グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス

 インターネット上でデータをやり取りするためには、ネットワークに接続されたすべてのデバイスが一意に識別される必要があります。そのために使用されるのがIPアドレスです。IPアドレスには大きく分けて「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の2種類が存在します。

 グローバルIPアドレスは、インターネット上で唯一無二の存在として、世界中のどのネットワークからも識別可能なアドレスです。これに対して、プライベートIPアドレスは、特定のローカルネットワーク内でのみ使用されるアドレスで、同じアドレスが異なるネットワークで繰り返し使用されることが許されています。

グローバルIPアドレス

 グローバルIPアドレスは、インターネット上で一意に識別されるアドレスで、インターネットに直接接続されたデバイスに割り当てられます。これらのアドレスは、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)によって管理されており、個人や企業が使用するためには申請が必要です。グローバルIPアドレスは、インターネット全体で一意である必要があるため、他のどのデバイスとも重複しないように割り当てられます。

プライベートIPアドレス

 IPアドレスは232個(約43億個)しか存在せず、全てのデバイスに一意のグローバルIPアドレスを割り当てることは不可能です。この問題を解決するために、プライベートIPアドレスが考案されました。プライベートIPアドレスは、LAN(ローカルエリアネットワーク)内でのみ使用され、インターネット上では直接使用されません。これにより、異なるLANであれば同じプライベートIPアドレスを使用することが可能です。

以下の表に、クラスA、B、CのプライベートIPアドレスの範囲を示します。

クラスプライベートIPアドレスの範囲ホスト数
A10.0.0.0 – 10.255.255.255約1677万
B172.16.0.0 – 172.31.255.255約65,000
C192.168.0.0 – 192.168.255.255約256
プライベートIPアドレスの範囲

 異なる企業や組織で同じプライベートIPアドレスを使用することができ、例えば企業Aと企業Bがそれぞれ「192.168.1.0/24」を使用していても問題ありません。

インターネットと通信するには

 プライベートIPアドレスを持つデバイスは、直接インターネットと通信することができません。このため、企業や家庭内で使用されるLANでは、プライベートIPアドレスが割り当てられ、インターネットに接続するためにはNAT(Network Address Translation)を使用します。

 NATは、LAN内のデバイスからインターネットにデータを送信する際に、プライベートIPアドレスをルータのグローバルIPアドレスに変換する技術です。これにより、複数のデバイスが1つのグローバルIPアドレスを共有してインターネットに接続することが可能になります。

具体的な仕組みは以下の通りです。

  1. プライベートIPアドレスの割り当て
    社内や学内LANでは、各デバイスにプライベートIPアドレスが割り当てられます。
  2. ルータの設定
     ルータのLAN側インターフェイスにプライベートIPアドレスを割り当て、インターネット側にはグローバルIPアドレスを割り当てます。
  3. NATの使用
     ルータはNATを使用して、LAN内のデバイスから送信されるデータの送信元アドレスをグローバルIPアドレスに変換します。逆に、インターネットからのデータは、ルータが受け取り、適切なプライベートIPアドレスのデバイスに転送します。

まとめ

 グローバルIPアドレスは、インターネット上で唯一無二のアドレスとして、ICANNによって管理されています。一方、プライベートIPアドレスは、限られた数のグローバルIPアドレスを補完するために、LAN内で使用されるアドレスです。これらのプライベートIPアドレスは、異なるLANで重複して使用することができ、NAT技術を用いることで、インターネットと通信する際にグローバルIPアドレスに変換されます。この仕組みにより、限られたIPアドレス資源を効率的に活用しつつ、多数のデバイスがインターネットに接続できるようになっています。