このページで解説している内容は、以下の YouTube 動画の解説で見ることができます。

ルーティングの設定:ipコマンド

ipコマンドによるルーティングの設定

 ipコマンドは、Linuxシステムでネットワーク設定を管理するための標準的なツールで、ルーティングの設定も簡単に行えます。ルートを追加したり削除したりすることで、ネットワーク間の通信経路を制御できます。以下に、ipコマンドを使用してルート設定を行う手順と主なコマンドを解説します。

ipコマンド(ルーティングの設定)

【構文】ルーティングの設定
ip route [コマンド]

主なコマンドと説明

コマンド構文説明
ip route add 宛先ネットワーク via IPアドレス指定した宛先ネットワークへのルートを、指定したIPアドレスを経由する経路で追加します。
ip route del 宛先ネットワーク指定した宛先ネットワークへのルートを削除します。
主なコマンドと説明

コマンドの使用例と解説

想定するネットワーク構成図
1.rootユーザーに切り替える。

・「su -」コマンドを実行します。

 su -コマンドを使ってrootユーザーに切り替えます。root権限を持つことで、システム全体のネットワーク設定を変更できます。

user01@ubuntu-vm:~$ su -
パスワード: 
root@ubuntu-vm:~#
2.現在のルーティングテーブルを表示する。

・「ip route show」コマンドを実行します。

 このコマンドを実行すると、現在のルーティングテーブルが表示されます。これにより、現在設定されているルート情報を確認できます。

root@ubuntu-vm:~# ip route show
default via 10.0.2.2 dev enp0s3 proto static metric 20100 
10.0.2.0/24 dev enp0s3 proto kernel scope link src 10.0.2.100 metric 100 
169.254.0.0/16 dev enp0s3 scope link metric 1000 
3.172.16.1.0/24へのルートを追加する。

・「ip route add 172.16.1.0/24 via 10.0.2.3」コマンドを実行します。

 このコマンドで、172.16.1.0/24ネットワークに対するルートを、10.0.2.3を経由して追加します。これにより、指定されたネットワークに対する通信がこの経路を通じて行われるようになります。

root@ubuntu-vm:~# ip route add 172.16.1.0/24 via 10.0.2.3
4.ルーティングテーブルを再度表示する。

・「ip route show」コマンドを実行します。

 ルーティングテーブルを再度表示して、新しいルートが追加されたことを確認します。

root@ubuntu-vm:~# ip route show
default via 10.0.2.2 dev enp0s3 proto static metric 20100 
10.0.2.0/24 dev enp0s3 proto kernel scope link src 10.0.2.100 metric 100 
169.254.0.0/16 dev enp0s3 scope link metric 1000 
172.16.1.0/24 via 10.0.2.3 dev enp0s3
5.追加したルートを削除する。

・「ip route del 172.16.1.0/24」コマンドを実行します。

このコマンドを使用して、先ほど追加した172.16.1.0/24へのルートを削除します。

root@ubuntu-vm:~# ip route del 172.16.1.0/24
6.ルーティングテーブルを再度表示する。

・「ip route show」コマンドを実行します。

ルーティングテーブルを再度表示し、ルートが削除されたことを確認します。

root@ubuntu-vm:~# ip route show
default via 10.0.2.2 dev enp0s3 proto static metric 20100 
10.0.2.0/24 dev enp0s3 proto kernel scope link src 10.0.2.100 metric 100 
169.254.0.0/16 dev enp0s3 scope link metric 1000 

まとめ

 ipコマンドを使用することで、ルーティング設定を簡単に行うことができます。一時的なルート設定を行いたい場合には、このコマンドが便利です。ただし、再起動後には設定がリセットされるため、恒久的な設定が必要な場合は、別途設定ファイルを編集するか、nmcliコマンドを使用することが推奨されます。