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IP設定の削除:nmcliコマンド
IP設定の削除:nmcliコマンド
ここまで、nmcli
コマンドを使用して、手動設定による固定IPv4アドレスの割り当てやデフォルトゲートウェイの設定を行ってきました。しかし、多くのネットワーク環境では、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を使用してIP情報を自動的に取得するケースが一般的です。ここでは、nmcli
コマンドを使用して、これまでに設定したIP情報を削除し、ネットワークインターフェースをDHCPによる自動取得に戻す手順を解説します。
nmcliコマンドによるIP情報の削除
ルーティング設定の削除
nmcli
コマンドを使用して、ルーティング設定を削除する方法を説明します。
【構文】(ルーティング設定の削除)nmcli connection modify コネクション名 -ipv4.routes "宛先ネットワーク 転送先のIPアドレス"
使用例
このコマンドは、enp0s3
というインターフェースに設定された172.16.1.0/24
ネットワークへのルートを削除します。
nmcli connection modify enp0s3 -ipv4.routes "172.16.1.0/24 10.0.2.3"
デフォルトゲートウェイ設定の削除
次に、デフォルトゲートウェイ設定を削除する方法を説明します。
【構文】デフォルトゲートウェイ設定の削除
nmcli connection modify コネクション名 ipv4.gateway 0.0.0.0
使用例
このコマンドは、enp0s3
インターフェースに設定されたデフォルトゲートウェイを削除します。
nmcli connection modify enp0s3 ipv4.gateway 0.0.0.0
手動設定したIPアドレスの削除
最後に、手動で設定したIPアドレスを削除し、DHCPによる自動取得に戻す方法を説明します。
【構文】手動設定したIPアドレスの削除
nmcli connection modify コネクション名 -ipv4.addresses IPアドレス/プレフィックス値 ipv4.method auto
使用例
このコマンドは、enp0s3
インターフェースに設定されたIPアドレス10.0.2.100
を削除し、DHCPからIPアドレスを自動取得するように設定します。
nmcli connection modify enp0s3 -ipv4.addresses 10.0.2.100/24 ipv4.method auto
IP設定の初期化
以下の手順で、設定されたIP情報を初期化し、DHCPからの自動取得に戻します。
1.rootユーザーに切り替える。
・「su -
」コマンドを実行します。
su -
コマンドを使用して、rootユーザーに切り替えます。root権限で操作することで、システム全体のネットワーク設定を変更できます。
user01@ubuntu-vm:~$ su -
パスワード:
root@ubuntu-vm:~#
2.デフォルトゲートウェイを削除する。
・「nmcli con mod enp0s3 ipv4.gateway 0.0.0.0
」コマンドを実行します。
このコマンドは、enp0s3
インターフェースに設定されたデフォルトゲートウェイを削除します。
root@ubuntu-vm:~# nmcli con mod enp0s3 ipv4.gateway 0.0.0.0
3.手動設定したIPアドレスを削除してDHCPからIP情報を自動取得するように設定する。
・「nmcli con mod enp0s3 -ipv4.addresses 10.0.2.100/24 ipv4.method auto
」コマンドを実行します。
このコマンドは、手動で設定されたIPアドレスを削除し、DHCPからIPアドレスを自動取得する設定に戻します。
root@ubuntu-vm:~# nmcli con mod enp0s3 -ipv4.addresses 10.0.2.100/24 ipv4.method auto
4.ネットワークサービスを再起動する。
- 「
nmcli con down enp0s3
」コマンド - 「
nmcli con up enp0s3
」コマンド
ネットワークサービスを再起動して、新しい設定が有効になるようにします。
root@ubuntu-vm:~# nmcli con down enp0s3
接続 'enp0s3' が正常に非アクティブ化されました (D-Bus アクティブパス: /org/freedesktop/NetworkManager/ActiveConnection/4)
root@ubuntu-vm:~# nmcli con up enp0s3
接続が正常にアクティベートされました (D-Bus アクティブパス: /org/freedesktop/NetworkManager/ActiveConnection/5)
5.現在のネットワークインターフェースの設定を確認する。
・「ip addr show dev enp0s3
」コマンドを実行します。
DHCPからのIPアドレスが正しく取得されていることが確認できます。
root@ubuntu-vm:~# ip addr show dev enp0s3
2: enp0s3: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000
link/ether 08:00:27:1a:84:ef brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
inet 10.0.2.15/24 brd 10.0.2.255 scope global dynamic noprefixroute enp0s3
valid_lft 86380sec preferred_lft 86380sec
inet6 fe80::4a7c:c6e7:227e:5fd7/64 scope link noprefixroute
valid_lft forever preferred_lft forever
6.ルーティングテーブルを確認する。
・「ip route show
」コマンドを実行します。
DHCPからのデフォルトゲートウェイのIPアドレスが正しく取得されていることが確認できます。
root@ubuntu-vm:~# ip route show
default via 10.0.2.2 dev enp0s3 proto dhcp metric 100
10.0.2.0/24 dev enp0s3 proto kernel scope link src 10.0.2.15 metric 100
169.254.0.0/16 dev enp0s3 scope link metric 1000
まとめ
nmcli
コマンドを使用すると、設定されたIP情報の削除やDHCP設定からの自動取得への設定が容易に行えます。このように、ネットワーク構成の変更やトラブルシューティングにおいて。nmcli
コマンドを使って柔軟に対応できるようになることが重要です。