
Linux基礎:ネットワークの基礎

ネットワークの基礎
現代の IT 環境において、ネットワークは欠かせない要素です。複数のコンピュータやデバイスが相互に情報をやり取りするためには、共通のルール(プロトコル)やアドレス指定の仕組みが必要になります。Linux を用いたシステム管理や試験対策においても、ネットワークの基礎を理解することは必須です。
ここでは、TCP/IP を中心としたプロトコル、IP アドレスの構造やサブネットマスクの意味、プライベートアドレスとグローバルアドレス、IPv6 の仕組み、そしてアプリケーションを識別するためのポート番号について解説します。さらに、Rocky Linux 環境におけるネットワーク確認コマンドの使い方も紹介します。
1.ネットワーク通信の基本
1.1. プロトコルとは
コンピュータ同士が通信を行う際の取り決めを プロトコル といいます。代表的なのが TCP/IP プロトコル群です。
主なプロトコルの概要は以下のとおりです。
| プロトコル | 説明 |
|---|---|
| TCP (Transmission Control Protocol) | データの信頼性を保証する。パケット到達確認や再送制御を行う。 |
| UDP (User Datagram Protocol) | 簡易で高速。信頼性は低いが、動画配信や DNS で利用される。 |
| IP (Internet Protocol) | ホストを識別するための IP アドレスを扱い、経路制御を行う。 |
| ICMP (Internet Control Message Protocol) | エラーメッセージや制御メッセージを送信する。ping コマンドなどで利用される。 |
1.2. IPv4 と IPv6
- IPv4: 32 ビットのアドレス空間。約 43 億個のアドレスを表現可能だが、すでに枯渇している。
- IPv6: 128 ビットのアドレス空間。ほぼ無尽蔵にアドレスを割り当て可能。
2.IP アドレスとサブネットマスク
2.1. IP アドレスの構造
IPv4 アドレスは ネットワーク部 と ホスト部 に分かれます。
サブネットマスクを用いることで、どこまでがネットワーク部かを判定します。
例:
IPアドレス 192.168.0.3
サブネットマスク 255.255.255.0この場合、
- ネットワーク部: 192.168.0
- ホスト部: 3
となります。
2.2. ネットワークアドレスとブロードキャストアドレス
- ネットワークアドレス: セグメント全体を表すために使用。例:192.168.0.0
- ブロードキャストアドレス: セグメント内の全ホスト宛に送信するために使用。例:192.168.0.255
これらはホストに割り当てることはできません。
3.IP アドレスの分類と CIDR
3.1. クラスフルアドレッシング
従来のネットワークはクラス A~C に分けられていました。
| クラス | 範囲 | サブネットマスク | ホスト数 |
|---|---|---|---|
| A | 0.0.0.0~127.255.255.255 | 255.0.0.0 | 約 1677 万 |
| B | 128.0.0.0~191.255.255.255 | 255.255.0.0 | 約 6.5 万 |
| C | 192.0.0.0~223.255.255.255 | 255.255.255.0 | 256 |
3.2. CIDR
現在は CIDR(Classless Inter-Domain Routing)が利用され、
「192.168.0.0/28」のように 任意のビット数でネットワーク部を表現できます。
これにより IP アドレスを効率的に利用可能です。
4.プライベートアドレスとグローバルアドレス
| 種別 | 範囲 |
|---|---|
| プライベートアドレス | 10.0.0.0~10.255.255.255 172.16.0.0~172.31.255.255 192.168.0.0~192.168.255.255 |
| グローバルアドレス | ICANN により管理され、インターネットで使用可能なアドレス |
プライベートアドレスは LAN 内で自由に利用でき、インターネット通信の際は NAT を用いてグローバルアドレスに変換されます。
5.ポート番号
1 台のホスト上で複数のアプリケーションが動作するため、ポート番号によって通信先のアプリケーションを識別します。範囲は 0~65535 です。
主なウェルノウンポートは以下の通りです。
| ポート番号 | 用途 |
|---|---|
| 20,21 | FTP |
| 22 | SSH |
| 23 | Telnet |
| 25 | SMTP |
| 53 | DNS |
| 80 | HTTP |
| 110 | POP3 |
| 443 | HTTPS |
6.ネットワーク確認コマンド
6.1. ip コマンド
書式
ip [オプション] [対象] [操作]役割
ネットワークインタフェースやルーティング情報を表示・設定する。
主なオプション
| サブコマンド | 説明 |
|---|---|
| addr show | IP アドレスの確認 |
| link show | インタフェース情報を表示 |
| route show | ルーティング情報を表示 |
使用例
[user@rocky9 ~]$ ip addr show
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000
link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00
inet 127.0.0.1/8 scope host lo
valid_lft forever preferred_lft forever
inet6 ::1/128 scope host
valid_lft forever preferred_lft forever
2: enp0s3: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000
link/ether 08:00:27:c0:dc:12 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
inet 10.0.2.15/24 brd 10.0.2.255 scope global dynamic noprefixroute enp0s3
valid_lft 13662sec preferred_lft 13662sec
inet6 fd17:625c:f037:2:a00:27ff:fec0:dc12/64 scope global dynamic noprefixroute
valid_lft 86033sec preferred_lft 14033sec
inet6 fe80::a00:27ff:fec0:dc12/64 scope link noprefixroute
valid_lft forever preferred_lft foreverまとめ
- ネットワーク通信はプロトコルに基づいて行われる。
- IP アドレスはネットワーク部とホスト部で構成され、サブネットマスクにより境界を決定する。
- ネットワークアドレス・ブロードキャストアドレスはホストに割り当てられない。
- IPv4 の枯渇により IPv6 の利用が拡大している。
- プライベートアドレスは LAN 内で自由に使用可能。
- ポート番号によってアプリケーションを識別する。
- Rocky Linux では
ipコマンドでネットワーク設定や状態を確認できる。
ネットワークの基礎を理解することで、システム管理やトラブルシューティングが効率的に行えるようになります。
