新Linux入門|tarコマンドとgzipコマンドの関係:アーカイブと圧縮の違い

 Linuxでバックアップやデータ転送を行うときによく登場するのが、targzip という2つのコマンドです。
どちらもファイルを“まとめる”とか“圧縮する”イメージがありますが、
実はこの2つのコマンドにははっきりとした役割の違いがあります。

ここでは、AlmaLinux 9.6環境を使って、tarコマンドとgzipコマンドの関係や違いをわかりやすく解説します。

📦 tarコマンドとは?(アーカイブを作るコマンド)

 tar コマンドは、複数のファイルやディレクトリをひとまとめにして1つのアーカイブファイルを作るためのコマンドです。
“圧縮”ではなく、“まとめる”ことに特化しています。
アーカイブ化されたファイルは .tar という拡張子が付きます。

項目説明
コマンド名tar
目的複数のファイルやディレクトリをまとめて1つのアーカイブにする。
出力形式.tar(アーカイブファイル)
主な用途バックアップ・転送・配布用にファイルをまとめる。
圧縮機能なし(オプションでgzipなどと組み合わせ可能)

💡 ポイント
tarコマンド自体は「圧縮」はしません。
単に「ファイルをまとめる(アーカイブ化する)」だけの役割です。

⚙️ tarコマンドの書式と主なオプション

tar [オプション] アーカイブファイル名 対象ファイルやディレクトリ
オプション説明
-c新しいアーカイブを作成する(create)
-xアーカイブを展開する(extract)
-v処理の詳細を表示する(verbose)
-fアーカイブファイル名を指定する(file)
-tアーカイブの中身を一覧表示する(list)
-zgzipで圧縮/展開する(gzipと連携)
-jbzip2で圧縮/展開する
-Jxzで圧縮/展開する

💡 よく使う組み合わせ

  • -cvf:アーカイブを作成して出力する。
  • -xvf:アーカイブを展開する。
  • -czvf:アーカイブを作成してgzip圧縮も行う。
  • -xzvf:gzip圧縮されたtarファイルを展開する。

🧩 gzipコマンドとは?(ファイルを圧縮するコマンド)

gzip コマンドは、単一ファイルを圧縮してサイズを小さくするためのコマンドです。
gzipで圧縮されたファイルには .gz の拡張子が付きます。

項目説明
コマンド名gzip
目的ファイルを圧縮してサイズを削減する。
出力形式.gz
主な用途ファイルサイズを減らして保存・転送を効率化
圧縮アルゴリズムLempel-Ziv(LZ77)+ハフマン符号化
対応コマンドgunzip(展開)、zcat(内容確認)

💡 注意
gzipは1つのファイルしか圧縮できません。
そのため、複数ファイルをまとめるときには、まずtarで1つにまとめてからgzipで圧縮します。

🧮 tarとgzipの関係(アーカイブ+圧縮)

tarとgzipは、よくセットで使われるコンビです。
まずtarでファイルをひとまとめに(アーカイブ化)、
次にgzipで圧縮してファイルサイズを小さくします。

手順コマンド処理内容出力ファイル
tar -cvf archive.tar files/ファイルをまとめる(アーカイブ化)archive.tar
gzip archive.tarアーカイブを圧縮するarchive.tar.gz

💡 まとめる+圧縮する流れ

  1. tar … ファイルやフォルダをひとつの束にまとめる。
  2. gzip … 束になったファイルをギュッと圧縮する。

この2段階を自動で行えるように、tarには -z オプション(gzip連携)が用意されています。

🧾 使用例と出力例

① tarでアーカイブ化

[suzuki@AlmaLinux ~]$ tar -cvf backup.tar documents/ images/
documents/
documents/report.txt
images/
images/photo.png

📘 解説
documents/ と images/ ディレクトリを1つにまとめ、backup.tar というアーカイブファイルを作成します。
この時点では圧縮されていません

② gzipで圧縮

[suzuki@AlmaLinux ~]$ gzip backup.tar
[suzuki@AlmaLinux ~]$ ls
backup.tar.gz

📘 解説
gzip を使うことで backup.tar が圧縮され、.gz 拡張子が付きます。
元の backup.tar は削除され、圧縮後の backup.tar.gz だけが残ります。

③ 一気にtar+gzipを行う

[suzuki@AlmaLinux ~]$ tar -czvf backup.tar.gz documents/ images/
documents/
images/

📘 解説
-z オプションを使うことで、tarとgzipを一度に実行できます。
これにより、手間をかけずにまとめて圧縮できます。

④ 解凍・展開

[suzuki@AlmaLinux ~]$ tar -xzvf backup.tar.gz
documents/
images/

📘 解説
-x は展開、-z はgzipを使用、-v は詳細表示、-f はファイル指定です。
圧縮されたアーカイブを一気に展開して元のフォルダ構造を再現します。

🧠 アーカイブと圧縮の違い(まとめ)

項目アーカイブ(tar)圧縮(gzip)
目的複数ファイルをまとめるファイルサイズを小さくする
出力形式.tar.gz
対象複数ファイル・ディレクトリ単一ファイル
コマンドtargzip
よく使う組み合わせtar -czvf archive.tar.gzgzip archive.tar
展開コマンドtar -xzvf archive.tar.gzgunzip archive.tar.gz

💡 ポイント
tarは“ファイルの束”、gzipは“圧縮”。
両者を組み合わせることで、効率的なバックアップと転送が実現できます。

✅ まとめ:tarとgzipをセットで使いこなそう!

tarコマンドとgzipコマンドは、それぞれ独立した役割を持っていますが、
一緒に使うことで非常に便利な圧縮・バックアップ手段になります。

💡 覚えておきたい基本フロー

  1. tarでまとめる → gzipで圧縮
     → 出力ファイルは .tar.gz
  2. tarで展開(-x)+gzip解凍(-z)
     → 元のフォルダ構造に戻す

Linuxを扱うなら、この “アーカイブ+圧縮” の流れを理解しておくことが大切です。
これをマスターすれば、バックアップやデータ配布がグッと楽になります!