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【Linux】GUI環境へ移行する:startxコマンド

GUI環境へ移行する:startxコマンド

 Linuxは、基本的にコマンドラインインターフェース(CUI)で操作するシステムとして設計されていますが、多くのユーザーはグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を利用して操作しています。GUI環境を提供するために、LinuxではX Window Systemという仕組みが広く使用されています。X Window Systemを利用することで、ユーザーはより直感的な操作が可能となり、デスクトップ環境が提供されます。ここでは、CUI環境からGUI環境へ移行するためのstartxコマンドについて解説します。

startxコマンドの概要

 startxコマンドは、CUI環境で起動しているLinuxシステム上で、X Window Systemを起動するためのコマンドです。通常、X Window Systemの起動にはディスプレイマネージャが使用されますが、startxコマンドを使用すると、現在のCUIセッションを維持したまま、ログイン画面を経由せずにデスクトップ環境が直接起動されます。これにより、シンプルにXを起動し、GUI環境へ切り替えることができます。

【構文】
startx

コマンドの使用例と解説

以下に、startxコマンドを使用してLinuxの起動をCUIからGUIへ切り替える手順を解説します。

1.Linuxの起動時設定を確認する。

 まず、現在の起動時のデフォルトターゲットを確認します。systemctlコマンドを使用して、現在のターゲットを確認します。

・「systemctl get-default」コマンドを実行します。

 graphical.targetが設定されている場合はGUIで起動され、multi-user.targetが設定されている場合はCUIで起動されます。graphical.targetが設定されているため、GUIで起動していることが確認できます。

user01@ubuntu-vm:~$ systemctl get-default
graphical.target

2.Linuxの起動時をCUIに変更する。

CUIでの起動をデフォルトに設定するには、以下のコマンドを使用します。

・「sudo systemctl set-default multi-user.target」コマンドを実行します。

 このコマンドを実行すると、次回の起動時にCUI環境がデフォルトで立ち上がるように設定されます。実行時にはパスワードの入力が求められます。

user01@ubuntu-vm:~$ sudo systemctl set-default multi-user.target
[sudo] user01 のパスワード: 
Removed /etc/systemd/system/default.target.
Created symlink /etc/systemd/system/default.target → /lib/systemd/system/multi-user.target.

3.システムを再起動する。

設定を有効にするために、システムを再起動します。

・「sudo shutdown -r now」コマンドを実行します。

この操作により、システムは再起動後にCUIで起動します。

user01@ubuntu-vm:~$ sudo shutdown -r now

4.startxコマンドを実行する。

CUI環境が起動した後、GUI環境へ切り替えるためにstartxコマンドを実行します。

・「startx」コマンドを実行します。

 このコマンドを実行すると、現在のCUIセッションを維持したままX Window Systemが起動し、GUI環境に移行します。ログイン画面は表示されず、現在のユーザーのデスクトップが直接表示されます。

user01@ubuntu-vm:~$ startx

5.Linux起動時にGUIで起動するように設定を戻す。

 再び、GUIでの起動をデフォルトに設定するには、ターミナルを起動して、以下のコマンドを使用します。

 このコマンドを実行することで、次回起動時にGUI環境がデフォルトで立ち上がるようになります。

・「sudo systemctl set-default graphical.target」コマンドを実行します。

user01@ubuntu-vm:~$ sudo systemctl set-default graphical.target
[sudo] user01 のパスワード: 
Removed /etc/systemd/system/default.target.
Created symlink /etc/systemd/system/default.target → /lib/systemd/system/graphical.target.

6.システムを再起動する。

設定を有効にするために、システムを再起動します。

・「sudo shutdown -r now」コマンドを実行します。

再起動後、システムがGUI環境で起動することを確認します。

user01@ubuntu-vm:~$ sudo shutdown -r now

まとめ

 startxコマンドは、CUI環境から手動でGUI環境に移行する際に非常に便利なコマンドです。通常の起動設定を変更せずに、一時的にGUI環境を利用したい場合などに役立ちます。Linuxの柔軟な環境設定と組み合わせることで、さまざまな作業スタイルに応じたシステムの使い方が可能になります。