名前解決とは
インターネットやネットワーク上で通信を行う際、私たちは通常、ドメイン名やホスト名を使用して特定のリソースやサービスにアクセスします。しかし、実際に通信が行われる際には、これらの名前はIPアドレスに変換される必要があります。この名前をIPアドレスに変換するプロセスが「名前解決」です。名前解決は、DNS(Domain Name System)によって行われ、Webの閲覧、メールの送受信、その他インターネット上の多くのサービスで重要な役割を果たしています。
名前解決とは
名前解決とは、ユーザーが入力したドメイン名やホスト名を対応するIPアドレスに変換するプロセスです。インターネットでは、通信を行うためにIPアドレスが使用されますが、人間にとってIPアドレスは覚えにくいため、覚えやすい名前(ドメイン名やホスト名)が使われています。DNS(Domain Name System)は、この名前解決を行うためのシステムで、ドメイン名からIPアドレスを得る「正引き」と、IPアドレスからドメイン名を得る「逆引き」を提供します。
- Webの閲覧
ユーザーがブラウザにURLを入力すると、DNSによってそのURLのドメイン名がIPアドレスに変換され、ウェブサーバーにアクセスするために使用されます。 - URL
URL内のドメイン名部分が名前解決されて、対応するIPアドレスに変換されます。 - メールアドレス
メールの送信時にも、メールサーバーのドメイン名がIPアドレスに変換され、正しいメールサーバーにメールが配信されます。
正引きと逆引き
名前解決には「正引き」と「逆引き」があります。
用語 | 説明 | 例 |
---|---|---|
正引き | ドメイン名から対応するIPアドレスを取得する操作。 | www.company.co.jp → 182.22.16.123 |
逆引き | IPアドレスから対応するドメイン名を取得する操作。 | 182.22.16.123 → www.company.co.jp |
www.company.co.jp
というドメイン名が正引きによって182.22.16.123
というIPアドレスに変換され、その逆にIPアドレスからドメイン名に変換されます。
ドメインの構成要素
ドメイン名は複数の部分で構成されており、それぞれが特定の意味を持っています。ドメイン名は、ホスト名、サブドメイン名、ドメイン名、トップレベルドメインで構成されます。
項目 | 説明 | 例 |
---|---|---|
ホスト名 | ネットワーク上の特定のデバイスを識別するための名前。 | www |
サブドメイン名 | ドメイン名の前に追加される部分で、組織内の特定の部門やサービスを識別。 | company |
ドメイン名 | 組織や企業を識別するための名前。 | co.jp |
トップレベルドメイン (TLD) | ドメイン名の最も右側の部分で、国や組織の種類を示す。 | jp (日本)、com (米国)、uk (英国) |
名前解決できるホストに対してのping
以下は、ping -c 4 www.yahoo.co.jp
コマンドの出力結果です。このコマンドは、指定したホストに対してICMPエコー要求を4回送信し、応答が返ってくるかを確認するものです。pingコマンドが実行される前に「www.yahoo.co.jp」という FQDN が IPアドレスに変換されて実行されます。
$ ping -c 4 $ ping -c 4 www.yahoo.co.jp
PING edge12.g.yimg.jp (183.79.219.124) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 183.79.219.124 (183.79.219.124): icmp_seq=1 ttl=51 time=14.5 ms
64 bytes from 183.79.219.124 (183.79.219.124): icmp_seq=2 ttl=51 time=13.8 ms
64 bytes from 183.79.219.124 (183.79.219.124): icmp_seq=3 ttl=51 time=14.1 ms
64 bytes from 183.79.219.124 (183.79.219.124): icmp_seq=4 ttl=51 time=13.8 ms
--- edge12.g.yimg.jp ping statistics ---
4 packets transmitted, 4 received, 0% packet loss, time 3002ms
rtt min/avg/max/mdev = 13.786/14.053/14.516/0.299 ms
PING edge12.g.yimg.jp (183.79.219.124) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 183.79.219.124 (183.79.219.124): icmp_seq=1 ttl=51 time=14.5 ms
64 bytes from 183.79.219.124 (183.79.219.124): icmp_seq=2 ttl=51 time=13.8 ms
64 bytes from 183.79.219.124 (183.79.219.124): icmp_seq=3 ttl=51 time=14.1 ms
64 bytes from 183.79.219.124 (183.79.219.124): icmp_seq=4 ttl=51 time=13.8 ms
--- edge12.g.yimg.jp ping statistics ---
4 packets transmitted, 4 received, 0% packet loss, time 3002ms
rtt min/avg/max/mdev = 13.786/14.053/14.516/0.299 ms
- PING edge12.g.yimg.jp (183.79.219.124)
www.yahoo.co.jp
の名前解決が行われ、183.79.219.124
というIPアドレスに変換されています。edge12.g.yimg.jp
はそのホスト名です。 - 64 bytes from 183.79.219.124
これは、対象のホストからの応答で、送信されたパケットが無事に相手に届いたことを示しています。 - icmp_seq=1 ttl=51 time=14.5 ms
各パケットに対する応答時間が14.5ミリ秒であったこと、TTL(Time to Live)が51であったことを示します。
まとめ
名前解決は、ドメイン名やホスト名をIPアドレスに変換するプロセスであり、インターネット上での通信において不可欠な役割を果たします。正引きと逆引きは、DNSを用いた名前解決の主要な方法であり、Web閲覧やメール送信など、日常的に利用されています。また、pingコマンドを使用して名前解決が正しく行われているかを確認することもできます。ドメイン名の構成要素を理解することは、ネットワークやインターネットの仕組みを理解するための基礎となります。