【Linux】NTPデーモンの種類と設定

 Linuxシステムでの時刻同期には、NTPデーモンとしてntpdchronydの2種類がよく使用されます。これらのデーモンは同時に稼働させることはできませんが、互換性があります。例えば、ntpdが稼働しているサーバーが提供する時刻をchronydが動作しているクライアントで受け取ることができます。

NTPデーモンの種類

デーモン説明
ntpd伝統的なNTPデーモン。高精度な時刻同期が可能で、大規模なネットワークに適している。
chronyd新しいNTPデーモン。モバイル環境や不安定なネットワークでも高精度な時刻同期が可能。
NTPデーモンの種類

ntpdとは

 ntpdは、長年使用されてきた伝統的なNTPデーモンです。高精度な時刻同期が可能で、大規模なネットワーク環境でも信頼性があります。

chronyとは

 chronydは、比較的新しいNTPデーモンで、特にモバイルや不安定なネットワーク環境での使用を想定して設計されています。短時間での同期や、断続的なネットワーク接続でも効果的に動作します。

ntpdとchronydの違い

特徴ntpdchronyd
NTPのバージョンバージョン4バージョン3
使用目的高精度な時刻同期モバイル環境、断続的なネットワーク
同期速度ゆっくりと高精度迅速かつ高精度
リソース使用量多い少ない
ポート番号123123から変更可
自動起動オフオン
コマンドntpdatechronyc
設定ファイル/etc/ntp.conf/etc/chrony/chrony.conf
もしくは
/etc/chrony.conf
ntpdとchronydの違い

chrony.confの内容

 chrony.confファイルには、NTPサーバーの指定やオプション設定が含まれています。以下の表はその主要な設定項目と説明です。

項目説明
server特定のNTPサーバーを指定する。
poolNTPサーバープールを指定する。
iburst初回の時刻同期を高速化するオプション。serverpoolの後に付ける。
driftfileクロックのドリフトを保存するファイルを指定。例:driftfile /var/lib/chrony/drift
rtcsyncシステムクロックとハードウェアクロックを同期させる。
makestep大きな時刻のずれが発生した場合に即座に修正する設定。
chrony.confの内容

chrony.confの例

user01@ubuntu-vm:~$ cat /etc/chrony/chrony.conf
(省略)
# NTPサーバーの指定
pool ntp.ubuntu.com        iburst maxsources 4
pool 0.ubuntu.pool.ntp.org iburst maxsources 1
pool 1.ubuntu.pool.ntp.org iburst maxsources 1
pool 2.ubuntu.pool.ntp.org iburst maxsources 2

# 日本のNTPサーバーを追加
server ntp.nict.jp iburst

(省略)

# クロックドリフトの保存
driftfile /var/lib/chrony/chrony.drift

(省略)

# システムクロックとハードウェアクロックの同期
rtcsync

(省略)

# 大きな時刻のずれが発生した場合に即座に修正
makestep 1 3

まとめ

 Linuxシステムでの時刻同期には、ntpdchronydの2種類のNTPデーモンがあります。ntpdは高精度な時刻同期を提供し、大規模なネットワークに適しています。一方、chronydは迅速な同期やモバイル環境、不安定なネットワークに適しています。chrony.confファイルを適切に設定することで、chronydによる高精度な時刻同期を実現できます。環境や要件に応じて、最適なデーモンを選択し、設定を行いましょう。