インターネット層
インターネット層は、OSI参照モデルやTCP/IPモデルにおいて、ネットワーク層としても知られる層です。この層の主な役割は、データを送信元から送信先まで効率的に届けるための経路(ルート)を決定することです。ネットワーク上に存在する複数のルートから最適なルートを選択し、データを適切な宛先に届けるプロセスをルーティングと呼びます。この層で扱うデータ単位は「パケット」と呼ばれ、パケットはルーティングプロセスによって送信先に届けられます。
インターネット層の役割
インターネット層は、データを適切な宛先に届けるために、以下のような役割を担っています。
- 経路決定
ネットワーク上でデータを送るべき最適な経路を決定します。ルータというネットワーク機器がこのプロセスを実行し、パケットが最短経路や最適経路を通って目的地に到達するようにします。 - ルーティング
ルーティングは、パケットがどの経路を通るべきかを決定するプロセスです。ルータはネットワークトポロジー情報を基にルーティングテーブルを作成し、パケットを目的地に向けて転送します。 - パケット分割と再構成
データが送信元から送信先に送られる際、大きなデータは小さなパケットに分割されます。これにより、異なるネットワーク環境でもデータを効率よく送信することが可能になります。受信側では、この分割されたパケットが再構成され、元のデータに復元されます。 - IPアドレスの管理
インターネット層では、各ホストに割り当てられたIPアドレスを使用して、送信先のホストを一意に特定します。
インターネット層で使用されるプロトコル
インターネット層では、以下のプロトコルが主に使用されます。
プロトコル | 説明 |
---|---|
IPv4 | インターネット層で最も広く使用されているプロトコル。32ビットのアドレス空間を持ち、約43億のユニークアドレスをサポートします。 |
IPv6 | IPv4のアドレス枯渇問題を解決するために開発されたプロトコル。128ビットのアドレス空間を持ち、ほぼ無限のアドレスを提供します。 |
ICMP | エラーメッセージや診断情報を送信するためのプロトコル。pingコマンドなどで使用されます。 |
ARP | IPアドレスをMACアドレスに変換するためのプロトコル。ローカルネットワーク内での通信に使用されます。 |
IPv4とIPv6について
IPv4とIPv6は、インターネット層で使用される主要なプロトコルです。
IPv4
IPv4は32ビットのアドレス空間を持ち、最大43億のIPアドレスを提供します。しかし、インターネットの急速な普及に伴い、IPv4アドレスは枯渇状態にあります。
IPv6
IPv4のアドレス不足を解決するために開発されたIPv6は、128ビットのアドレス空間を持ち、ほぼ無限のIPアドレスを提供します。また、IPv6はセキュリティ機能やアドレス自動設定機能が強化されています。
項目 | IPv4 | IPv6 |
---|---|---|
アドレス長 | 32ビット | 128ビット |
アドレス数 | 約43億 | 340澗(非常に大きな数) |
表記形式 | 192.168.0.1(10進数) | 2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334(16進数) |
セキュリティ | IPsecはオプション | IPsecは標準 |
ホスト数 | 制限がある | ほぼ無制限 |
まとめ
インターネット層は、データを適切な宛先に届けるための重要な役割を担っており、IPアドレスを使用してネットワーク上のホストを一意に特定します。ルーティングによってパケットの経路が決定され、パケットはネットワークを通じて最適な経路を通り、送信先に届けられます。また、IPv4とIPv6の二つのバージョンが使用されており、それぞれ異なる特徴と役割を持っています。この層の理解は、ネットワーク全体の動作を理解するための基盤となります。