新Linux入門|IPv6とは:次世代インターネットを支えるアドレス構造と通信技術の基礎

 みなさんが普段インターネットを使うとき、その通信のほとんどは「IPv4」という仕組みで動いています。
しかし、世界中でインターネットが広がるにつれ、IPv4のアドレス数が足りなくなってきました。
そこで登場したのが 「IPv6(Internet Protocol version 6)」 です。

 IPv6は、IPv4の後継となる次世代インターネットプロトコルであり、より多くのアドレスを提供し、通信の効率化やセキュリティ強化を実現しています。
ここでは、その仕組みや特徴をやさしく解説していきましょう。

🌐 IPv6の概要

 IPv6は、インターネット上でデータを送受信するための通信ルール(プロトコル) のひとつで、IPv4の限界を克服する目的で開発されました。
 特に、アドレス空間の拡大自動構成(SLAAC)セキュリティ強化(IPsec標準搭載) が大きな特長です。

項目IPv4IPv6
アドレス長32ビット128ビット
表記形式10進数(例:192.168.1.1)16進数(例:2001:db8::1)
アドレス数約43億個約3.4×10³⁸個(ほぼ無限)
構成方式手動 or DHCP自動構成(SLAAC)対応
セキュリティオプションでIPsec対応IPsecが標準実装
ルータ設定NAT必須NAT不要、エンドツーエンド通信

💬ポイント
 IPv6の導入によって、NAT(ネットワークアドレス変換)に頼らず、各デバイスが世界中で一意のIPアドレスを持てるようになります。

🧩 IPv6アドレスの構造

 IPv6アドレスは 128ビット の長さを持ち、16ビットごとに区切られた 8つのブロック で構成されています。
それぞれのブロックは 16進数(0〜f)で表現され、コロン(:)で区切ります。

2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334

このアドレスは、以下のように構造化されています。

項目内容
全体長128ビット(16ビット × 8ブロック)
表記形式16進数 + コロン区切り
省略記法連続する「0」は「::」で省略可能(例:2001:db8::1)
サンプル2001:db8:abcd:0012::1

💡ポイント
 IPv6では「::」を1回だけ使用できます。複数使用すると意味が曖昧になってしまうため注意が必要です。

🔢 IPv6アドレスの種類

IPv6には、用途や範囲に応じていくつかのアドレス種別があります。

アドレス種別説明
グローバルユニキャストインターネット全体で一意のアドレス。外部通信に使用。2001:db8::1
リンクローカル同一ネットワーク(LAN)内だけで有効。自動で割り当てられる。fe80::/10
ユニークローカル組織内でのみ有効なプライベートアドレス。fd00::/8
マルチキャスト複数のノードに同時送信するためのアドレス。ff00::/8
任意キャスト(Anycast)複数のノードの中から最も近いノードに通信。ルータ経路制御用

💬ポイント
 IPv6ではブロードキャスト(ネットワーク全体への一斉送信)が廃止され、マルチキャスト通信が代わりに使用されます。

⚙️ IPv6の利点

IPv6はIPv4の問題を解決し、より効率的で安全な通信を実現するために設計されています。

項目説明
アドレス空間の拡張128ビットにより、ほぼ無限のアドレスを利用可能
自動構成(SLAAC)ルータ情報から自動的にIPv6アドレスを生成
セキュリティ強化IPsecを標準でサポートし、通信の暗号化を実現
効率的なルーティング階層的なアドレス設計でルータの負荷を軽減
NAT不要直接的なエンドツーエンド通信が可能

💬ポイント
 特に SLAAC(Stateless Address Autoconfiguration) により、DHCPサーバを使わずに端末が自動的に自身のIPv6アドレスを決定できるのが大きな特徴です。

🖥️ IPv6アドレスの確認コマンド

AlmaLinux 9.6 では、IPv6の設定・確認に ipコマンド を使用します。

コマンド書式

ip -6 addr show

使用例

[suzuki@AlmaLinux ~]$ ip -6 addr show
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 state UNKNOWN qlen 1000
    inet6 ::1/128 scope host 
       valid_lft forever preferred_lft forever
2: enp0s3: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 state UP qlen 1000
    inet6 fd17:625c:f037:2:a00:27ff:fef8:25ac/64 scope global dynamic noprefixroute 
       valid_lft 86132sec preferred_lft 14132sec
    inet6 fe80::a00:27ff:fef8:25ac/64 scope link noprefixroute 
       valid_lft forever preferred_lft forever
オプション説明
ip -6 addr showIPv6アドレスの情報を表示
ip -6 route showIPv6のルーティングテーブルを表示
ping6 アドレスIPv6ネットワークの疎通確認
hostname -I割り当てられているIPアドレス(IPv4/IPv6)を表示

💬ポイント
fe80:: から始まるアドレスは「リンクローカルアドレス」で、LAN内通信でのみ使用されます。

🔍 IPv6ルーティングの確認

IPv6でも、IPv4と同様にルーティングテーブルが存在し、パケット転送経路を決定します。

[suzuki@AlmaLinux ~]$ ip -6 route show
::1 dev lo proto kernel metric 256 pref medium
fd17:625c:f037:2::/64 dev enp0s3 proto ra metric 100 pref medium
fe80::/64 dev enp0s3 proto kernel metric 1024 pref medium
default via fe80::2 dev enp0s3 proto ra metric 100 pref medium
項目説明
default via fe80::1デフォルトゲートウェイ(ルータ)
dev ens33使用しているネットワークインターフェース
proto raルータアドバタイズ(RA)による自動設定
metric経路の優先度

💬ポイント
 IPv6では、ルータが RA(Router Advertisement) を送信し、ホストはそれを受け取って自動的にネットワーク情報を設定します。

🔐 IPv6のセキュリティ

IPv6では、IPsec(Internet Protocol Security) がプロトコル標準として組み込まれています。
これにより、通信の暗号化や認証がIPv4よりも容易に実現できます。

機能説明
暗号化(Encryption)通信内容を第三者が読み取れないように保護
認証(Authentication)通信相手が正当なノードであることを確認
整合性確認(Integrity Check)通信途中でデータが改ざんされていないか検証

💬ポイント
 ただし、IPv6でも完全なセキュリティが保証されるわけではなく、ファイアウォールやアクセス制御リスト(ACL)などの併用が推奨されます。

🔄 IPv4とIPv6の共存

現在のインターネットでは、IPv4とIPv6が共存 しています。
 このため、両方の通信を扱えるように「デュアルスタック」や「トンネリング」といった技術が使われています。

技術名説明
デュアルスタックIPv4とIPv6の両方を同時にサポート
トンネリングIPv6パケットをIPv4トンネル内にカプセル化して転送
NAT64/DNS64IPv6のみのネットワークからIPv4サービスへ接続可能にする技術

💬ポイント
これにより、IPv4専用のシステムとIPv6対応のネットワークが混在していても通信が可能になります。

🌈 まとめ

  • IPv6は、IPv4のアドレス枯渇を解決するために登場した次世代インターネットプロトコル。
  • 128ビットの広大なアドレス空間で、世界中のデバイスに一意のアドレスを提供。
  • SLAACによる自動構成とIPsec標準搭載で、利便性と安全性を両立。
  • 現在はIPv4と共存しながら、段階的に移行が進行中。

IPv6は、これからのIoT時代・クラウド時代の基盤を支える重要な技術です。
AlmaLinux環境でも、ぜひ実際にIPv6設定や通信確認を試してみましょう!