新Linux入門|たった一人の学生から始まったLinuxの奇跡

いまや世界中のサーバーやスマートフォン、そしてクラウドの中心で動いている「Linux」。
でも、この壮大なOSの物語が、たった一人の大学生から始まったことを知っていますか?
 本記事では、フィンランドの学生が趣味で始めた小さなプロジェクトが、どのようにして世界を変える存在になったのかを、わかりやすく解説していきます。

🏫 一人の学生、Linus Torvaldsの挑戦

 1991年、フィンランドのヘルシンキ大学に通う学生 Linus Torvalds(リーナス・トーバルズ) は、自分専用のコンピューターOSを作ろうと考えました。

画像はウィキペディアか引用しています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Linus_Torvalds_(cropped).jpg

当時は高価な商用Unixを使うしかなく、個人が自由に使えるOSはほとんどありませんでした。
 彼は「もっと自由に使えて、みんなが改良できるOSを作りたい」と考え、わずか数千行のコードからLinuxカーネルの開発を始めたのです。

🗓 Linuxの歴史年表(主要マイルストーン)

以下は、Linuxが誕生してから現在に至るまでの大きな出来事をまとめた年表です。
 表を見ると、オープンソースコミュニティとテクノロジーの進化が、どれほどLinuxを成長させたかがよく分かります。

年代出来事
1969Ken ThompsonとDennis RitchieがUnixを開発。
1983Richard StallmanがGNUプロジェクトを開始。
1991Linus TorvaldsがLinuxカーネルを開発開始。
1992GNUツールと組み合わされ「GNU/Linux」として知られるようになる。
1993最初のLinuxディストリビューション「Slackware」が登場。
1994「Red Hat Linux」など商用ディストリビューションが誕生。
1996カーネル2.0リリース。マルチプロセッサ対応へ。
2004カーネル2.6登場。Ubuntuの初版がリリースされる。
2007AndroidがLinuxカーネルを採用。スマホ時代へ突入。
2015カーネル4.x登場。IoT・クラウド分野で採用が急増。
2021カーネル5.xリリース。5GやAI分野にも対応強化。

🧭 Linuxは今でも進化し続けており、現在のAlmaLinux 9.6もその歴史の上に立っています。

🧩 AlmaLinux 9.6とは?

AlmaLinuxは、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)と完全互換を持つオープンソースOSです。
 CentOSの後継として登場し、安定性と信頼性を兼ね備えたエンタープライズ向けLinuxとして人気を集めています。

特徴説明
RHEL互換性RHELとバイナリレベルで互換性を維持。商用ソフトも安心して動作。
無償利用可能登録や契約不要で無料利用が可能。
長期サポートセキュリティアップデートを長期間提供。
コミュニティ主導世界中のエンジニアによって改善・運営されている。

🧠 Linuxを支えるオープンソースの精神

Linuxがここまで発展したのは、「オープンソース」の考え方があったからです。
 オープンソースとは、「ソースコード(設計図)を公開して、誰でも自由に使い、改良し、共有できる」という理念のことです。

オープンソースの3原則

原則内容
自由に使える誰でも目的を問わず利用可能。
自由に改良できる改善や拡張が自由。
自由に再配布できる他の人にも同じ自由を渡せる。

この文化が、Linuxを“みんなで育てるOS”へと成長させたのです。

🧑‍💻 AlmaLinux 9.6で歴史を感じてみよう

実際に、現在使っているAlmaLinuxでも、Linuxの進化を少しだけ体感できます。
たとえば、システムのバージョンを確認するコマンドを実行してみましょう。

[suzuki@AlmaLinux ~]$ cat /etc/os-release 
NAME="AlmaLinux"
VERSION="9.6 (Sage Margay)"
ID="almalinux"
ID_LIKE="rhel centos fedora"
VERSION_ID="9.6"
PLATFORM_ID="platform:el9"
PRETTY_NAME="AlmaLinux 9.6 (Sage Margay)"
ANSI_COLOR="0;34"
LOGO="fedora-logo-icon"
CPE_NAME="cpe:/o:almalinux:almalinux:9::baseos"
HOME_URL="https://almalinux.org/"
DOCUMENTATION_URL="https://wiki.almalinux.org/"
BUG_REPORT_URL="https://bugs.almalinux.org/"

ALMALINUX_MANTISBT_PROJECT="AlmaLinux-9"
ALMALINUX_MANTISBT_PROJECT_VERSION="9.6"
REDHAT_SUPPORT_PRODUCT="AlmaLinux"
REDHAT_SUPPORT_PRODUCT_VERSION="9.6"
SUPPORT_END=2032-06-01

上記のように表示されればOKです。
このファイルには、OSの名前・バージョン・開発コードネームなどが記載されています。
 つまり、あなたのパソコンも今まさに、Linus Torvaldsが作り始めた“奇跡の延長線上”にあるということです。

🔧 コマンドの書式とオプション解説

Linuxのコマンドは「構文(シンタックス)」が明確で、簡潔な書式で構成されています。

基本書式

コマンド名 [オプション] [引数]

たとえば、上で使った cat コマンドを詳しく見てみましょう。

コマンド説明主なオプション
catファイルの内容を標準出力に表示します。-n(行番号を表示)、-b(空行を除く行に番号を付ける)

実行結果

[suzuki@AlmaLinux ~]$ cat /etc/os-release 
NAME="AlmaLinux"
VERSION="9.6 (Sage Margay)"
ID="almalinux"
ID_LIKE="rhel centos fedora"
VERSION_ID="9.6"
(省略)

catコマンドは、Unix時代から存在する歴史のあるコマンドです。
 こうした古くからあるツールを、今の私たちが同じように使っているのも、Linuxの「継承の力」と言えるでしょう。

🌏 まとめ:Linuxの奇跡は今も続く

Linuxは、たった一人の学生の小さな好奇心から始まりました。
それが今では、世界中のエンジニアや企業を支える「基盤技術」にまで成長しています。

そして、AlmaLinux 9.6のようなディストリビューションは、その歴史と精神を受け継ぐ存在です。
 あなたが今日ターミナルで入力する小さなコマンドも、30年以上前に生まれた“オープンソースの奇跡”の一部なんです。