDESCRIPTIONなどのセクションでGitの基本的な使い方や共通オプションを理解できるため、Gitの基礎を振り返る際に役立ちます。

出力内容

GIT(1)                         Git Manual                         GIT(1)

NAME
       git - the stupid content tracker

SYNOPSIS
       git [-v | --version] [-h | --help] [-C <path>] [-c <name>=<value>]
           [--exec-path[=<path>]] [--html-path] [--man-path] [--info-path]
           [-p|--paginate|-P|--no-pager] [--no-replace-objects] [--bare]
           [--git-dir=<path>] [--work-tree=<path>] [--namespace=<name>]
           [--config-env=<name>=<envvar>] <command> [<args>]
...(以下省略)...

サブコマンドごとのマニュアルページ

 Gitはgit commitgit logなど、多数のサブコマンドで構成されています。サブコマンド個別の詳細は、man git-<サブコマンド名>で表示可能です。

特定サブコマンドのマニュアルを表示

$ man git-log

解説

 man git-loggit logコマンドの詳細を表示します。NAMESYNOPSISOPTIONSなどのセクションで、git logが受け取るオプションや動作を理解できます。同様に他のコマンド(例:git commitman git-commit)も同様の方法で参照できます。

出力内容

GIT-LOG(1)                     Git Manual                     GIT-LOG(1)

NAME
       git-log - Show commit logs

SYNOPSIS
       git log [<options>] [<revision-range>] [[--] <path>...]
...(以下省略)...

git helpコマンドでヘルプを参照する

 git helpコマンドを使えば、ヘルプメッセージや特定コマンドのマニュアルを簡易的に表示できます。git help単体で実行すると、一般的なコマンド一覧や使用例が表示されます。

Gitのヘルプメッセージを表示

$ git help

解説

git helpはGitの基本的な使用法やよく使うコマンドリストを表示します。これからどのコマンドを使えばよいか分からないときに便利です。

出力内容

usage: git [-v | --version] [-h | --help] [-C <path>] [-c <name>=<value>]
           [--exec-path[=<path>]] [--html-path] [--man-path] [--info-path]
           [-p | --paginate | -P | --no-pager] [--no-replace-objects] [--bare]
           [--git-dir=<path>] [--work-tree=<path>] [--namespace=<name>]
           [--config-env=<name>=<envvar>] <command> [<args>]

These are common Git commands used in various situations:
...(以下省略)...

特定のコマンドヘルプを表示

さらに、git help <サブコマンド>と指定すれば、該当コマンドのmanページと同等の情報を表示できます。

$ git help log

解説

 git help loggit logコマンドの詳細ヘルプを表示します。これはman git-logと同様の内容であり、どちらを使っても構いません。

出力内容

GIT-LOG(1)                     Git Manual                     GIT-LOG(1)

NAME
       git-log - Show commit logs

SYNOPSIS
       git log [<options>] [<revision-range>] [[--] <path>...]
...(以下省略)...

マニュアル活用のメリット

  • 詳細なオプションの調査
    書籍やウェブ上のチュートリアルにない特定オプションの意味や動作を確認可能です。
  • ネットワーク不要
    オフライン環境でもmangit helpを使って情報を参照できるため、開発現場や移動中でも困らずに済みます。
  • バージョンごとの違い確認
     Gitのバージョンが変われば機能やオプションも追加・変更されます。マニュアルを参照すれば、手元のGitバージョンに特化した正確な情報を入手できます。

まとめ

  • man gitでGit本体の概要を確認可能。
  • man git-<サブコマンド>で特定コマンドの詳細なマニュアルを参照。
  • git helpコマンドを使ってヘルプを表示し、必要なコマンドやオプションを素早く確認。
  • オフライン環境でもマニュアルを活用して問題解決が可能。

 Gitは非常に多機能で、ここで紹介しきれない便利な機能やオプションが数多く存在します。manコマンドやgit helpコマンドを習慣的に活用することで、Gitの理解を深め、より高度な操作に挑戦できるようになるでしょう。