【Linux】ディスク管理とは

 ディスク管理とは、コンピュータシステムにおいてストレージデバイスを効果的に管理・運用するための一連の作業と技術を指します。これには、ディスクの追加、パーティションの作成、ファイルシステムの設定、ディスクのマウント、およびディスク障害の対処が含まれます。システムの運用中にデータの保存領域が不足した場合、新しいディスクを追加し、それを適切に構成することで、システムの安定性とパフォーマンスを維持することが求められます。ここでは、ディスク管理の基本概念と手順について解説し、具体的な操作方法を示します。

ディスク管理の概要

 ディスク管理は、システムのデータ保存領域を効率的に利用し、必要に応じてディスクを追加・構成する作業を指します。データの保存領域が不足してきた場合、ディスクを追加し、新しいファイルシステムを作成してルートファイルシステム(/)に接続(マウント)する必要があります。

ルートファイルシステム(/

 ルートファイルシステムは、/(ルートディレクトリ)を頂点とした階層構造で管理されています。すべてのファイルやディレクトリはこのルートディレクトリからアクセスできます。分割されたディスクにアクセスできるのは、その領域がルートファイルシステムにマウントされているからです。

マウント

 マウントとは、ルートファイルシステムに別のファイルシステムを接続することです。接点となるディレクトリをマウントポイントと呼びます。マウントにより、システムは新しいディスクやパーティションにアクセスできるようになります。

ディスク障害が発生した場合

 あるパーティションに障害が発生した場合、そのパーティションだけを新しいパーティションに差し替えることでシステムの修復が可能です。これにより、他のパーティションに保存されたデータやシステム全体に影響を与えることなく、問題を解決できます。

ファイルシステムに含める必要があるディレクトリ

ディスク管理において、以下のディレクトリはファイルシステムに含める必要があります。

ディレクトリ説明
/bin基本的なユーザーコマンドを格納。シングルユーザーモードやシステム修復の際にも利用される。
/sbinシステム管理コマンドを格納。ルートユーザーによるシステム管理操作に使用される。
/etcシステム全体の設定ファイルを格納。各種サービスやデーモンの設定ファイルも含まれる。
/lib基本的なライブラリを格納。動的にリンクされるプログラムが使用するライブラリが含まれる。
/devデバイスファイルを格納。システム内のデバイス(ハードディスク、キーボード、プリンターなど)へのインターフェースを提供。
ファイルシステムに含める必要があるディレクトリ

ディスク管理の全体像の例

 下図は、Linuxのディレクトリ構造とディスクパーティションのマッピングを示しています。下表に、ディレクトリ構造についてまとめます。

ディレクトリの構造

ディレクトリ説明
/ルートディレクトリ。ファイルシステムの頂点であり、すべてのファイルやディレクトリの開始点。
/media外部メディア(DVD、USBなど)のマウントポイント。
/media/dvdromDVDのマウントポイント。
/media/usbUSBデバイスのマウントポイント。
/etcシステム設定ファイルが格納されるディレクトリ。
/bin基本的なユーザーコマンドが格納されるディレクトリ。
/bootブートローダー関連のファイルが格納されるディレクトリ。
/var可変データ(ログファイル、スプールファイルなど)が格納されるディレクトリ。
/homeユーザーディレクトリが格納されるディレクトリ。
/tmp一時ファイルが格納されるディレクトリ。
ディレクトリの構造

ディスクのパーティション

次に、ディスク/dev/sdaのパーティション構成を示します。

デバイスファイルマウントポイント説明
/dev/sda-最初に認識されたディスク全体。
/dev/sda1/bootブートローダー関連のファイルが格納されるパーティション。
/dev/sda2スワップ領域物理メモリが不足した場合に使用される仮想メモリ領域。
/dev/sda3/ルートファイルシステム。システム全体のファイルやディレクトリが格納される。
/dev/sda4-拡張パーティション。論理パーティションを格納するためのコンテナ。
/dev/sda5/varログファイルやスプールファイルが格納されるパーティション。
/dev/sda6/homeユーザーデータが格納されるパーティション。
/dev/sda7/tmp一時ファイルが格納されるパーティション。
ディスクのパーティション

説明

  • ディレクトリ構造
     ルートディレクトリ/から始まり、各ディレクトリが階層構造を形成しています。/mediaには外部メディアがマウントされ、/etcにはシステム設定ファイルが、/binには基本的なユーザーコマンドが、/bootにはブートローダー関連のファイルが格納されます。/varには可変データ、/homeにはユーザーデータ、/tmpには一時ファイルが格納されます。
  • ディスクパーティション
     ディスク/dev/sdaは、複数のパーティションに分割されています。/dev/sda1/bootに、/dev/sda2はスワップ領域に、/dev/sda3はルートファイルシステムにマウントされています。/dev/sda4は拡張パーティションであり、その中に論理パーティション/dev/sda5/var)、/dev/sda6/home)、/dev/sda7/tmp)が含まれています。
  • マウントポイント
     ディスクの各パーティションは、特定のディレクトリ(マウントポイント)にマウントされます。これにより、システムはそれらのパーティションにアクセスできるようになります。

2台目のディスクの追加

下図は、Linuxシステムにおいて2台目のディスクを追加し、マウントポイントに接続する様子を示しています。

マウントポイント

この部分は、Linuxのディレクトリ構造を示しています。1台目のディスクと2台目のディスクの両方が含まれています。

ディレクトリ説明
/mnt2台目のディスクをマウントするためのマウントポイント。
マウントポイント

ディスク/dev/sdaのパーティション構成を示しています。

2台目のディスク

ディスク/dev/sdbのパーティション構成を示しています。

デバイスファイルマウントポイント説明
/dev/sdb-2台目のディスク全体。
/dev/sdb1/mnt2台目のディスクのパーティションをマウントするためのマウントポイント。
2台目のディスク

説明

  • ディレクトリ構造
     1台目のディスク/dev/sdaは、システムの主要なディレクトリ(/boot, /var, /home, /tmpなど)にマウントされています。2台目のディスク/dev/sdbは、/mntディレクトリにマウントされ、追加のストレージ領域として使用されています。
  • 1台目のディスク
     /dev/sdaはシステムのルートファイルシステムやその他の主要なディレクトリにマウントされています。このディスクはシステム全体の主要なストレージを提供します。
  • 2台目のディスク
     新しく追加されたディスク/dev/sdbは、/mntディレクトリにマウントされ、システムに追加のストレージ領域を提供します。これにより、ユーザーは必要に応じて追加のデータを格納することができます。

まとめ

 ディスク管理は、システムのデータ保存領域を効率的に管理するための重要な作業です。データ保存領域が不足した場合、ディスクを追加し、ファイルシステムを作成してルートファイルシステムにマウントします。ディスク障害が発生した場合、影響を受けたパーティションだけを差し替えることで、システム全体への影響を最小限に抑えながら問題を解決できます。正しいディスク管理により、システムの安定性と信頼性を維持することができます。