【Linux】Emacsエディタ
Emacs
は、1976年にリチャード・ストールマンによって開発されたテキストエディタで、拡張性とカスタマイズ性が非常に高いことで知られています。Emacsは単なるテキストエディタに留まらず、強力なプログラム開発環境、メールクライアント、ニュースリーダー、カレンダーなど、多くの機能を統合しています。
主な特徴
- 拡張性: Emacs Lispというプログラミング言語を用いて、機能を拡張したりカスタマイズすることが可能です。
- 多機能: テキスト編集に加え、さまざまなアプリケーション(メール、ニュース、カレンダー、ファイル管理など)としても利用できます。
- クロスプラットフォーム: Unix系OS(Linux、BSD、macOS)やWindowsで利用可能です。
- コミュニティ: 豊富なプラグインと活発なユーザコミュニティにより、さまざまな追加機能やサポートが提供されています。
UbuntuへのEmacsエディタのインストール
手順1:パッケージリストの更新
まず、システムのパッケージリストを最新の状態に更新します。
・「sudo apt update
」コマンドを実行
パスワードの入力が求められたら、パスワードを入力します。
user01@ubuntu-vm:~$ sudo apt update
[sudo] user01 のパスワード:
取得:1 http://security.ubuntu.com/ubuntu jammy-security InRelease [110 kB]
ヒット:2 http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu jammy InRelease
取得:3 http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu jammy-updates InRelease [119 kB]
(省略)
パッケージリストを読み込んでいます... 完了
依存関係ツリーを作成しています... 完了
状態情報を読み取っています... 完了
アップグレードできるパッケージが 302 個あります。表示するには 'apt list --upgradable' を実行してください。
手順2:Emacsのインストール
次に、emacs
パッケージをインストールします。
・「sudo apt install emacs」コマンドを実行
「続行しますか?」と問われたら「y」を入力してインストールを継続します。
インストールには、少し時間がかかります。
user01@ubuntu-vm:~$ sudo apt install emacs
パッケージリストを読み込んでいます... 完了
依存関係ツリーを作成しています... 完了
状態情報を読み取っています... 完了
以下の追加パッケージがインストールされます:
emacs-bin-common emacs-common emacs-el emacs-gtk libm17n-0 libotf1
m17n-db
提案パッケージ:
mailutils emacs-common-non-dfsg ncurses-term m17n-docs gawk
以下のパッケージが新たにインストールされます:
emacs emacs-bin-common emacs-common emacs-el emacs-gtk libm17n-0 libotf1
m17n-db
アップグレード: 0 個、新規インストール: 8 個、削除: 0 個、保留: 302 個。
36.4 MB のアーカイブを取得する必要があります。
この操作後に追加で 117 MB のディスク容量が消費されます。
続行しますか? [Y/n] y
このコマンドは、最新の安定バージョンのEmacsをシステムにインストールします。
手順3.インストールの確認
Emacsが正しくインストールされたかを確認します。次のコマンドを実行して、Emacsが起動するか確認します。
emacs
EmacsのGUIが起動するはずです(ターミナル版を使用している場合は、Emacsのテキストベースのインターフェースが表示されます)。
Emacsエディタの操作方法
Emacsエディタは、多機能で拡張性の高いテキストエディタです。操作方法が豊富で、最初は少しとっつきにくいかもしれませんが、基本操作をマスターすれば非常に強力なツールとなります。ここでは、Emacsの基本的な操作方法を解説します。
Emacsの基本モード
Emacsには多くのモードがありますが、ここでは最も基本的な操作に焦点を当てます。Emacsはキーバインディングを駆使して操作するため、特定のキー操作を覚える必要があります。
基本的なキーバインディング
ファイル操作
操作 | キー操作 | 説明 |
---|---|---|
ファイルを開く | Ctrl + x その後 Ctrl + f | ファイル名を入力して、ファイルを開く |
ファイルを保存 | Ctrl + x その後 Ctrl + s | 現在のバッファを保存 |
ファイルを閉じる | Ctrl + x その後 k | 現在のバッファを閉じる |
Emacsを終了 | Ctrl + x その後 Ctrl + c | Emacsを終了する |
カーソル移動
操作 | キー操作 | 説明 |
---|---|---|
1文字左に移動 | Ctrl + b | カーソルを1文字左に移動 |
1文字右に移動 | Ctrl + f | カーソルを1文字右に移動 |
1行上に移動 | Ctrl + p | カーソルを1行上に移動 |
1行下に移動 | Ctrl + n | カーソルを1行下に移動 |
行の先頭に移動 | Ctrl + a | カーソルを行の先頭に移動 |
行の末尾に移動 | Ctrl + e | カーソルを行の末尾に移動 |
ページアップ | Alt + v | 1ページ上にスクロール |
ページダウン | Ctrl + v | 1ページ下にスクロール |
バッファの先頭に移動 | Alt + < | バッファの先頭に移動 |
バッファの末尾に移動 | Alt + > | バッファの末尾に移動 |
テキスト編集
操作 | キー操作 | 説明 |
---|---|---|
文字を削除 | Ctrl + d | カーソル位置の文字を削除 |
1単語削除 | Alt + d | カーソル位置から次の単語を削除 |
1行削除 | Ctrl + k | カーソル位置から行末まで削除 |
テキストのコピー | Alt + w | 選択範囲をコピー |
テキストのカット | Ctrl + w | 選択範囲をカット |
テキストの貼り付け | Ctrl + y | クリップボードの内容を貼り付け |
選択範囲の開始 | Ctrl + Space | カーソル位置から選択を開始 |
図解:基本操作
操作 | キー操作 |
---|---|
ファイルを開く | Ctrl + x, その後 Ctrl + f |
ファイルを保存 | Ctrl + x, その後 Ctrl + s |
Emacsを終了 | Ctrl + x, その後 Ctrl + c |
カーソル移動 | 左: Ctrl + b 右: Ctrl + f |
上: Ctrl + p 下: Ctrl + n | |
行の先頭: Ctrl + a 行の末尾: Ctrl + e | |
ページアップ: Alt + v ページダウン: Ctrl + v |
使用例と解説
1.ファイルを開く
・Emacsを起動し、ファイル example.txt
を開く場合
Ctrl + x その後 Ctrl + f
example.txt と入力して Enter
Ctrl + x
を押してから Ctrl + f
を押すと、ファイル名を入力するプロンプトが表示されます。ファイル名を入力して Enter
を押すと、そのファイルが開かれます。
2.テキストの編集
・テキストを入力して保存する場合
テキストを入力
Ctrl + x その後 Ctrl + s
普通にテキストを入力し、Ctrl + x
を押してから Ctrl + s
を押すと、現在のバッファの内容が保存されます。
3.カーソル移動
・カーソルを行末に移動し、新しい行を追加してテキストを入力する場合
Ctrl + e
Enter キー
テキストを入力
Ctrl + e
を押すとカーソルが行の末尾に移動します。Enter
キーを押すと新しい行が追加され、そこにテキストを入力できます。
4.テキストのコピーと貼り付け
・テキストを選択してコピーし、別の場所に貼り付ける場合
Ctrl + Space (選択範囲の開始)
カーソルを移動してテキストを選択
Alt + w (選択範囲をコピー)
カーソルを移動して貼り付け場所に移動
Ctrl + y (貼り付け)
Ctrl + Space
で選択範囲を開始し、カーソルを移動して選択します。Alt + w
で選択範囲をコピーし、貼り付けたい場所にカーソルを移動して Ctrl + y
で貼り付けます。
まとめ
これらの基本操作を覚えることで、Emacsを効率的に利用できるようになります。さらに高度な機能やカスタマイズについては、Emacsのドキュメントやオンラインチュートリアルを参考に学習することをお勧めします。