Linuxのパスワード認証

 Linuxのパスワード認証は、システムのセキュリティを保護するための重要な機能です。ユーザーがシステムにアクセスする際に、そのユーザーが正当な権限を持つかどうかを確認するために、パスワード認証が使用されます。パスワードはハッシュ関数によって安全に保護され、システムに保存されています。パスワード認証のプロセスは、ユーザーのアイデンティティを確認し、システム内の機密情報を守るための第一歩です。

Linuxのパスワード認証

説明詳細
パスワードの保存ユーザーのパスワードは、ハッシュ関数でハッシュ値に変換され、/etc/shadowファイルに保存されます。
ログイン時の認証ユーザーがログインする際に入力したパスワードは、ハッシュ値に変換され、/etc/shadowファイルに保存されているハッシュ値と比較されます。両者が一致した場合、ログインが許可されます。
パスワードハッシュのセキュリティハッシュ関数は、一方向性であるため、ハッシュ値から元のパスワードを逆算することは困難です。これにより、パスワードのセキュリティが強化されます。
Linuxのパスワード認証
  1. パスワードの保存
     パスワードを直接保存するのは危険であるため、Linuxではハッシュ関数を用いてパスワードを変換し、そのハッシュ値を/etc/shadowファイルに保存します。このファイルは一般ユーザーからアクセスできないように制限されています。
  2. ログイン時の認証
     ログイン時にユーザーが入力したパスワードは、リアルタイムでハッシュ化され、事前に保存されているハッシュ値と比較されます。これにより、正しいパスワードを入力したユーザーのみがログインできる仕組みになっています。

/etc/shadowファイル

フィールド番号内容説明
1ユーザ名パスワードが関連付けられているユーザーの名前。
2パスワードハッシュ値ハッシュ関数でハッシュ化されたパスワード。$で始まる文字列で、アルゴリズムの種類も示されます。
3パスワードを最後に変更した日付Unix時間で記録されたパスワードが最後に変更された日付。
4パスワード変更可能最短期間パスワードを変更できるようになるまでの最短日数。
5パスワード変更可能最長期間パスワードを変更しなければならない最大日数。
6パスワードの有効期限が切れる前の警告日数パスワードの有効期限が切れる前に警告が表示される日数。
7パスワードの有効期限切れ後のアカウント無効化日数パスワードの有効期限が切れた後、アカウントが無効になるまでの日数。
8アカウントが失効するまでの日数アカウントが完全に無効になるまでの日数。
9フラグアカウントのステータスを示すフラグ(通常は空白)。
/etc/shadowファイルのフィールド

ハッシュ関数

アルゴリズム説明使用例
MD5128ビットのハッシュ値を生成するが、現在では脆弱性があるため、セキュリティ用途では非推奨。古いシステムの互換性維持など。
SHA-1160ビットのハッシュ値を生成するが、脆弱性が発見され、セキュリティ用途では非推奨。古いシステムの互換性維持など。
SHA-256256ビットのハッシュ値を生成し、現在の標準として広く使用されている。SSL/TLS証明書、ファイルの整合性検証。
SHA-512512ビットのハッシュ値を生成し、高いセキュリティを提供する。暗号通貨、セキュアなデータ保存。
yescryptメモリと計算資源を多く使用する新しいアルゴリズムで、高いセキュリティを提供。パスワードハッシュ化、セキュリティ強化。
ハッシュ関数

まとめ

 Linuxのパスワード認証は、システムのセキュリティを確保するために不可欠なプロセスです。パスワードはハッシュ関数を使用して安全に保存され、/etc/shadowファイルに格納されます。このファイルは、アクセス制御が厳しく設定されており、一般ユーザーからは閲覧できません。ログイン時には、入力されたパスワードをリアルタイムでハッシュ化し、保存されているハッシュ値と比較することで、ユーザーの認証が行われます。また、現在の主流はSHA-2であり、特にSHA-256やSHA-512が広く使用されていますが、より高いセキュリティを求める場合にはyescryptも利用されることがあります。