新Linux入門|AlmaLinuxとUbuntuとの違い

Linuxといえば「Ubuntu」を思い浮かべる方も多いですが、近年では「AlmaLinux」も注目を集めています。
 どちらも人気のあるディストリビューションですが、目的・設計思想・使われる現場にははっきりと違いがあります。

この記事では、AlmaLinux 9.6 を例に、「Ubuntu」との違いをわかりやすく比較・解説します。
サーバー構築、クラウド運用、学習目的など、あなたの使い方に合ったLinux選びのヒントになるはずです。

🧩 AlmaLinuxとUbuntuの基本情報

まずは両者の概要を簡単にまとめてみましょう。

項目AlmaLinuxUbuntu
発行元AlmaLinux OS Foundation(コミュニティ主導)Canonical Ltd.(英国企業)
ベースRed Hat Enterprise Linux(RHEL)互換Debianベース
パッケージ形式RPM(Red Hat Package Manager)DEB(Debian Package)
パッケージ管理ツールdnf / yumapt
用途サーバー・業務システム・クラウド基盤向けデスクトップ・開発・クラウド環境向け
サポート期間約10年(長期安定)LTS版で5年(Regular版は9ヶ月)
デフォルトファイルシステムXFSext4(ZFSも選択可)
標準デスクトップ環境GNOME(最小構成はCLIのみ)GNOME(デスクトップ版)
商用サポート有志や企業パートナーによるCanonical社の有償サポートあり

💬 まとめると

  • AlmaLinuxは「安定性重視」(企業・サーバー向け)
  • Ubuntuは「使いやすさと新機能」重視(開発者・個人利用向け)

🧱 開発元と目的の違い

 AlmaLinuxは、RHEL(Red Hat Enterprise Linux)互換ディストリビューションとして開発されています。
CentOSの後継として登場し、「安定性・互換性・長期サポート」を重視しています。
つまり、企業や教育機関、データセンターなどの本番環境に最適です。

 一方、Ubuntuはデスクトップ・サーバー・クラウドの全分野に対応した汎用的なディストリビューションです。
初心者でも使いやすく、豊富なパッケージとGUIツールが揃っています。

比較項目AlmaLinuxUbuntu
開発体制コミュニティ主導(非営利財団)Canonical社が中心(企業主導)
方針RHEL互換を維持し、安定運用を重視新機能の採用と幅広い用途対応
想定ユーザーサーバー運用者・インフラ技術者一般ユーザー・開発者

📦 パッケージ管理システムの違い

Linuxの操作で欠かせないのがパッケージ管理コマンド
AlmaLinuxとUbuntuではコマンド体系が異なります。

ディストリビューションコマンド主な用途
AlmaLinux(RHEL系)dnfソフトウェアのインストール・更新・削除
Ubuntu(Debian系)apt同上(Debianパッケージ管理)

AlmaLinuxでの使用例

$ sudo dnf install httpd -y

Ubuntuでの使用例

$ sudo apt install apache2 -y

💬 ポイント

  • AlmaLinuxは「dnf」、Ubuntuは「apt」を使用。
  • どちらも依存関係を自動的に解決してくれますが、リポジトリ構成とファイル形式(RPM/DEB)が異なります。

🔧 dnfコマンドの基本解説(AlmaLinux)

書式説明
dnf install パッケージ名ソフトウェアをインストール
dnf remove パッケージ名ソフトウェアをアンインストール
dnf updateシステム全体をアップデート
dnf list installedインストール済みパッケージの一覧を表示
dnf info パッケージ名パッケージの詳細情報を表示

使用例

[suzuki@AlmaLinux ~]$ dnf info httpd
メタデータの期限切れの最終確認: 0:01:01 前の 2025年10月29日 18時57分36秒 に実施しました。
インストール済みパッケージ
名前         : httpd
バージョン   : 2.4.62
リリース     : 4.el9_6.4
Arch         : x86_64
サイズ       : 59 k
ソース       : httpd-2.4.62-4.el9_6.4.src.rpm
リポジトリー : @System
repo から    : appstream
概要         : Apache HTTP Server
URL          : https://httpd.apache.org/
ライセンス   : ASL 2.0
説明         : The Apache HTTP Server is a powerful, efficient, and extensible
             : web server.

💬 解説
 上記のように、AlmaLinuxでは「dnf info」でパッケージの詳細(バージョン・リリース番号・概要など)が確認できます。

🧮 リリースサイクルの違い

項目AlmaLinuxUbuntu
リリース頻度約3〜5年ごと6ヶ月ごと(LTSは2年ごと)
サポート期間約10年間LTS版は5年間(+有償で10年)
安定性高い(企業利用を想定)比較的高いが新機能導入が早い
セキュリティアップデートRHEL互換の安定提供Canonicalが独自に提供

💬 ポイント
 AlmaLinuxは「頻繁に変わらない安定性」を重視する一方、Ubuntuは「最新機能を試せる柔軟さ」を重視しています。

📂 ファイルシステムと構成の違い

項目AlmaLinuxUbuntu
デフォルトファイルシステムXFSext4
対応ファイルシステムXFS, ext4, Btrfsext4, ZFS, Btrfs
ブートローダーGRUB2GRUB2
デフォルトランレベルsystemdsystemd

AlmaLinuxでの確認例

[suzuki@AlmaLinux ~]$ df -T
ファイルシス                    タイプ   1K-ブロック    使用   使用可 使用% マウント位置
devtmpfs                        devtmpfs        4096       0     4096    0% /dev
tmpfs                           tmpfs         907004       0   907004    0% /dev/shm
tmpfs                           tmpfs         362804    5736   357068    2% /run
/dev/mapper/almalinux_vbox-root xfs         17756160 6645348 11110812   38% /
/dev/sda1                       xfs           983040  492824   490216   51% /boot
tmpfs                           tmpfs         181400     108   181292    1% /run/user/1000
/dev/sr0                        iso9660        59940   59940        0  100% /run/media/suzuki/VBox_GAs_7.1.10

💬 解説
出力の「Type」がxfsとなっているのがわかります。
Ubuntuではこれがext4となるのが一般的です。

🖥️ ユーザーインターフェースの違い

  • AlmaLinux:GUIは最小限。多くはCUI(コマンドライン)で操作。サーバー運用向け。
  • Ubuntu:デスクトップ環境(GNOME)が標準搭載され、GUI操作が中心。初心者に親しみやすい。

💬 例えで言うと

AlmaLinuxは「エンジニアの作業車」、
Ubuntuは「ユーザー向けの快適な乗用車」。

🧠 コマンド例:OS情報を確認する

どちらのディストリビューションでも、以下のコマンドで基本情報を確認できます。

AlmaLinuxの場合

$ cat /etc/os-release
NAME="AlmaLinux"
VERSION="9.6 (Sage Margay)"
ID="almalinux"
ID_LIKE="rhel centos fedora"
VERSION_ID="9.6"
PLATFORM_ID="platform:el9"
PRETTY_NAME="AlmaLinux 9.6 (Sage Margay)"
ANSI_COLOR="0;34"
LOGO="fedora-logo-icon"
CPE_NAME="cpe:/o:almalinux:almalinux:9::baseos"
HOME_URL="https://almalinux.org/"
DOCUMENTATION_URL="https://wiki.almalinux.org/"
BUG_REPORT_URL="https://bugs.almalinux.org/"

ALMALINUX_MANTISBT_PROJECT="AlmaLinux-9"
ALMALINUX_MANTISBT_PROJECT_VERSION="9.6"
REDHAT_SUPPORT_PRODUCT="AlmaLinux"
REDHAT_SUPPORT_PRODUCT_VERSION="9.6"
SUPPORT_END=2032-06-01

Ubuntuの場合(参考)

$ cat /etc/os-release
PRETTY_NAME="Ubuntu 24.04.1 LTS"
NAME="Ubuntu"
VERSION_ID="24.04"
VERSION="24.04.1 LTS (Noble Numbat)"
VERSION_CODENAME=noble
ID=ubuntu
ID_LIKE=debian
HOME_URL="https://www.ubuntu.com/"
SUPPORT_URL="https://help.ubuntu.com/"
BUG_REPORT_URL="https://bugs.launchpad.net/ubuntu/"
PRIVACY_POLICY_URL="https://www.ubuntu.com/legal/terms-and-policies/privacy-policy"
UBUNTU_CODENAME=noble
LOGO=ubuntu-logo

💬 ポイント
どちらのOSでも /etc/os-release ファイルにバージョン情報が保存されています。

🌱 まとめ:安定性か、柔軟性か

どちらも優れたLinuxですが、目的によって選ぶべきOSは変わります。

シーンおすすめOS理由
企業サーバー運用AlmaLinux長期安定・高互換性・商用対応
クラウド開発・個人利用Ubuntu最新パッケージ・GUIサポート・コミュニティが活発
学習・検証環境どちらも可RHEL系を学ぶならAlmaLinux、汎用ならUbuntu

💬 結論

AlmaLinuxは「安心して任せられる堅実なOS」。
Ubuntuは「柔軟で使いやすい挑戦的なOS」。
どちらもLinuxの魅力を異なる形で表現しています。