
Linuxコマンドの基本:Gitの紹介と初期設定
ファイルの変更履歴を管理するツールであるGitについて学びましょう。Gitを使用することで、ファイルの変更や削除を行う際に自動的にその履歴を管理できます。その結果、手動でバックアップや変更履歴の管理を行う必要がなくなります。初めて触れると少し難しく感じるかもしれませんが、使い続けることでその便利さを実感できるでしょう。現在、多くの開発現場でGitが利用されており、今のうちに基礎知識を身につけておくことは非常に有益です。

Gitとは何か、そしてなぜ必要なのか
Linux環境で作業をしていると、テキストファイルやシェルスクリプト、設定ファイルなど、さまざまなファイルを作成し、それらを何度も編集・修正しながらプロジェクトを進めていくことになります。しかし、多数の修正を繰り返していると、「どの時点の内容が正しかったのか」「前の状態に戻したいが、どのバックアップを使えばよいかわからない」といった問題に直面することがあります。
なぜGitが必要なのか
従来、誤りを防ぐために「ファイルをコピーしてバックアップを取る」方法がよく用いられてきました。しかし、日付を付けてどんどんコピーを残していくと、以下のような問題が発生します。
- バックアップファイルが増え続け、どれが最新か、どれをいつ作ったか分かりにくい。
- 過去のどの状態に戻せばよいか判断が難しく、復旧作業に時間がかかる。
この問題を解決する手段が「バージョン管理システム(Version Control System, VCS)」です。VCSはファイルの変更履歴を自動的・体系的に管理し、次のような利点を提供します。
- 誰が、いつ、なぜ、どのような変更を加えたかを記録して追跡できる。
- 必要に応じて、任意の過去の状態へ確実に戻せる。
Gitとは何か
Gitは、現在最も広く利用されているバージョン管理システムの1つで、オープンソースとして開発・提供されています。Gitを使用することで、以下のようなことが容易になります。
- 各修正ポイントごとに「スナップショット」を残し、簡単に履歴を閲覧
- 複数人での同時開発を効率化
- バックアップファイルを乱雑に増やす必要がなく、管理しやすい状況を実現
Linuxディストリビューションでは「git-core」などのパッケージ名で提供されている場合が多く、簡単にインストールできます。これからLinuxを使っていくうえで、ファイルの管理をスムーズに行い、トラブル時の復旧を容易にしてくれるGitは、ぜひ習得しておきたいツールです。
バックアップ管理とGitによる管理の比較表
項目 | 手動バックアップ管理 | Gitによる管理 |
---|---|---|
バックアップ方法 | ファイルをコピーして保存 | Gitリポジトリで履歴を自動管理 |
状態の復元 | 過去のファイルを手作業で復元 | 過去の特定のコミット(変更履歴ポイント)へ簡単に戻せる |
履歴の追跡 | 日付やファイル名で管理、混在しやすい | 履歴ログで「いつ、誰が、どこを変更したか」を明確に参照可能 |
管理の容易さ | バックアップファイルが増えるにつれ複雑になる | Gitが履歴を一元管理、必要な情報を即座に参照可能 |
チーム開発 | 個人利用が前提、同期手段が乏しい | 多人数での並行作業、ブランチ管理、マージが容易 |
まとめ
これまで「ファイルの変更履歴を手動で管理する」手間は膨大でした。しかし、Gitを導入すれば、その負担を軽減し、より効率的で信頼性の高い開発作業が可能になります。ここではGitの必要性と利点を確認しました。次のステップは、実際にGitをインストールし、初期設定を行うことです。今後はGitを活用し、Linux環境でのファイル管理や開発作業をよりスムーズに進めていきましょう。