【Linux】指定した文字列を含む行を表示する：grepコマンド

このページで解説している内容は、以下の YouTube 動画の解説で見ることができます。

コマンドの概要

　「grep」コマンドは、テキストファイルやコマンドの出力から指定されたパターンに一致する行を検索し、表示するためのツールです。名前は "global regular expression print" の略で、シンプルな文字列検索から複雑な正規表現検索まで対応できます。ログファイルの解析、データの抽出、フィルタリングなど、さまざまな用途で広く利用されています。

コマンドの主なオプション

オプション	説明
`-c`	パターンに一致する行の数を表示します。
`-e`	複数のパターンを指定できます。
`-f`	指定したファイルからパターンを読み取ります。
`-i`	大文字と小文字を区別せずに検索します。
`-n`	一致した行の行番号を表示します。
`-v`	一致しない行を表示します。

コマンドの主なオプション

正規表現で用いられる主な記号

記号	説明	使用例
`.`	任意の1文字にマッチ	`gr.p` は `grep`, `grap` にマッチ
`*`	直前の文字が0回以上繰り返される	`go*gle` は `ggle`, `gogle`, `google` にマッチ
`^`	行の先頭にマッチ	`^Start` は `Start` で始まる行にマッチ
`$`	行の末尾にマッチ	`end$` は `end` で終わる行にマッチ
`[ ]`	中のいずれか1文字にマッチ	`[aeiou]` は任意の母音にマッチ
`\`	メタ文字をエスケープ	`\.` は文字としてのピリオドにマッチ
`	`	OR操作（いずれかにマッチ）
`()`	グループ化	`(ab)*` は `ab`, `abab` にマッチ
`{}`	繰り返し回数を指定	`a{3}` は `aaa` にマッチ

正規表現で用いられる主な記号

コマンドの使用例と解説

　具体的なファイル「filename.txt」の内容を示し、それに対する「grep」コマンドの使用例と解説を行います。

サンプルファイルの作成：filename.txt

まず、以下の内容を持つサンプルファイル「filename.txt」を作成します。

・「nano filename.txt」コマンドを実行します。

nanoエディタを起動して、「filename.txt」ファイルを作成します。

user01@ubuntu-vm:~$ nano filename.txt

以下の内容を入力します。

apple
banana
Apple
orange
grapefruit
lemon
lime
berry

　入力したら、「Ctrl + S」キーを入力して保存、「Ctrl + X」キーでnanoエディタを終了させます。

１．基本的な使用例

・「grep "apple" filename.txt」コマンドを実行

　ファイル「filename.txt」から "apple" に一致する行を検索し表示します。この場合、小文字の "apple" に一致する行が表示されます。

user01@ubuntu-vm:~$ grep "apple" filename.txt
apple

２．一致する行の数を表示

・「grep -c "apple" filename.txt」コマンドを実行

ファイル「filename.txt」に含まれる "apple" に一致する行の数を表示します。

user01@ubuntu-vm:~$ grep -c "apple" filename.txt
1

３．大文字小文字を無視して検索

・「grep -i "apple" filename.txt」コマンドを実行

　大文字小文字を区別せずに "apple" を検索し、「filename.txt」ファイルから一致する行を表示します。この場合、大文字の "Apple" も一致します。

user01@ubuntu-vm:~$ grep -i "apple" filename.txt
apple
Apple

４．複数のパターンで検索

・「grep -e "apple" -e "banana" filename.txt」コマンドを実行

「filename.txt」ファイルから "apple" または "banana" に一致する行を検索し表示します。

user01@ubuntu-vm:~$ grep -e "apple" -e "banana" filename.txt
apple
banana

５．パターンをファイルから読み取る

以下のコマンドを実行します。

「echo -e "apple\norange" > patterns.txt」コマンド
「grep -f patterns.txt filename.txt」コマンド

　「patterns.txt」ファイルに記載されたパターン（この場合 "apple" と "orange"）に一致する行を「filename.txt」ファイルから検索し表示します。

user01@ubuntu-vm:~$ echo -e "apple\norange" > patterns.txt
user01@ubuntu-vm:~$ grep -f patterns.txt filename.txt
apple
orange

６．一致しない行を表示

・「grep -v "apple" filename.txt」コマンドを実行

「filename.txt」ファイルから "apple" に一致しない行を表示します。

user01@ubuntu-vm:~$ grep -v "apple" filename.txt
banana
Apple
orange
grapefruit
lemon
lime
berry

７．行番号を表示

・「grep -n "apple" filename.txt」コマンドを実行

「filename.txt」ファイルから "apple" に一致する行の行番号を表示します。

user01@ubuntu-vm:~$ grep -n "apple" filename.txt
1:apple

作成したファイルの削除

この演習のコマンドで作成したファイルを削除します。

・「rm filename.txt patterns.txt」コマンドを実行して、「ls」コマンドで確認します。

user01@ubuntu-vm:~$ rm filename.txt patterns.txt
user01@ubuntu-vm:~$ ls
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まとめ

　「grep」コマンドは、ファイルやコマンドの出力から特定のパターンを抽出するための強力なツールです。主なオプションや正規表現を活用することで、より柔軟で高度な検索が可能になります。多くのLinux環境で標準的に利用されるため、基本的な使い方と応用をしっかりとマスターすることが重要です。