【Linux】LinuxシステムでのNTP自動日付設定

 現代の情報システムにおいて、正確な時刻設定は重要な要素の一つです。システムの時刻が正確でないと、ログファイルの記録、ジョブスケジューリング、セキュリティプロトコル、分散システム間のデータ同期など、多くの重要な機能が正しく動作しなくなります。これを防ぐために、LinuxシステムではNetwork Time Protocol(NTP)を使用して自動的に時刻を設定し、維持します。

 NTPは、インターネットやローカルネットワーク上のNTPサーバーと通信して、システムクロックを正確に同期させるプロトコルです。NTPネットワークは階層構造(stratum)になっており、各階層は異なる精度の時刻源から成り立っています。高精度な時刻源としては、原子時計やGPSが含まれます。このような時刻源からの時刻情報を利用して、Linuxシステムは継続的に正確な時刻を維持します。

自動の日付設定

 Linuxシステムでの自動の日付設定は、システム時刻を正確に保つために重要です。これには、Network Time Protocol(NTP)を使用します。NTPは、インターネットやローカルネットワークの時刻サーバーと通信して、システムクロックを調整します。

NTP(Network Time Protocol)

NTPの概要は以下のとおりです。

  • NTPはネットワークを通じて時間を同期するためのプロトコルです。
  • NTPの時刻ネットワークは階層構造になっており、各階層は「stratum」と呼ばれれる。
  • NTPは階層構造を利用して、上位の時刻源から下位の時刻源へと時刻情報を伝達する。

NTPの時刻ネットワークの階層構造

階層 (Stratum値)説明
0最高精度の時刻源(例:原子時計、GPS受信機)
1Stratum 0 に直接接続されたサーバー(基準サーバー)
2Stratum 1 サーバーに接続されたサーバー
3Stratum 2 サーバーに接続されたサーバー
15最も低い精度の時刻源
NTPの時刻ネットワークの階層構造

Stratum値

Stratum値の意味は以下のとおりです。

  • Stratum値は、正確な時計(原子時計やGPS)からの論理的な距離を示す。
  • 値が小さいほど、より正確な時刻情報を提供することができる。

Stratum値の詳細

Stratum値時刻源説明
0原子時計、GPS最高精度の時刻源
1基準サーバーStratum 0 に直接接続され、非常に高い精度を持つ
2中継サーバーStratum 1 サーバーに接続される
3中継サーバーStratum 2 サーバーに接続される
15最も低い精度のサーバー最も低い精度の時刻源
Stratum値

Stratum値が小さい利点

  • 高精度な時刻同期: Stratum値が小さいほど、より正確な時刻情報を得ることができます。
  • 最小の時間遅延: 時刻源に近いため、時間の遅延が少なくなります。

代表的なNTPサーバー

 多くのLinuxディストリビューションのデフォルト設定ファイルには、pool.ntp.orgドメインに所属するサーバーが記載されています。

サーバー名説明
pool.ntp.org世界中のNTPサーバーの集合体で、最適なサーバーに接続
ntp.nict.jp日本標準時を提供するNICTの高精度サーバー
代表的なNTPサーバー

pool.ntp.orgとは

 pool.ntp.orgは、世界中のNTPサーバーの集合体であり、利用者が自動的に最適なサーバーに接続できるようにする仕組みです。

日本で有名なNTPサーバー

 NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)が提供する「ntp.nict.jp」が有名です。高精度な日本標準時を提供します。

NTPサーバを変更したい場合

 NTPサーバーを変更するには、インターネットを検索して公開されているNTPサーバーを選び、設定ファイルを編集します。

手順説明
1. サーバー検索インターネットを検索して公開されているNTPサーバーを見つける。
2. 設定ファイル編集/etc/ntp.conf/etc/chrony/chrony.conf を編集して新しいNTPサーバーを追加
NTPサーバを変更したい場合

まとめ

 Linuxシステムでの自動の日付設定は、NTPを利用して実現します。NTPは階層構造(stratum)になっており、stratum値が小さいほど高精度な時刻情報を提供します。代表的なNTPサーバーには、pool.ntp.orgやntp.nict.jpがあります。必要に応じて、NTPサーバーを設定ファイルを編集して変更することができます。