このページで解説している内容は、以下の YouTube 動画の解説で見ることができます。

IP設定の削除:nmcliコマンド

IP設定の削除:nmcliコマンド

 ここまで、nmcliコマンドを使用して、手動設定による固定IPv4アドレスの割り当てやデフォルトゲートウェイの設定を行ってきました。しかし、多くのネットワーク環境では、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を使用してIP情報を自動的に取得するケースが一般的です。ここでは、nmcliコマンドを使用して、これまでに設定したIP情報を削除し、ネットワークインターフェースをDHCPによる自動取得に戻す手順を解説します。

nmcliコマンドによるIP情報の削除

ルーティング設定の削除

nmcliコマンドを使用して、ルーティング設定を削除する方法を説明します。

【構文】(ルーティング設定の削除)
nmcli connection modify コネクション名 -ipv4.routes "宛先ネットワーク 転送先のIPアドレス"

使用例

 このコマンドは、enp0s3というインターフェースに設定された172.16.1.0/24ネットワークへのルートを削除します。

nmcli connection modify enp0s3 -ipv4.routes "172.16.1.0/24 10.0.2.3"
デフォルトゲートウェイ設定の削除

次に、デフォルトゲートウェイ設定を削除する方法を説明します。

【構文】デフォルトゲートウェイ設定の削除
nmcli connection modify コネクション名 ipv4
.gateway 0.0.0.0

使用例

 このコマンドは、enp0s3インターフェースに設定されたデフォルトゲートウェイを削除します。

nmcli connection modify enp0s3 ipv4.gateway 0.0.0.0
手動設定したIPアドレスの削除

最後に、手動で設定したIPアドレスを削除し、DHCPによる自動取得に戻す方法を説明します。

【構文】手動設定したIPアドレスの削除
nmcli connection modify コネクション名 -ipv4.addresses IPアドレス/プレフィックス値 ipv4.method auto

使用例

 このコマンドは、enp0s3インターフェースに設定されたIPアドレス10.0.2.100を削除し、DHCPからIPアドレスを自動取得するように設定します。

nmcli connection modify enp0s3 -ipv4.addresses 10.0.2.100/24 ipv4.method auto

IP設定の初期化

以下の手順で、設定されたIP情報を初期化し、DHCPからの自動取得に戻します。

1.rootユーザーに切り替える。

・「su -」コマンドを実行します。

 su -コマンドを使用して、rootユーザーに切り替えます。root権限で操作することで、システム全体のネットワーク設定を変更できます。

user01@ubuntu-vm:~$ su -
パスワード: 
root@ubuntu-vm:~# 
2.デフォルトゲートウェイを削除する。

・「nmcli con mod enp0s3 ipv4.gateway 0.0.0.0」コマンドを実行します。

 このコマンドは、enp0s3インターフェースに設定されたデフォルトゲートウェイを削除します。

root@ubuntu-vm:~# nmcli con mod enp0s3 ipv4.gateway 0.0.0.0
3.手動設定したIPアドレスを削除してDHCPからIP情報を自動取得するように設定する。

・「nmcli con mod enp0s3 -ipv4.addresses 10.0.2.100/24 ipv4.method auto」コマンドを実行します。

 このコマンドは、手動で設定されたIPアドレスを削除し、DHCPからIPアドレスを自動取得する設定に戻します。

root@ubuntu-vm:~# nmcli con mod enp0s3 -ipv4.addresses 10.0.2.100/24 ipv4.method auto
4.ネットワークサービスを再起動する。
  • nmcli con down enp0s3」コマンド
  • nmcli con up enp0s3」コマンド

ネットワークサービスを再起動して、新しい設定が有効になるようにします。

root@ubuntu-vm:~# nmcli con down enp0s3
接続 'enp0s3' が正常に非アクティブ化されました (D-Bus アクティブパス: /org/freedesktop/NetworkManager/ActiveConnection/4)
root@ubuntu-vm:~# nmcli con up enp0s3
接続が正常にアクティベートされました (D-Bus アクティブパス: /org/freedesktop/NetworkManager/ActiveConnection/5)
5.現在のネットワークインターフェースの設定を確認する。

・「ip addr show dev enp0s3」コマンドを実行します。

DHCPからのIPアドレスが正しく取得されていることが確認できます。

root@ubuntu-vm:~# ip addr show dev enp0s3
2: enp0s3: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000
    link/ether 08:00:27:1a:84:ef brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet 10.0.2.15/24 brd 10.0.2.255 scope global dynamic noprefixroute enp0s3
       valid_lft 86380sec preferred_lft 86380sec
    inet6 fe80::4a7c:c6e7:227e:5fd7/64 scope link noprefixroute 
       valid_lft forever preferred_lft forever
6.ルーティングテーブルを確認する。

・「ip route show」コマンドを実行します。

DHCPからのデフォルトゲートウェイのIPアドレスが正しく取得されていることが確認できます。

root@ubuntu-vm:~# ip route show
default via 10.0.2.2 dev enp0s3 proto dhcp metric 100 
10.0.2.0/24 dev enp0s3 proto kernel scope link src 10.0.2.15 metric 100 
169.254.0.0/16 dev enp0s3 scope link metric 1000 

まとめ

 nmcliコマンドを使用すると、設定されたIP情報の削除やDHCP設定からの自動取得への設定が容易に行えます。このように、ネットワーク構成の変更やトラブルシューティングにおいて。nmcliコマンドを使って柔軟に対応できるようになることが重要です。