【Linux】ルーティングの設定

 ネットワーク管理において、ルーティングの設定は非常に重要な要素です。ルーティングとは、異なるネットワーク間でデータを適切に転送するための経路を決定するプロセスを指します。正確なルーティング設定を行うことで、ネットワーク全体の通信が効率的かつ安定して行われるようになります。

ルーティングとは

 ルーティングは、ネットワーク内の異なるサブネットやネットワーク間でデータを適切な経路を通じて送信するためのプロセスです。ルーターやホストがパケットを他のネットワークに転送する際、どの経路を使用するかを決定する役割を果たします。ルーティングの設定を正しく行うことで、ネットワーク間の通信を効率的に行うことができます。

ルーティングの概要

 ネットワーク内でルーティングを適切に設定するためには、デフォルトゲートウェイと同様に、ipコマンドやrouteコマンドを使用します。しかし、これらのコマンドで設定したルートは一時的なものであり、システム再起動後にはリセットされます。恒久的な設定を行うためには、ネットワーク設定ファイルを編集するか、nmcliコマンドを使用する必要があります。

恒久的な設定方法(テキストファイルの編集)

ディストリビューション設定ファイルの場所と編集方法
Red Hat系/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-[NIC名] ファイルにルート設定を追記します。
Debian系/etc/network/if-up.d/static-routers ファイルを新規に作成し、シェルスクリプト形式でルート設定を記述します。
恒久的な設定方法(テキストファイルの編集)

 恒久的な設定を行うためには、これらの設定ファイルにルーティング情報を記述しますが、ディストリビューションによってファイルの場所や形式が異なるため注意が必要です。また、より簡単に設定を行いたい場合は、nmcliコマンドを使用することが推奨されます。

ルーティングの設定

想定するネットワーク構成図

/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-[NIC名]ファイルの編集(Red Hat系)

 Red Hat系のシステムでは、/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-[NIC名]ファイルにルート情報を追加することで、恒久的なルーティング設定を行います。

172.16.1.0/24 via 10.0.2.3

 この例では、172.16.1.0/24ネットワークに対するルートが、10.0.2.3を経由するように設定されています。

/etc/network/if-up.d/static-routersファイルの編集(Debian系)

 Debian系のシステムでは、/etc/network/if-up.d/static-routersファイルを作成し、その中でシェルスクリプト形式でルートを設定します。

ip route add 172.16.1.0/24 via 10.0.2.3

 このスクリプトはネットワークインターフェースが起動したときに自動的に実行され、ルートが設定されます。

ipコマンドの概要(一時的な設定)

 ipコマンドは、ネットワーク設定を行うための標準的なツールです。ルーティングを設定する場合、以下のコマンドを使用します。

 ipコマンドは、Linuxシステムにおいてネットワーク設定を行うための強力なツールです。ルート設定を行う際には、以下のように使用します。

ip route add 172.16.1.0/24 via 10.0.2.3

ただし、この設定は一時的なものであり、システムの再起動後にはリセットされます。

routeコマンドの概要(一時的な設定)

routeコマンドは、かつて広く使用されていたルーティング設定ツールですが、現在では非推奨となっており、将来的に廃止される予定です。以下のように使用します。

route add -net 172.16.1.0/24 gw 10.0.2.3

このコマンドも一時的な設定であり、システム再起動後にはリセットされます。

nmcliコマンドの概要(恒久的な設定)

 nmcliコマンドを使用することで、恒久的なルーティング設定を簡単に行うことができます。設定はNetworkManagerにより管理され、再起動後も維持されます。

nmcli connection modify [コネクション名] +ipv4.routes "172.16.1.0/24 10.0.2.3"

 このコマンドを実行すると、設定内容が自動的に設定ファイルに保存され、再起動後も保持されます。

まとめ

 ルーティング設定は、ネットワーク内での効率的なデータ転送に欠かせない要素です。一時的な設定にはipコマンドやrouteコマンドを使用しますが、恒久的な設定には設定ファイルの編集やnmcliコマンドを使用するのが一般的です。環境や要件に応じて適切な方法を選択し、安定したネットワーク運用を実現しましょう。