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ルーティングの設定:ipコマンド
ipコマンドによるルーティングの設定
ip
コマンドは、Linuxシステムでネットワーク設定を管理するための標準的なツールで、ルーティングの設定も簡単に行えます。ルートを追加したり削除したりすることで、ネットワーク間の通信経路を制御できます。以下に、ip
コマンドを使用してルート設定を行う手順と主なコマンドを解説します。
ipコマンド(ルーティングの設定)
【構文】ルーティングの設定ip route [コマンド]
主なコマンドと説明
コマンド構文 | 説明 |
---|---|
ip route add 宛先ネットワーク via IPアドレス | 指定した宛先ネットワークへのルートを、指定したIPアドレスを経由する経路で追加します。 |
ip route del 宛先ネットワーク | 指定した宛先ネットワークへのルートを削除します。 |
コマンドの使用例と解説
想定するネットワーク構成図
1.rootユーザーに切り替える。
・「su -
」コマンドを実行します。
su -
コマンドを使ってrootユーザーに切り替えます。root権限を持つことで、システム全体のネットワーク設定を変更できます。
user01@ubuntu-vm:~$ su -
パスワード:
root@ubuntu-vm:~#
2.現在のルーティングテーブルを表示する。
・「ip route show
」コマンドを実行します。
このコマンドを実行すると、現在のルーティングテーブルが表示されます。これにより、現在設定されているルート情報を確認できます。
root@ubuntu-vm:~# ip route show
default via 10.0.2.2 dev enp0s3 proto static metric 20100
10.0.2.0/24 dev enp0s3 proto kernel scope link src 10.0.2.100 metric 100
169.254.0.0/16 dev enp0s3 scope link metric 1000
3.172.16.1.0/24へのルートを追加する。
・「ip route add 172.16.1.0/24 via 10.0.2.3
」コマンドを実行します。
このコマンドで、172.16.1.0/24
ネットワークに対するルートを、10.0.2.3
を経由して追加します。これにより、指定されたネットワークに対する通信がこの経路を通じて行われるようになります。
root@ubuntu-vm:~# ip route add 172.16.1.0/24 via 10.0.2.3
4.ルーティングテーブルを再度表示する。
・「ip route show
」コマンドを実行します。
ルーティングテーブルを再度表示して、新しいルートが追加されたことを確認します。
root@ubuntu-vm:~# ip route show
default via 10.0.2.2 dev enp0s3 proto static metric 20100
10.0.2.0/24 dev enp0s3 proto kernel scope link src 10.0.2.100 metric 100
169.254.0.0/16 dev enp0s3 scope link metric 1000
172.16.1.0/24 via 10.0.2.3 dev enp0s3
5.追加したルートを削除する。
・「ip route del 172.16.1.0/24
」コマンドを実行します。
このコマンドを使用して、先ほど追加した172.16.1.0/24
へのルートを削除します。
root@ubuntu-vm:~# ip route del 172.16.1.0/24
6.ルーティングテーブルを再度表示する。
・「ip route show
」コマンドを実行します。
ルーティングテーブルを再度表示し、ルートが削除されたことを確認します。
root@ubuntu-vm:~# ip route show
default via 10.0.2.2 dev enp0s3 proto static metric 20100
10.0.2.0/24 dev enp0s3 proto kernel scope link src 10.0.2.100 metric 100
169.254.0.0/16 dev enp0s3 scope link metric 1000
まとめ
ip
コマンドを使用することで、ルーティング設定を簡単に行うことができます。一時的なルート設定を行いたい場合には、このコマンドが便利です。ただし、再起動後には設定がリセットされるため、恒久的な設定が必要な場合は、別途設定ファイルを編集するか、nmcli
コマンドを使用することが推奨されます。