
Linux基礎:ディレクトリの役割(FHS)
Linux システムにおけるファイルやディレクトリの配置は、FHS(Filesystem Hierarchy Standard) という標準仕様に基づいて設計されています。
FHS は「ディレクトリごとにどのような種類のファイルを格納すべきか」を定める規格であり、多くの Linux ディストリビューションがこれに準拠しています。これにより、異なるディストリビューション間でも共通したディレクトリ構成を持ち、ユーザーや管理者は混乱することなくシステムを利用できます。
ただし、FHS に完全準拠していない部分もあり、ディストリビューション固有のディレクトリが追加されることもあります。たとえば Red Hat 系には /etc/sysconfig が存在し、各種サービスの設定ファイルを格納しています。
ここでは、ディレクトリの役割と FHS の基本概念 を整理し、代表的なディレクトリの用途を表で解説します。また、実際に Rocky Linux 環境でコマンドを使ってディレクトリを調べる方法も紹介します。

1.FHS の概要
1.1. FHS とは
FHS (Filesystem Hierarchy Standard) は、Linux や UNIX 系 OS におけるファイル配置を標準化するために策定された仕様です。
バージョン 3.0 が最新であり、Linux Foundation によって公開されています。
特徴
- ディレクトリ構造を統一し、管理を容易にする。
- 異なるディストリビューション間での移行性を高める。
- パッケージ管理やソフトウェア配布の効率を改善する。
1.2. FHS の採用状況
主要なディストリビューション(Rocky Linux, Ubuntu, Debian, Fedora など)は概ね FHS に準拠していますが、一部は独自の拡張ディレクトリを持っています。
例:
- Rocky Linux(Red Hat 系) →
/etc/sysconfig - Debian 系 →
/etc/default
2.主要ディレクトリの役割
2.1. 基本ディレクトリ一覧
| ディレクトリ | 役割 |
|---|---|
| /bin | 一般ユーザーでも利用可能な基本コマンドを格納 |
| /sbin | 管理者専用のシステム管理コマンドを格納 |
| /boot | Linux カーネルやブートローダー関連ファイルを格納 |
| /dev | デバイスファイルを格納(仮想ファイルシステム) |
| /etc | システム設定ファイル、サービス設定ファイルを格納 |
| /home | 各ユーザーのホームディレクトリを格納 |
| /lib | 共有ライブラリやカーネルモジュールを格納 |
| /mnt | 一時的なマウントポイント |
| /media | USB や DVD などリムーバブルメディアのマウントポイント |
| /opt | 追加ソフトウェアのインストール先 |
| /proc | カーネル情報やプロセス情報を提供する仮想ファイルシステム |
| /root | root ユーザーのホームディレクトリ |
| /tmp | 一時ファイルを格納 |
| /usr | 一般ユーザー向けプログラムやライブラリを格納 |
| /usr/local | 管理者が追加インストールしたソフトウェアを格納 |
| /var | ログやメールスプール、キャッシュなど可変データを格納 |
| /var/log | システムログファイルを格納 |
2.2. 実際の構造例
Rocky Linux の環境で / 配下を表示した例です。
[user@rocky9 ~]$ ls /
afs boot etc lib media opt root sbin sys usr
bin dev home lib64 mnt proc run srv tmp varこのように、FHS に基づいたディレクトリが配置されていることが確認できます。
3.コマンドを使ったディレクトリ確認
3.1. ls コマンド
書式
ls [オプション] [ディレクトリ]役割
指定したディレクトリ内のファイル・ディレクトリを一覧表示する。
主なオプション
| オプション | 説明 |
|---|---|
| -l | 詳細情報(権限、所有者、サイズ、更新日時など)を表示 |
| -a | 隠しファイル(先頭が .)も含めて表示 |
| -h | サイズを KB/MB/GB 単位で表示 |
使用例
[user@rocky9 ~]$ ls -lh /var/log
合計 12M
lrwxrwxrwx. 1 root root 39 8月 17 10:14 README -> ../../usr/share/doc/systemd/README.logs
drwxr-xr-x. 2 root root 4.0K 8月 17 10:20 anaconda
drwx------. 2 root root 23 8月 17 10:20 audit
-rw-------. 1 root root 0 9月 12 00:00 boot.log
-rw-------. 1 root root 17K 9月 3 00:00 boot.log-20250903
-rw-------. 1 root root 17K 9月 4 00:00 boot.log-20250904
-rw-------. 1 root root 33K 9月 6 00:00 boot.log-20250906
-rw-------. 1 root root 29K 9月 9 00:00 boot.log-20250909
(省略)ここでは /var/log に保存されているログファイルが確認できます。
3.2. du コマンド
書式
du [オプション] [ディレクトリ]役割
ディレクトリやファイルのディスク使用量を表示する。
主なオプション
| オプション | 説明 |
|---|---|
| -h | 人が読みやすい単位(KB/MB/GB)で表示 |
| -s | 合計のみを表示 |
| -c | 合計を最後に表示 |
使用例
[user@rocky9 ~]$ su -
パスワード:
[root@rocky9 ~]# du -sh /var
259M /varここでは /var ディレクトリ全体で 1.2GB の容量を消費していることがわかります。
まとめ
- FHS(Filesystem Hierarchy Standard) は Linux のディレクトリ構造を標準化する規格であり、システム管理の基盤となっている。
- 各ディレクトリには明確な役割があり、システムファイル、ユーザーデータ、ログ、設定ファイルなどが整理されて格納されている。
lsやduといったコマンドを用いることで、ディレクトリの役割や実際の使用状況を確認できる。
Linux 管理者にとって、FHS を理解することはトラブルシューティングや運用管理を行う上で必須の知識です。
