このページで解説している内容は、以下の YouTube 動画の解説で見ることができます。
Linuxコマンドの基本:infoドキュメントの読み方

infoドキュメントの読み方
ここでは、Linux環境でmanページ(man
コマンド)よりも詳細な情報を得られるinfo
コマンドを用いたオンラインマニュアルの基本的な読み方を紹介します。info
ドキュメントはman
にないメリットや構造を持ちますが、やや操作が複雑なため、ポイントを押さえておくと理解しやすくなります。

なぜinfo
ドキュメントがあるのか
Linuxシステムのオンラインマニュアルといえば、man
コマンドがよく知られています。しかし、man
コマンドで参照できるマニュアルは基本的に一枚物のページであり、ページ間を相互参照したり、階層構造で章立てすることが難しいという制約があります。ここで登場するのがinfo
ドキュメントです。
info
ドキュメントはman
コマンドの後継を目指して開発され、以下のようなメリットがあります。
- 詳細な情報:
man
にはない、より充実したドキュメントが用意されていることが多い - 階層構造・索引:ドキュメントを複数の「ノード」と呼ばれる単位で分割し、階層構造や相互参照を実現
- 柔軟な閲覧:1つのドキュメント内を章ごと(ノードごと)に移動したり、関連する別のトピックへ飛ぶなど、HTMLドキュメントをブラウズするような操作が可能
このような特徴により、info
は複雑で大規模なドキュメントを体系的に閲覧する際に有用です。
info
コマンドの基本的な使い方
info
コマンドを実行することで、特定コマンドやツールに対応したinfo
ドキュメントを参照できます。root
権限は必要ないため、一般ユーザでそのまま利用可能です。
【書式】コマンドについて調べるinfo <コマンド名>
コマンド例
info find
解説
find
コマンドに対応するinfo
ドキュメントを表示します。man
コマンドとは異なる形式で、ノード構造や相互参照が設定されているため、階層的な文章を読み進められます。
info
ドキュメントの構造:ファイルとノード
info
ドキュメントは「ファイル」と「ノード」という概念を用いています。
- ファイル:1つの
info
ドキュメントを1つのファイルで表す。 - ノード:ファイル内を章立てした論理単位。ノード間を移動することで、関連トピックや詳細章へスムーズにアクセス可能。
最上位のノードは「Top」という名前で、そこから下位ノードへ階層的に分かれています。

findコマンドについて調べる
それでは、find
コマンドのinfo
ドキュメントを表示してみましょう。
user01@ubuntu:~$ info find
info
コマンドを実行すると、次のようにfind
コマンドのinfo
ドキュメントが表示されます。man
とは、形式がかなりkとなることが分ります。
findコマンドのinfoドキュメント
Next: Invoking locate, Up: Reference
8.1 Invoking 'find'
===================
find [-H] [-L] [-P] [-D DEBUGOPTIONS] [-OLEVEL] [FILE...] [EXPRESSION]
'find' searches the directory tree rooted at each file name FILE by
evaluating the EXPRESSION on each file it finds in the tree.
...(以下省略)...
画面をスクロールするにはスペースキーを、表示を終了するにはq
を押します。ノード間の移動方法については、この後で解説します。
infoドキュメントの構造:ファイルとノード
Top
└─ Reference
├─ Invoking find
│ ├─ Filesystem Traversal Options
│ ├─ Warning Messages
│ ├─ Optimisation Options
│ ├─ Debug Options
│ └─ Find Expressions
├─ Invoking locate
├─ Invoking updatedb
├─ Invoking xargs
│ ├─ xargs options
│ └─ Invoking the shell from xargs
└─ Regular Expressions
...(省略)...
ドキュメントの一番上のノードは、「Top」という名前を付ける決まりになっています。
ノード間の移動方法
info
ドキュメントは、n
やp
などのキーボード操作でノード間を移動します。
コマンド | 内容 |
---|---|
n | 同一階層の「次」のノードへ移動 |
p | 同一階層の「前」のノードへ移動 |
u | 1つ上の階層(上位ノード)へ移動 |
f | 文書順に「次」のノードへ移動(階層考慮なし) |
b | 文書順に「前」のノードへ移動 |
また、スクロールにはスペースキー、表示終了にはq
キーを使います。これらを駆使することで、info
ドキュメント内を自由に探索できます。他にも「行移動操作」や「リンク移動操作」などがあり、操作方法がかなり複雑です。
search
コマンドと--full
オプションとの違い
info
コマンドはマニュアル全体の階層構造を参照できる点がman
と異なります。一方で、別のコンテンツで扱ったapt-cache search
コマンドの--full
オプションはパッケージ検索で詳細説明を表示するものであり、info
とは異なる用途です。
info
はプログラムやツール固有の深いドキュメントを読み進めるための仕組みと考えるとよいでしょう。
まとめ
info
コマンドは、man
より詳細で階層的なオンラインマニュアルを参照するためのツールinfo
ドキュメントはファイルとノードで構成され、相互参照や階層的なブラウズが可能- ノード間は
n
、p
、u
、f
、b
などのキー操作で移動し、スペースでスクロール、q
で終了 info
コマンドは操作がやや複雑だが、大規模で詳細なドキュメントを体系的に読む際に有用
これらのポイントを押さえることで、info
を活用し、より深いレベルでLinuxコマンドやツールの理解を深めることができます。