MBR(Master Boot Record:マスターブートレコード)

 MBR(Master Boot Record)は、ディスクの先頭に位置する特別なセクタであり、システムのブートプロセスにおいて重要な役割を果たします。MBRは、主にBIOSファームウェアを使用するシステムで採用されており、512バイトの領域にパーティションテーブルとブートローダーの一部が格納されています。MBRは、ディスク上の最大4つのプライマリパーティションを管理することができ、ブートローダーはオペレーティングシステムの起動を指示します。しかし、MBRには2TBのディスク容量制限があるため、現代の大容量ディスクには限界があります。ここでは、MBRの仕組みとその制限、拡張パーティションの利用方法について解説します。

MBRとは

 MBR(Master Boot Record)は、ディスクの先頭にある512バイトの領域を指します。主にファームウェアがBIOSの場合に採用されており、この領域にはパーティションテーブルとブートローダーの一部が格納されています。

MBRには以下の特徴があります。

特徴説明
ディスクの先頭512バイトディスクの最初の512バイトがMBRとして使用されます。
パーティションテーブル最大4つのプライマリパーティションを定義できます。
ブートローダーブートローダーの一部がMBRに格納されており、オペレーティングシステムの起動に使用されます。
BIOSのサポート主にBIOSファームウェアで使用されます。
MBR

 下表は、MBRの各セクションのサイズとその役割を示しています。MBRはハードディスクの先頭512バイトで構成され、その中にはオペレーティングシステムの起動に必要な情報が含まれています。

セクション名サイズ説明
MBR (Master Boot Record)512バイトハードディスクの最初のセクター。ブートローダー、パーティションテーブル、ブートシグネチャーを含む。
ブートローダー446バイトブートローダーコードが格納されている部分。オペレーティングシステムの起動プロセスを開始する。
パーティションテーブル64バイトハードディスクのパーティション情報が格納されている。最大4つのプライマリパーティションを定義できる。
ブートシグネチャー2バイトMBRが有効であることを示すシグネチャ。
MBRの各セクション
ブートローダー

ブートローダーは、システムの起動プロセスの一部であり、オペレーティングシステムをロードする役割を持っています。MBRに格納されるブートローダーは、システムの起動シーケンスの最初のステップとして、さらに大きなブートローダー(例:GRUB)をロードします。

基本パーティション(プライマリパーティション)

 MBRでは、最大4つのパーティションを作成することができます。これらのパーティションは基本パーティションまたはプライマリパーティションと呼ばれます。4つのパーティション制限があるため、多くのパーティションが必要な場合は制約となります。

拡張パーティション

 MBRの制約を克服するために、拡張パーティションを使用することができます。拡張パーティションは、プライマリパーティションの1つを拡張パーティションとして指定し、その中にさらに複数の論理パーティションを作成することで、5つ以上のパーティションを利用することができます。

種類説明
拡張パーティションプライマリパーティションの1つを拡張パーティションとして指定し、その中に論理パーティションを作成する。
論理パーティション拡張パーティション内に作成されるパーティション。プライマリパーティションとは独立して存在。
拡張パーティションと論理パーティション

パーティションの例

パーティションの種類

上図を表を使って解説します。

パーティションの種類説明
基本パーティション直接ブート可能なパーティション。最大4つまで定義可能。
拡張パーティション基本パーティションの制限を超えるための領域。論理パーティションを含む。
論理パーティション拡張パーティション内に定義されるパーティション。
パーティションの種類
パーティション構成
デバイス名パーティション名マウントポイント説明
/dev/sdasda1/bootブートパーティション。システムの起動に必要なファイルが含まれる。
/dev/sdasda2スワップスワップパーティション。メモリの補助として使用される領域。
/dev/sdasda3/ルートパーティション。オペレーティングシステムの主要ファイルが含まれる。
/dev/sdasda4拡張パーティション論理パーティションを含むコンテナ。
/dev/sdasda5/var変動データを保存するためのパーティション。ログファイルなど。
/dev/sdasda6/homeユーザーのホームディレクトリを保存するためのパーティション。
/dev/sdasda7/tmp一時ファイルを保存するためのパーティション。
パーティション構成

MBRのデメリット

 MBRの一番大きなデメリットは、2TBのディスク容量制限です。最近では、大容量のディスクが一般的になりつつあり、2TB以上のディスクを使用する場合、MBRでは制約が生じます。例えば、8TBのディスクを導入した場合、MBRでは最初の2TBしか認識されず、残りの容量は使用できません。

まとめ

 MBR(Master Boot Record)は、ディスクの先頭にある512バイトの領域であり、パーティションテーブルとブートローダーの一部が格納されています。MBRは、プライマリパーティションの数が最大4つに制限されており、拡張パーティションを使用することでさらに多くのパーティションを利用できます。ただし、MBRには2TBのディスク容量制限があり、最近の大容量ディスクには適していません。このため、より新しいGPT(GUID Partition Table)が推奨されることが多いです。