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Ubuntu 22.04 LTSでGUIログインする

Ubuntu 22.04 LTSでGUIログインするためのrootユーザー設定手順

 Ubuntu 22.04 LTSでは、セキュリティ強化のために、インストール時にrootユーザーのアカウントはデフォルトで無効化されており、管理作業は通常、管理者権限を持つユーザーがsudoコマンドを使って行います。しかし、特定の状況では、rootユーザーで直接GUIログインを行いたい場合もあるでしょう。

 ここでは、Ubuntu 22.04 LTSでrootユーザーによるGUIログインを有効にする手順を解説します。この設定を行うことで、rootユーザーとして直接ログインし、システム管理や設定を行うことが可能になりますが、セキュリティ上のリスクを理解した上で進めることが重要です。

Ubuntuのrootユーザー

 Ubuntuは、インストールの過程で、rootユーザーのパスワードを設定するようになっていません。そのため、インストール直後は、rootパスワードが設定されていないため、rootユーザーでUbuntuにログインすることができないようになっています。

 下図はインストール時に、管理者ユーザーを登録する画面です。rootユーザーの設定画面は、インストール時には登場しません。

Ubuntuのrootユーザーの特徴
  • Ubuntuのデフォルト設定
     Ubuntuでは、インストール直後にrootユーザーのパスワードは設定されておらず、rootアカウントもロックされています。通常、管理作業はsudoコマンドを使って行います。
  • セキュリティポリシー
     Ubuntuのデフォルトのセキュリティポリシーでは、rootアカウントを有効にすることは推奨されていません。ほとんどの管理作業はsudoを使って行うことが推奨されます。

Ubuntuのrootユーザーのパスワード設定手順

rootパスワードの設定

 rootアカウントを有効にする場合は、セキュリティリスクを十分に理解した上で行います。インストール時に管理者として設定されたユーザーであれば、sudoコマンドを使ってrootユーザーのパスワードを設定できます。

 「sudo passwd root」 コマンドで、自分のパスワードを入力し、新しいrootパスワードを2回入力して設定します。

・「sudo passwd root」コマンドを実行します。

user01@ubuntu-vm:~$ sudo passwd root
[sudo] user01 のパスワード: # 自身のパスワード
新しい パスワード: # 設定をしたいrootパスワード
# 辞書チェックには失敗しますが、単純なパスワードを設定することもできます。
正しくないパスワード: このパスワードは辞書チェックに失敗しました - 辞書の単語に基づいています
新しい パスワードを再入力してください: 設定をしたいrootパスワードを再度入力
passwd: パスワードは正しく更新されました

 これで、rootユーザーのパスワードの設定はできましたが、GUI環境でログインできるようにするには、この次の手順も行う必要があります。

rootアカウントでGUIログインを有効化する手順

1.ログイン画面を表示します。

・GUIからログアウトして、rootユーザーを選択し、設定したrootパスワードでログインを試みます。しかし、デフォルトの設定ではログインに失敗します。

・インストール時に設定した管理者アカウント(ここではuser01)で再度、GUIでログインします。

2.GDM構成ファイルを編集します。

 GDM(GNOME Display Manager)の構成ファイル「/etc/gdm3/custom.conf」を編集し、rootログインを許可します。

・「sudo nano /etc/gdm3/custom.conf」コマンドを実行します。

「AllowRoot=true」の行を追加します。

 以下のように編集します。nanoエディタで保存して終了するには、「Ctrl」+「s」で保存し、「Ctrl」+「x」で終了させます。

# Enabling automatic login
#  AutomaticLoginEnable = true
#  AutomaticLogin = user1

AllowRoot=true # この行を追加

# Enabling timed login
#  TimedLoginEnable = true
3.PAM認証デーモン設定ファイルの編集します。

 PAM(Pluggable Authentication Module)の設定ファイル「/etc/pam.d/gdm-password」を編集し、GUIへのrootアクセスを許可します。

・「sudo nano /etc/pam.d/gdm-password」コマンドを実行します。

GUIへのrootアクセスを拒否する次の行を「#」を付けてコメントアウトします。

 以下の行をコメントアウトします。nanoエディタで保存して終了するには、「Ctrl」+「s」で保存し、「Ctrl」+「x」で終了させます。

# auth   required        pam_succeed_if.so user != root quiet_success
4.再起動します。

すべての変更を有効にするために、システムを再起動します。

・「shutdown -r now

5.rootユーザーでのログインを確認します。

 再起動後、ログイン画面でrootユーザーを選択し、設定したrootパスワードでログインします。正常にログインできれば、アカウントセットアップ画面が表示されます。

まとめ

 この手順により、Ubuntu 22.04 LTSでrootユーザーでのGUIログインを有効化できます。しかし、セキュリティリスクが伴うため、必要な場合にのみ行うようにしてください。通常の管理作業にはsudoコマンドを使用することが推奨されます。