【Linux】syslogとrsyslog

 システムログは、システムの運用状況やエラー情報を記録するための重要なツールです。これらのログは、システムの監視、トラブルシューティング、セキュリティ監査など、多岐にわたる用途で使用されます。UNIXの時代から使われてきたsyslogは、標準的なログ収集システムとして広く知られています。一方、rsyslogはsyslogの拡張版として登場し、より高い信頼性と多機能性を提供します。

 syslogは主にUDPを使用してログデータを転送しますが、rsyslogは信頼性の高いTCPを使用します。UDPは軽量で低遅延ですが、パケットの喪失や順序保証の欠如といったデメリットがあります。対照的に、TCPは信頼性が高く、データの順序も保証されますが、オーバーヘッドが大きく遅延が増加する可能性があります。

syslogとrsyslogの概要

項目説明
syslogUNIXの時代から使用されている標準的なログ収集システム。
rsyslogsyslogの拡張版で、reliable(信頼性)の意味を持つ。
syslogとrsyslogの概要

プロトコルの違いとその影響

項目説明
syslog (UDP)接続レスで軽量、低遅延。しかし、信頼性が低く、パケットが失われる可能性があり、データの順序が保証されません。
rsyslog (TCP)接続型で信頼性が高く、パケットの喪失が発生せず、データの順序が保証されます。しかし、オーバーヘッドが大きく、遅延が増加する可能性があります。

ファイルフォーマット

 syslogとrsyslogのファイルフォーマットは基本的に同じ構造であり、以下のようなログエントリを使用します。

項目説明
タイムスタンプイベントの発生日時
ホスト名イベントが発生したホスト名
プロセス名イベントを生成したプロセス名
メッセージイベントの詳細情報
ファイルフォーマット

rsyslogがsyslogより優れている点

項目rsyslogの利点
信頼性TCPを使用することで高い信頼性を実現。
拡張性多くのモジュールとプラグインをサポート。
柔軟性カスタマイズ可能なフィルタリングとフォーマット。
パフォーマンス高速なログ処理性能。
リモートログ収集リモートホストからのログ収集が可能。
暗号化ログの送信時に暗号化をサポート。
データベース保存ログをデータベースに保存する機能をサポート。
優れている点

syslogとrsyslogの比較

項目syslogrsyslog
プロトコルUDPTCP
信頼性低い高い
拡張性限定的高い(多くのモジュールとプラグイン)
柔軟性基本的なフィルタリングカスタマイズ可能なフィルタリングとフォーマット
パフォーマンス標準的高速
リモートログ収集制限あり可能
syslogとrsyslogの比較

rsyslogが主流

 rsyslogは、syslogの拡張版として高い信頼性と拡張性を提供するため、現在では多くのLinuxディストリビューションで標準的に使用されています。rsyslogは、システム管理者にとって柔軟で強力なログ管理ツールとして評価されています。

まとめ

  • syslog はUNIXの時代から使用されている標準的なログ収集システムで、UDPを使用するため信頼性に欠ける部分があります。
  • rsyslog はsyslogの拡張版であり、TCPを使用することで高い信頼性と柔軟性を提供し、さらに暗号化やデータベース保存機能をサポートしています。
  • rsyslog は多くの利点を持ち、現在では主流のログ収集システムとして使用されています。