新Linux入門|Linuxの中身をのぞいてみよう:OSを支える仕組みと構成

普段、私たちが使っているLinux。
ターミナルでコマンドを入力したり、デスクトップ環境で操作したりできますが、
その「中身」がどう動いているのか、考えたことはありますか?

Linuxは、たくさんの“部品”が組み合わさって動作する、非常に緻密なシステムです。
この記事では、AlmaLinux 9.6 を例に、Linuxの内部構成と仕組みをやさしく解説していきます。

⚙️ Linuxを支える主要な構成要素

Linuxオペレーティングシステムは、主に以下の要素で構成されています。

構成要素主な役割
カーネル(Kernel)ハードウェアとソフトウェアの橋渡しを行う中核部分
ローダブルモジュールカーネルに後から機能を追加・削除できる仕組み
ライブラリプログラムの共通機能をまとめた再利用可能な部品群
X Window SystemGUI(グラフィカル環境)を実現する基盤
プログラム開発環境コンパイラ・デバッガなど、開発に必要なツール群
サービスプログラムサーバー機能(Web、DB、メールなど)を提供するプログラム群
コマンド/ユーティリティシステム操作や設定、情報取得のためのCLIツール

それでは、それぞれの中身をもう少し詳しく見ていきましょう。

🧩 Linuxカーネル:システムの心臓部

Linuxカーネルは、オペレーティングシステムの中心的存在です。
 カーネルは、ハードウェアとアプリケーションの間に立ち、CPU・メモリ・ストレージ・ネットワークなどのリソースを管理します。

主な機能説明
プロセス管理実行中のプログラム(プロセス)の制御とスケジューリングを行う。
メモリ管理物理メモリと仮想メモリを効率的に管理する。
ファイルシステム管理データをファイルとして保存・読み書きする仕組みを提供。
デバイス管理ハードウェアデバイスとの通信を制御。
ネットワーキング通信機能(TCP/IPなど)を提供し、ネットワーク接続を管理。

💬 ポイント
カーネルは常にバックグラウンドで動作しており、私たちが入力するすべてのコマンドや操作を支えています。

🔌 ローダブルモジュール(Loadable Kernel Modules)

Linuxのカーネルは「拡張性」を重視しており、
モジュール(module)という単位で、機能を動的に追加・削除できます。

📦 よく使うコマンド

コマンド説明主なオプション
lsmod現在ロードされているカーネルモジュールを一覧表示する。なし
modprobeモジュールを追加または削除する。-r(削除)、--show-depends(依存関係を表示)
insmodモジュールを挿入する(ファイルを指定)なし
rmmodモジュールを削除する。なし

使用例(AlmaLinux 9.6)

[suzuki@AlmaLinux ~]$ lsmod | head
Module                  Size  Used by
tls                   159744  0
nls_utf8               12288  1
isofs                  65536  1
uinput                 24576  0
snd_seq_dummy          12288  0
snd_hrtimer            12288  1
nft_fib_inet           12288  1
nft_fib_ipv4           12288  1 nft_fib_inet
nft_fib_ipv6           12288  1 nft_fib_inet

💡 解説
 lsmodで確認すると、現在読み込まれているファイルシステムやドライバ(xfs、dm_modなど)が一覧表示されます。
再起動せずに機能を追加できるのが、Linuxの柔軟さの特徴です。

🧰 ライブラリ(Library)

ライブラリは、プログラムが共通して使う処理をまとめた部品(関数集)です。
例えば、文字列処理、数学計算、ファイル操作などがライブラリとして提供されています。

種類内容
静的ライブラリ(.a)コンパイル時にプログラムへ組み込まれる形式。
共有ライブラリ(.so)実行時にリンクされる形式。複数のプログラムで共有可能。

使用例:共有ライブラリの確認

[suzuki@AlmaLinux ~]$ ldd /bin/ls
	linux-vdso.so.1 (0x00007ffc69584000)
	libselinux.so.1 => /lib64/libselinux.so.1 (0x00007f520e970000)
	libcap.so.2 => /lib64/libcap.so.2 (0x00007f520e966000)
	libc.so.6 => /lib64/libc.so.6 (0x00007f520e600000)
	libpcre2-8.so.0 => /lib64/libpcre2-8.so.0 (0x00007f520e8ca000)
	/lib64/ld-linux-x86-64.so.2 (0x00007f520e9cd000)

💬 ポイント
lsコマンドが利用しているライブラリ一覧が表示されます。
つまり、単独で動いているように見えるコマンドも、裏では多くの共有ライブラリに支えられています。

🪟 X Window System:GUIの基盤

X Window System(X11)は、Linuxでグラフィカル環境を提供する仕組みです。
 画面描画やウィンドウ操作、マウス制御など、デスクトップ環境(GNOMEやKDEなど)の“土台”となっています。

要素役割
Xサーバー画面や入力デバイス(マウス・キーボード)を制御する。
XクライアントGUIアプリケーション側。サーバーを通じて描画を依頼する。
ディスプレイマネージャGUIログイン画面を提供(例:gdm、lightdm)。

🧠 例え話
Xサーバーは“テレビの画面”、
Xクライアントは“テレビ番組”のようなもので、
両者が協力してGUI環境を描き出しています。

🧑‍💻 プログラム開発環境

Linuxはプログラミングに最適な環境でもあります。
AlmaLinux 9.6 では、多くの開発ツールが標準で利用可能です。

ツール説明
gccC/C++コンパイラ
makeビルド自動化ツール
gdbデバッガ
python3スクリプト言語インタプリタ
vim / nanoテキストエディタ

使用例

Hello.c:nanoエディタ等で準備しておきます。

#include <stdio.h>

int main(void)
{
    printf("Hello Linux World!\n");
    return 0;
}

コマンド

[suzuki@AlmaLinux ~]$ gcc hello.c -o hello
[suzuki@AlmaLinux ~]$ ./hello
Hello Linux World!

💬 ポイント
Linuxは教育から研究、産業まで、幅広い開発に活用される理由がここにあります。

🌐 サービスプログラム(デーモン)

Linuxでは、バックグラウンドで動作するプログラム(デーモン)が多数存在します。
これにより、サーバー機能やネットワーク通信が自動で提供されます。

サービス内容
Apache(httpd)Webサーバー
MariaDB / PostgreSQLデータベースサーバー
Sambaファイル共有サービス
Postfixメール転送サーバー

サービスの状態確認コマンド

コマンド説明
systemctl status サービス名サービスの稼働状態を確認
systemctl start/stop/restart サービス名サービスの開始・停止・再起動
systemctl enable サービス名起動時に自動実行設定

使用例:apacheをインストールして起動している場合

[root@AlmaLinux ~]# systemctl status httpd
● httpd.service - The Apache HTTP Server
     Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/httpd.service; enabled)
     Active: active (running) since Tue 2025-10-28 12:00:00 JST; 5min ago

🧮 コマンド/ユーティリティ

Linuxの魅力は、豊富なコマンド群にもあります。
ファイル操作、ネットワーク、プロセス管理など、ほぼすべての作業がCLIで可能です。

カテゴリ主なコマンド説明
ファイル操作ls, cp, mv, rmファイルの一覧・コピー・移動・削除
システム情報uname, df, freeOSやメモリ情報の確認
プロセス管理ps, top, kill実行中のプロセスを表示・制御
ネットワークip, ping, netstatネットワーク設定や通信確認

使用例

[suzuki@AlmaLinux ~]$ df -h
ファイルシス                    サイズ  使用  残り 使用% マウント位置
devtmpfs                          4.0M     0  4.0M    0% /dev
tmpfs                             886M     0  886M    0% /dev/shm
tmpfs                             355M  5.6M  349M    2% /run
/dev/mapper/almalinux_vbox-root    17G  6.3G   11G   37% /
/dev/sda1                         960M  482M  479M   51% /boot
tmpfs                             178M  108K  178M    1% /run/user/1000
/dev/sr0                           59M   59M     0  100% /run/media/suzuki/VBox_GAs_7.1.10

💬 ポイント
CLIは最初は難しそうに見えますが、慣れるとGUIよりも速く・柔軟に操作できるようになります。

🌱 まとめ

 Linuxは、カーネルを中心に、モジュール・ライブラリ・GUI・開発環境・サービス・コマンドが連携して動作しています。
それぞれが独立していながらも、全体として強力なOSを形づくっているのです。

AlmaLinux 9.6 のような最新ディストリビューションでは、これらの構成要素がより洗練され、
サーバーからクラウドまで、幅広い用途に対応できる柔軟なシステムへと進化しています。